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いままでありがとうございました の巻

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農家の婿のブログ

今回は農家の婿さんのブログ『農家の婿のブログ』からご寄稿いただきました。

いままでありがとうございました の巻

このブログは過去記事みてもそうですが、基本的には一農民の愚痴の垂れ流しブログです。
あくまで僕の個人的な愚痴をこぼしてしまっただけのブログであって、一部伝聞情報もあります(ウチの村のホットスポットのあたりとか)。
そのあたりご了承のうえ、お読みください。

どーもどーも お久しぶりでございます。
やっと落ち着きました。
今年初めてのブログですが、いきなりお別れの挨拶です。

いままでありがとうございましたの巻 いままでありがとうございましたの巻 いままでありがとうございましたの巻

田んぼは津波にやられませんでした。
だから大丈夫かなと思いきや、まさかの原発アタック。

このブログでも、
いわきに住んでます、いわきの米うまいっす、いわきの米買って下さい
とやっていた婿です。
もしやと思っていた方。
ビンゴです。

そしてウチの街は今こう呼ばれています「最果ての街」。
国道6号線。
行政、経済機能が維持されている最北の街だからです。
だからウチの家も田んぼも当然のように原発30km圏内。

そんな婿の近況。
ウチは規模が大きめなので、毎年播種は4月5日、10日、15日と3回に分けてやっていたのですが、今年は義母と議論して議論して議論して、作付を自粛することにしました。

理由は3点。

理由1:作らなかったら0(ゼロ)、作ったら赤字、だったら0のほうがマシ

そもそもなぜ作付を議論する余地があるのかというと、4月23日、いわき北部は緊急時避難準備区域から外れ30km圏内でも作付にGOサインがでました。
当時、作っても大丈夫なのか、土壌調査はしたのかと問い合わせた婿に対する農協や市のコメントは
「土壌調査はしてない(ウチの地域)けど大丈夫です。制限が解除されたので作ってください」
でした。
(その時点で土壌調査されていたのは、広いいわき市でたった4か所)

作って、汚染されていたらどうなるのか、その買い取りに関しては責任を持ってくれるのかという問い合わせに対する返事は
「わかりません。あくまで自己責任で」
でした。
作らなかったら補償はどうなるか? と聞くと、対象になりませんという返事。
要するに、
「作んなかったら補償ナシな、だけど作っても俺たち知らねえから」
でした。
どこの剛田さんとこの息子かと思いました。

理由2:時間的に無理ッス

このあたりの播種限界時期は4月25日と言われておりまして、4月23日に作付制限解除され、それから避難先から帰って、もみを買って、土を買って、箱を洗って、ハウスにビニールをかぶせて、ハウス内の草を刈って、整地して、機械を整備して、保温機を組み立てて、調整して、1700枚の苗箱に種を撒き切る……これらの作業を2日間で終わらせるのは無理でした。

そして理由3、最後の理由

これが婿の中で一番大きな理由でした。
汚染されてないかもしれない、だけど汚染されてるかもしれない……そんな嫁に食わせたくない米を人様に売るわけにいかねぇっつーの!

汚染されてる米が万が一流通ルートに乗っちゃったら、責任とれないです。
他人の健康を害するかも知れない米を売ったお金で生活する。
それは無理、無理っすわ。
農家にだってプライドありますし、そんなもん出すくらいなら補償0のほうがマシじゃボケっ!

っつーことで今年は作付を断念。
というか、廃業することにしました。

ここから下は愚痴&廃業理由。

いわき市は一応商業地域でありまして、行政の上の人たちは避難地域に指定されなかったことで万歳してる感じです。
汚染されていたら困るわけですね、風評的に。
だから、作付制限解除だけを前面に押し出して、いくら頼んでも要請しても、土壌調査にも来てくれないし、線量測定にも来てくれませんよ。数字が出ちゃうと困るんでしょう。だから頑なに動かない。

