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関和亮 x 真鍋大度 もぐもぐインタビュー「声を映像化したかった」

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音を見る、映像を聴く。体験する音楽。

インターネットではかつて“動画”がリッチコンテンツといわれていた時代があった。現在では高速なインターネットの回線が整い、マシンパワーも格段に上がって、気軽に動画に触れる事ができるようになってきた。それに伴い『YouTube』や『ニコニコ動画』などの動画サイトで音楽に接することが多くなり、音楽の楽しみ方にも変化が現れてきた。音楽はただ耳で聴くだけのものではなく、映像も含めた視覚的要素も大きくなってきたのだ。

音楽は、観て体感するものに変化してきているのだ。

そんな時代に、映像と音との融合、メディア・アートとの融合により、まったく新しい舞台を作り上げる二人のクリエーターがいる。


関 和亮(セキ カズアキ)氏。
Perfumeのビジュアル面の総合ディレクションをこなし、MV制作を手がける映像ディレクター。先日、サカナクション『アルクアラウンド』のMVで 第14回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞 受賞し、Perfume 『DreamFighter』では MVA BEST CHOREOGRAPHY VIDEO 受賞と、いま乗りに乗っている映像ディレクターの一人である。

真鍋大度(マナベ ダイト)氏。メディア・アート、インタラクティブ・デザインの若き奇才。石橋素氏との共作『particles』が2011年度アルスエレクトロニカ準グランプリ受賞、Alvaro Cassinelli氏との共作『scoreLight』が第13回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞を受賞、そしてプログラマー、サウンドデザイナーとして参加した『Nike Music Shoe』はOne Show, Cannes Lionsなどで受賞。カーネギーメロン大学にて行われたopenFrameworksのdevelopers meetingに参加するなどプログラマーとしても活動している。

この二人の科学反応で生み出されていく映像と舞台演出の裏側を探る。

今回はご飯でも食べながら気楽にインタビューでも、と恵比寿にある『かき小屋』にて、わいわい海鮮バーベキューをつつきながら話を聞くことに。なんて思っていたら、かなり興味深い話を聞くことができました!思う存分制作の舞台裏を語っていただきます。

海外メディアも大注目!光る歯!?

記者:えっと…。とりあえず関さん、まだですね……(前の現場からまだ移動中とのこと)。

一同:(……。)

記者:ま、とりあえず生牡蠣でも注文しつつ、真鍋さんのお仕事について質問させてください。

真鍋:最近関わったものですと、LAFORET GRAND BAZARの『Geee face』というCMですね。女性の歯がLEDで光るんです。2008年頃に石橋素氏、柳澤知明氏とダンサーのために制作していた装置を提供しました。

記者:あ!今年のはじめの頃に流れてたヤツですよね!見ました、あれ真鍋さんがやられてたんですね。

真鍋:そうなんですよ。お陰さまで海外のメディアでも取り上げてもらって、まさかここまで話題になるとは思っていなかったですね(笑)。

記者:『NEWYORK TIMES』の記事になったとか!?

真鍋:はい。『NEWYORKTIMES』の記事では日本の若者のあいだでは、こういうものが流行っているという、少しユニークなアプローチの記事でした。

ライターのNick Bilton氏はもちろん本当には流行っていないことは知っていたと思います。その記事の影響力は非常に大きくて、イギリスの『ガーディアンズ』紙を初めとしたメディアが本当に流行っているかの様な記事を書いてどんどん拡散していったという感じです。その後は『Japan Times』が「本当は流行っていない」という記事を書いたりもう本人達の手の届かないところでどんどん議論が進んでました。

「10万個売ってくれ!」といってくる人もいましたね。『Gold Dentist』等、歯医者さんの専門誌にも掲載されました。

記者:すごい拡散ですね。実際おもしろいから拡散したのでしょうね。

真鍋:ブラジルのニュース番組にまで取り上げられて、日本から中継でニュース番組に出演もしましたね。日本の裏側にまで到達して宣伝効果抜群のCMになったと思います。プロダクトを作ることも考えたのですが、中国の業者が似た様な製品を勝手に作って販売していました。

記者:ほかにも、海外でも話題になったといえば……。

店員:ハイ! お通しの蒸し牡蠣ね、1kgになります!

