【レビュー】ずっとついてくる“それ”ってなんだ? 『イット・フォローズ』は“性”と“死”をめぐる恐ろしい“逃げゲー”[ホラー通信]

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「あのタランティーノが称賛」「批評家満足度96%」と話題のホラー『イット・フォローズ』。ストーリーは「主人公が一夜を共にした相手から“それ”をうつされる。“それ”は姿を変えてどこまでもついてくる。“それ”につかまると死ぬ」というかなり謎めいたもので、日本公開情報が解禁されると「一体どんな話なのか気になる!」「日本公開を待ってた!」という声が多数寄せられました。そして、筆者もそう思っていたひとり。待望の日本公開(1月8日)より一足お先に本編を鑑賞させていただいたので、詳しくご紹介させていただきます。一言で言って、「メッチャクチャ怖い」です。

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主人公のジェイは、少しナイーブな年頃の女の子です。好意を寄せる男の子・ヒューとデートを重ねていた彼女は、ついに彼に身体を許し、一夜を共にします。しかし、その直後にヒューの態度は一変。ヒューはジェイをイスに縛り付け、追い詰められた表情で「君に“それ”をうつした。君も誰かと寝て“それ”をうつせ」と告げます。そして、ゆっくりと歩いて迫ってくる“それ”の姿を、ジェイに見せるのでした……。

“それ”に捕まれば待ち受けているのは無残な死。学校生活にも姿を現した“それ”に恐怖したジェイは幼なじみらに相談し、対策を講じることにしますが、問題は“それ”は感染した者にしか見えないということ。いざ“それ”がジェイのすぐ背後に迫っていようと、ジェイ以外の人間にはその姿が見えないのです。

決して走らず、ただゆっくりとジェイに向かって歩いてくる“それ”。そして、“それ”はどんな人間の姿でついてくるか分かりません。ジェイも、観客も、“遠くから歩いてくる人間”が“それ”なのかそうでないのか、すぐに判断することはできないのです。だからこそ観客は、些細なシーンでも緊張感がやまず、決して分からない“それ”を疑心暗鬼になりながらスクリーン中を探すこととなります。

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ちょっとした隙をついて忍び寄ってきた“それ”が“、それ”だと分かった瞬間には全身を恐怖が駆け巡ります。とにかく目の前の死から逃げ惑うしかないジェイを見ているのは、まるで攻略方法の分からない逃げゲー(とにかく逃げるしか手がないゲーム)を見ているかのよう。果たしてジェイは“それ”の攻略方法を見つけることができるのでしょうか――。

そしてキーになるのが、誰かと寝ることで“それ”をうつすことができるということ。うつされた人間が死ぬことで“それ”の対象は元の人間に戻ってきてしまいますが、誰かを犠牲にすることで一時的に“それ”から逃れることはできるのです。年頃のジェイと、彼女を守りたい異性の友人。誰と寝るのか、誰と寝ないのか――“それ”の存在により、彼女たちの甘酸っぱくも停滞していた関係に変化がもたらされます。

そんな性をめぐる青春の物語と、未体験のホラーが合わさった『イット・フォローズ』。是非劇場で、ゾックゾクしながら体験してくださいませ。『イット・フォローズ』は1月8日よりTOHOシネマズ六本木ほかにて全国公開です。背後に気をつけて、いってらっしゃい!


予告編が表示されない方はホラー通信をご覧ください

『イット・フォローズ』
■監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
■出演: マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット、オリヴィア・ルッカルディ、リリー・セーペほか
■配給:ポニーキャニオン
2014/アメリカ/100分/シネスコ/デジタル/原題:It Follows/R15+ 
(c)2014 It Will Follow. Inc.

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レイナス

おもにホラー通信(horror2.jp)で洋画ホラーの記事ばかり書いています。好きな食べ物はラーメンと角煮、好きな怪人はガマボイラーです。

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