今日、義母が興奮しておりました。
ウチの村のホットスポットらしき場所にある家の雨どい、
180μSv/h
ですってさ。

市も農協もなーんもしてくれないから、高価でちゃんとした線量計を業者さんから借りてきて自分たちで測った数値です。
1日いたら年間被爆量超えるんスけど。
周辺は2~3μSv/hだそうですよ。普通に飯館クラスなんですけど。

そしてウチの裏山。

いままでありがとうございましたの巻

いえーい 1.48μ
これは高価な機械ではなく、個人で持ち歩く簡易タイプをお借りして測りました。ちなみにこの時の最高時は撮ってないですが 2.61μ。
山マジパネェ。その山に植えた梅はダメだなコリャ。

まあ、国のみなさんは、そんな土地で土壌調査もせずに「作物を作れ」と言ってきているわけで、正直、頭がおかしいとしか言いようがないですね。
ウチの市長も仕事してないですし。
そんなこんな、なんもやってくれないので、集落みんなのお金で、数十万かけてこの村の土壌調査をすることになりそうです。

今日、今、担当の委員会が開かれています。
明日は村の委員会が実行方法について決定する予定です。
ビックリしましたか?
3か月たつのに、いくら要請しても行政が全く動かないので、地域のおじいちゃん、おばあちゃんたちが田畑整備のために集めていたお金を使って土壌調査です。
業者の人に入って来てもらって線量測定です。
情けなさ過ぎて笑うしかないですね。

ともかく、そんな土地で作付が許されています。
そう、いわき北部は、今年日本で一番原発に近い米所です。
そんな米、みなさん買いますかね?
買わないのが当然です。お子さんがいる家庭ではむしろ買ってはいけない。

がんばろう福島?
安全で美味しい?
商品を買うことで支援?

クソ喰らえですね

福島県民が福島産買ってないんですよ?
こっちの直売所なんか下手したら以前の10分の1とかでしょう。
スーパーだって福島県産の野菜、安過ぎ、そして残り過ぎ。

流れぶった切りで申し訳ないですけど、会津地方はほとんど大丈夫かと勝手に思ってます。
なぜなら、フツーに関東より線量とか低いし、山脈最強です。
そのかわり、山脈手前の郡山は悲惨なことに……。

話を戻すと、どいつもこいつも無責任に過ぎます。
風評被害ではなく実害だということになぜ気付かないのか。
きちんと細かく丁寧に線量を計測して、最低でも田畑1枚ごとの土壌調査をして、できた作物も検査して、ある程度の期間統計を出して、それらのデータを余さず公表して、誰でも閲覧できるようにして、

それではじめて「安全です」でしょう。

空間線量も測りに来ない、土壌調査にも尻ごみしてる、作物検査だって、民間の抜き打ち調査でスーパーに並んでいる商品からとんでもない数字が出てる。

連続的データもなければ、データは「国民に公表するという発想がなかった」という名目の隠ぺい。
今やってる土壌調査もどこまでものかわかりません。
なぜなら、彼らは地表5cm~15cmの土をもっていくから。
まだセシウムは1~2cmくらいしか沈着してないと学者さんが言ってんのに、5~15cmの土を持っていくことにどれだけ意味があるのか。

他の地域の知り合いの話ですが、その人の田んぼから県が土壌調査名目で土を持って行ったそうです。
結果は134、137、合わせて4000ベクレルほど。
深いところから持って行くもんで不安に思って0~5cmの土を自分で採取し、検査を依頼しました。
結果は3万5000ベクレル。
濃い部分だけなので、撹拌するともう少し数値は下がるでしょう。

だけどどう思いますか。
これが現在の福島県の現実です。
どこがどうやったら大丈夫と言えるのか。
買うのは自由、食べるのも自由です。
買う人、食べる人には素直にありがとうございますです。心の底から。
しかしながら
「福島の作物を買うのが支援で良いことで、それを否定する人は神経質で良くないこと」
そんな風潮、こんな風潮を作りだそうとしている人たち、心の底から反吐が出ます。