一同:えっ!? 1kg!!? すごいボリューム!

記者:あ、すみません。話し戻しますね(笑)。海外でも話題になったといえば『electric stimulus to face』。こちらは『YouTube』で160万再生を超えてらっしゃいますよね。

真鍋:代表作のようになってますね。あのビデオ自体は作品の制作途中で撮影したテスト動画です。コメントには「fakeだ!」という書き込みが結構多かったのですが、その辺のリアルかフェイクか良くわからないところが話題になった要因でしょうか。CNN、ディスカバリーチャンネル、MTV、Metroなど色んなメディアに出ました。問い合わせも数千件メールがきましたからね。

記者:ものスゴイ影響ですね!

真鍋:外的電気信号によって笑顔は作れるのか、センサーと組み合わせることで表情はコピーすることができるのか、と言った様な問題提起から制作が始まっていますが、コラボレーターの生体アートの第一人者、照岡正樹さんによるテクニカルなサポートとアドバイスによるところが大きいです。

韓国のクイズ番組で変わった特技の持ち主と言うことで勝手にビデオが使われていたのが面白かったですね。顔を音楽に合わせて高速に動かしていると思ったようです(笑)。


と、ここで関和亮氏がさっそうと登場。

関:なに? ココすごい牡蠣好きのパーティーみたいになってるけど、大丈夫!?

一同:爆笑

記者:関さんお疲れ様です! スペースシャワーTV三冠そしてメディア賞受賞おめでとうございます!

関:ありがとうございます!

記者:早速ですけど、お二人の出会いについて教えてもらえますか?

関:だいとくん(真鍋氏)と知り合ったのは、友人に面白いひとがいるよって紹介してもらったのがきっかけですね。だいとくんはもともと僕のこと知っていてくれてて、PerfumeのMVを結構観てくれてたみたいなんですよ。ぼくはぼくでだいとくんが昔開発した環境を使ったことがあって。その話をしたらびっくりして「そんなの使ってくれてんだ!」って話になって、そういう出会いがあって、いろんな開発とかデバイスを使った演出や舞台装置を作ったりしてたので、Perfumeの現場にそういうのが入ってきたら面白いかなぁと思って、そこから一緒に仕事する機会が増えたのかな。

真鍋:そうですね、もっと言うと『ベイビクルージングラブ』のMVを観てて、光源を三人が手に持ってその軌跡が空中に残ったまま流れていくって演出があって、これセンサー使ってるんじゃないの?と思って本人に直接聞いたら「違うよ」って言われておどろきましたね。演出がプログラマーやメディア・アーティストの考えそうなアイデアに近いので、プログラムだと思ってたんですよ。

関:まあ彼の期待を裏切ったんですけどね「いや、あれCGだよっ!」って(笑)。

真鍋:それで「えぇーそれリアルタイムでやろうよ!あれできるよ!」みたいな話をして。

関:あぁーそっから始まったんだったね! 「あ、できるんだ」って。メディア・アートとかもちろん好きなんですけど、それが自分の仕事の現場で使うってとこまでは意識してなかったんですよ、いままでCGで作ってきたものが自動生成できるとか。でも彼はそれを“地”でやってきたひとだから。オレからしたらヒーローですよね(笑)。

真鍋:ヒーローですか?(笑) でも、それが本当はじまりなんですよね。当時『ベイビクルージングラブ』は、ぼくの周りでは、めちゃ話題になってましたよ!誰がプログラミング書いてるんだろうって(笑)。

記者:なんとも興味深い出会いですね! 先におっしゃった、昔真鍋さんが開発した環境で作ったMVって教えてもらえますか?

