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ゲームプログラマが語る 新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け

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ゲームプログラマが語る 新発表ラッシュに見るクラウド大航海時代の幕開け
ゲームIT業界を旋風のごとく駆け抜けた目まぐるしい新製品発表より、早いもので約二か月が経過した。『PlayStation Vita(以下、『PS Vita』)』『Wii U』のお目見えがあり、『iOS5』の発表、それを搭載するであろう『iPhone5』のうわさが我々ゲームITファンをワクワクと楽しませてくれている。
各社とも実に充実したラインナップだと言って良く、自信に満ちあふれていることが手に取るように感じられる内容であったため、種々期待とうわさが錯綜(さくそう)することとなったわけだ。

あれから二か月。憶測や期待と共に、ゆっくりとではあるが、いよいよ現実味を帯びてきた新しい時代のゲーム体験。続々と発売されることになるであろう新製品群に囲まれながら、我々が迎えるこれからのゲームエンターテイメントとは、どのようなものになっていくのだろう。
この分野へ幾星霜に渡り身を置いてきた筆者も、期待と興奮に胸が膨らむ昨今。イチ業界人として予想してみたい。

『iCloud』

WWDCにおいて発表のあった『iOS5』に関する話題中、『iCloud』は個人的に最も注目したテクノロジーだ。今後、ネットライフにおける主軸となるであろう“クラウド化”を見据えたApple陣営においては、まさに真打ちと言える技術である。
『iTunes』との連動や、複数『iOS』デバイス間でのアプリ自動連動なんてものは、これから本格的に始まっていく世界的なクラウド化の波へ向けた第一歩に過ぎず、Steven Paul Jobs氏による「パソコンやMacは単なるデバイスの一つとなる」という一節は、Appleが向かうであろう新しい世界の本質を真に表現している。

情報とデバイスが対になっていた時代は変化を迎え、多くの情報、多くのデバイスが表舞台に出そろってくる今後は、必然、多体多の関係となっていくことが想像に易しい。『iCloud』ですら言わばそのための過程に過ぎず、パソコンやMacが単なるデバイスの一つになっていくのと同様に、『iCloud』もまた単なるクラウドの一つとなっていくはずだ。フロッピーディスクがハードディスクになり、テレビの前で横並びにゲームをしていた少年たちが今ではインターネットを介しているように、“個”は、より大きな“全”に集約されていくことが、技術の進歩における通例なのだ。

『PS Vita』

『PS Vita』においても採用が発表された“トランスファリング”。
ゲーム業界における技術として今後注目され、さまざまな提案が生まれ、そして急速に“生活へ密着した、さも当たり前のような技術”へと昇華していくことだろう。
トランスファリングとは、何も『PS Vita』独自の機能ではないが、『PlayStation3(以下、PS3)』との間に彩られるであろう新しいゲーミング体験を語るうえで、これ以上のペアは現状存在していない。

今後発売される例えばRPG系のゲーム等においては、クラウド化の恩恵の一として、このトランスファリング技術との相性がとても良い。ここで『PS3』『PS Vita』に両機種に対応したマルチプラットフォーム新作RPGを仮定する。価格はそれぞれだろうが、両機種版購入費用が従来ゲーム定価の1.25倍付近での落としどころが想定し易いか。もしくは『PlayStation Network』による全機種同こんライセンスも現実的なストーリーであると言えよう。
ともあれ、この新作RPGを自宅の『PS3』にて日曜日にジックリと遊ぶとしてみよう。レベルは10を超え、序盤から盛り上がるストーリーにプレイヤーは引き込まれていく。日曜日夜、某家庭アニメと共に襲ってくる憂鬱も忘れ、つい夜更かしが進むだろう。
しかし、従来型ゲームとの違いは、翌朝月曜日に訪れる。

眠い目をこすり、ぼんやりと風景を眺めていた通勤電車内の気だるい時間はもはや去った。あなたは乗車するや否やカバンからおもむろに『PS Vita』を取り出せば、昨夜のプレイの続きを即座に楽しむことができるのだ。

手持ち無沙汰となりがちな通勤電車内においては、レベル上げとダンジョン探索を楽しむ。ストーリーの進む感動的なシーンは自宅の『PS3』大画面にて堪能。こういったプレイスタイルが当たり前となる時代は目前だ。

これからのゲームIT業界

各社ともクラウドに関する一定の見解と、市場投入クォリティでの提案を示す形になってきた。どのサービスが勝者となるのかは現段階では些末(さまつ)なことであり、むしろ現在は礎作りのフェーズであると言える。
Apple陣営は最早“閉鎖的”という揶揄(やゆ)を物ともしない規模へと育てあげた自身のマーケットを、丸ごとクラウドへ載せてくるだろう。SONY陣営はゲーミングにおけるデバイス垣根と共に、お茶の間と外出先における壁まで取り払おうとしてる。『Wii U』は、画面とユーザーの間に新しい情報送受信スクリーンを設置してきた。

これからの時代は、デバイスと情報における自然な融合が肝となる。
何を選択し、何を購入し、また何を楽しむのかについては、今までもこれからもユーザーの自由であるが、取り払われた垣根を超えた先にある物は、ユーザー一人一人が築き上げるライフスタイルそのものとなっていくことだろう。

なんとも、楽しみな時代がやってきた!

画像:SONY『PlayStation Vita』コミュニティサイトより
http://psvita.jp.playstation.com/

※この記事はガジェ通ウェブライターの「Team Dyquem (ディケム)」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
本業はPS3やXBox360等の次世代機ゲームプログラマと文筆業に勤しみながら、趣味のiPhoneアプリ作成に心酔しているアラフォー、TeamDyquemで御座います。Teamとは言っても独り開発。カタッ苦しい事は抜きの心和むアプリを提供させて頂きながら、SFと技術情報を日々綴ります。

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