そしてこのブログを見ている方々に少しだけ安心材料を。
いわき北部、元30km圏内では、作付制限が解除されたにも関わらず、ほとんどの農家が自粛(もしくは自分のところで食べる分だけ)してます。
しかし、一部では作付はなされています。
秋、検査の結果、どうなるかは知りません。
今のテンションだと、基準値超えても混ぜるのではないかと邪推してます。
混ぜてならして、手元に届くのは500以下だからいいじゃん!
今の対応を見てる限りそういう話になりそうで怖いです。

だって、いわき北部はおそらく9割くらいの農家が作付してないのに、農協も市も、作付しなかったお前らが悪いんだろ感マジパネェっすもん。
補償はしねえし自己責任だボケと言われてしまうほど非常識な決断ですかね、自主的に作付しないっていうのは。
農協も市もやるべき仕事が違うと思うんスけどねえ。

農家ネットワークで聞く限りではいわき市30km圏内は9割以上作付してません。
市に電話してみたら、その実態を未だに把握してないとのことでした。
正常な判断能力を有してたら、普通はやるでしょそういうの。制限が解除された地域って日本中でココらへんだけなんだから。
まあ、馬鹿だからしょうがないと。

市長等、市政の意思決定する人たちの頭が悪いとこんなにも苦労するのですね。
いい勉強です。

それとは別に、現場の公務員の方々は本当に凄いです。
逃げずに残って市民のために踏ん張ってくれました。
震災から1か月なんか24時間体制土日祝日ナンボのもんじゃ! でした。
心から感謝します。

ただ、僕はたまたま自粛したのですが、決して作った人が悪であるというようなニュアンスでとらないでほしいのです。
当時は国と県・市の連携もほぼ皆無(県の担当職員の情報源は国の会見や発表で県職員激怒だった←マジです)で情報は錯綜、何が正しいかも分からず、稲作農家は例外なくギリギリの決断を迫られました。畑作農家については詳しく知らないので言及できません。

迷いに迷った時に、薄い根拠で背中を押した行政にモノ申したいとは思っても、僕は押されて作った人たちをどうしても責められないんです。
モラルだとかプライドだとか、そういう要素も確かにあるのかもしれませんが、家族がいて食わせていかなくちゃならないんです。

なぜ作ったのか、それは見通しが立たなかったからです。
例えばきちんと一言、
国だったら「作るな、補償すっから」
市・農協だったら「自粛しましょう、結果は断言できないけど一緒に戦いましょう」
この一言があるでどれだけ楽になれたか。

県は言ってくれました。自粛しましょうとは言わなかったけど、ていうか言えなかったんだろうけど、「絶対国にきちんと求めますから!」と力強く励ましてくれました。そして実際国や東電に申し立ててくれています。
この一言もウチにとっては大きかった。

近隣の農家は作った人も作らなかった人も、今でも悩んで後悔しています。みんな疲れています。
「作った人は悪ではない」
決して僕が言ってることが正しいと主張したいわけではありません。
このブログはあくまで一農民の愚痴を撒き散らしたものであって、このブログの記事を、作った人を責める口実として使ってほしくないというお願いです。

八方美人で矛盾したことを言っているようですがこの点だけはどうしてもご理解いただきたい。
どうかよろしくお願いいたします。

以上です。

少なくとも数年は実害、そしてその倍は風評被害。これに耐える経済的体力がウチにはないと判断しました。
そんなこんなで廃業です。

個人的にお願いした土壌調査の結果がとりあえず口頭で伝えられました(後で文書が来ます)。
採取日は今週月曜日 ウチの田んぼ○○枚中、5枚の田んぼ各1か所の土壌の検査結果です。

セシウム134・137合計
5か所のうち2か所は 3500ベクレル程度。
3か所は5000を超えました。8000近い数字です。

線量が高い地域に比べたらまだマシです。
そのくらいでへこたれるなと言われるかもです。

だけど……凹みます。
やはり出ました……。
涙が出る……。

去年まで、このブログを見てくれた方々、本当にありがとうございました。
それでは。
最果ての街より。

婿

執筆: この記事は農家の婿さんのブログ『農家の婿のブログ』からご寄稿いただきました。

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記者:

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