関:Perfumeの『コンピューターシティ』のMVなんですけど、こっそり使ってて(笑)。これ全然みんな知らないんですけど、画面を分割したり文字をランダム表示させたりとか、全部プログラムでやってて。2005年当時は、日本ではじめてプログラムを取り入れたMVじゃないかって、自分ひとりで思っててほくそ笑んでました、自己満足ですけど!(笑)

真鍋:たしかに、こういった日本のメジャーなMVで『MaxNato』が使われてるのは初じゃないですかね。僕は推していきます(笑)。

一同:爆笑

関:デモでこういう演出をやりたいってプログラムで動かした映像をそのまま編集マンに見せたら「これちょっと難しいっす!」「これちょっと時間ください!」みたいな話になって、それじゃあってことでそのまま採用になったんですよ。解像度とか低かったんですけど、引き伸ばしたりとかして使ってるんですよ。エフェクティブに使ってるのでそれもアリかと。

一同:へぇー!

関:いいものはドンドン取り入れていきたいですね。

記者:こんないい話ガジェ通にありがとうございます!(笑)

声を描く、視覚化する音


記者:スペースシャワーTVのSTATION IDにもお二人の連名で参加されてますよね。

関:そうですね『vocalization』という作品になります。vocalの声に共鳴するかのごとく光のパーティクルが動くという幻想的な作品になっています。これはインタラクティブなんですよ。音と体の動きに反応して、それをリアルタイムで検出して光が変化しながら追従しているんです。アプリのプログラミングはだいとくんにお願いしました。昔から考えているモチーフがあって、声が映像になったらおもしろいだろうなと思っていて、今は技術があるので、ぜひなにか映像として形に残したいなと考えていて、それがきっかけですね。そこでだいとくんに相談して作りました。

記者:あの歌っている女性は誰なのですか?

関:ぼくが映像演出で参加している『Addy』というバンドがあるんですけど、そこのvocalのNAO☆にお願いしました。バンドサウンドではこのアプリは生かせないな、アカペラだなと思ったんです。NAO☆は声に力があるし、安定してるんですよ。アカペラで聴いても説得力があるんです。実際この映像とすごいはまってると思います。

記者:たしかに表情はみえないですけど、感情が伝わってきますね。

関:NAO☆には、アドリブで歌いながら好きに動いてもらったんです。結局、5~6テイクでもうOKがでて。最初の一発目からばっちりだったんですけど、細かく調整し直して作りこみました。まあその調整はだいとくんがやって、ぼくは横でただ「こうしたい!」って言ってただけなんですけど(笑)。

記者:役割分担があるんですね(笑)。

関:あれは、映像としてしか形が残っていないんですけど、ぜひどこかので、ライブで披露してみたいですね。生で観るとぜんぜん迫力というか、感動が違うんですよ!

何かしら、生で体験してもらえる機会があるといいんですけどね。『Addy』のライブで是非実演してみたいですけど(笑)。

真鍋:ステージの環境に依存するところが大きいので出来るかどうか箱を観てみないと分からないですが尺のある映像で観て頂くよりも、生で観て頂きたいですね。機会があれば是非やってみたいところです。

記者:楽しみですね! ぜひ観てみたいです。

関:ぶっちゃけ、作りこんだCGの動きに合わせてvocalが動きを合わせる練習をすれば、同じようなことはできると思うんですよ。でもそうではなく生でリアルタイムでやっているということをいかに観てる人に伝えるか、そこが課題ですね。

真鍋:Wiiやキネクト、iPhoneなど安価なデバイスがどんどん出てくるし、新しい技術がどんどん安く、簡単に使える様になって来ていますよね。なんでもできるからそれが当たり前になってくる。だから余計にアイデアが重要になってくるんです。

関:技術は進化しているから、これからはそれを使って“何をやるか”“どうみせるか”が重要になってきますね。いまどき、ライブにセンサーを使うというのは、普通だしそれで驚くことはないけど、その技術を使ってどんな風に演出を考えるかが重要なんですよね。いかにコンサートを華やかに見せるか、それを考えていくのが僕らの仕事かなと。

もうひとつのレーザービーム


話は盛り上がり、Perfume 10周年公演 東京ドーム「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」 の舞台演出について。

記者:東京ドームの舞台演出に参加されたわけですが、一番印象に残っている演出ってありますか?

真鍋:風船爆破ですね。マスターとなるシーケンサーから制御ソフトにメッセージを送って風船をレーザー光線で割るんですけど、これが地味だけど難しかったです。僕はソフトを担当していて、ハードは石橋素氏、原田克彦氏、堀尾寛太氏、柳澤知明氏がやってます。

記者:地味だけど難しいって報われない感じが強いですね。

真鍋:風船を割る方法なんですけど、もちろん風船を本当に割るような高出力のレーザーなんか危なくてあつかえないですからね(笑)。まず日本では無理です。今回はニクロム線を加熱して割りました。

記者:ニクロム線ですか! 電熱器や電気ストーブに使われてるやつですね。

真鍋:そうです。ただ、ニクロム線を加熱して風船が割れるまでの時間は幅があるんですよね。風船の個体差や環境まで考慮する様な計算は僕にはできないし、ニクロム線の取り付けが手動な時点で一定にはならない。

とはいっても、コンサートでは風船の爆破、音、映像全てを同期しなきゃいけないのでどの程度割れるまでの時間に幅があるかを調べる必要があるわけです。あまりにも幅が大きいようだと仕組みを考え直さなくてはならないので。そこで、秒間5000フレームのハイスピードカメラを借りて、ニクロム線で風船を加熱して割れるまでにどのくらいの時間がかかるかという実験を行いました。

ここまでやって、はじめてあの本番で使えると判断できるわけなのですが……。ただ観てる人からしたら吹き矢で割ってんじゃないの? って言う人もいますよね。それは別にいいんですけどね(笑)。

記者:うわぁー報われない感じですね……。でもそれは技術屋の意地ですよね!

真鍋:そうですね。それは意地でもありますし、自己満足かもしれませんが(笑)。

関:へぇーそんなことまでやってたんだ!(他人事の様に)

一同:関さんひどい!!(爆笑)

真鍋:風船爆破の演出は8小節くらいしかないのですが、そういった今まで試したことのない技術的なチャレンジがあるから、ぼくらも楽しくやれているところはあると思います。なかなか東京ドームのような大きな舞台でやれる機会なんてないですからね。

関:今回のチームがみんな理系なんですよ、プログラマーなんで。だから普段みんなおとなしいんですけど、当日現場のトランシーバーで「いきますっ!!!!」とか、いきなり大きい声出してるんですよ(笑)。あれがおかしくて(笑)。「あぁー! 普段おとなしいのに大きい声出してる!」ってそれ見てひとりで爆笑してました!

一同:関さんホントひどい(爆笑)。


真鍋:でも本当現場の緊張感がハンパなくて、みんなテンション上がってるんですよ。一回だけの公演だし、成功か失敗か分かりやすい演出なので。

関:ぶっちゃけ、本番まで全ての演出が成功したことは一度もなかったんですよ。でも、本番は全て成功するんですよねー。あの三人(パフューム)の力ですかね、やっぱあるんですよ。持ってるんですよ!(笑)

記者:あのステージは多くのひとの支えがあってできあがってるんですね! 今後もお二人で活動される予定などはないですか?

関:スペシャIDでお話をした、NAO☆がヴォーカルをしている『Addy』が7月22日にワンマンライブをやるんですけど、そのとき僕がVJで、だいとくんが演出で参加するんですよ。

記者:おぉー! それはかなり楽しみですね! どこでやるんですか?

真鍋:渋谷のWOMBでやります。普段ここでやっているイベントに参加する際はDJのトラックに合わせてVJをやることが多いのですが今回は生のバンド演奏ですので、ボーカルか楽器の音を拾って何かやろうと企んでます。1曲だけなのですが楽しんで頂けると嬉しいです。

記者:なかなか間近で体験できる機会は少ないから楽しみですね。多くの興味深いおはなしありがとうございました! 最後に好きなウェブサイトを教えてもらえますか?

真鍋:一番良く観ているのは間違いなく『Twitter』ですね。

関:『YouTube』かなあ(笑)。あ、あとガジェット通信??(笑)

記者:ありがとうございました!!(笑)

恵比寿の夜は更けていく。

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記者:

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