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80歳で起業、和田京子不動産が誕生したワケ(前編)

80歳で起業、和田京子不動産が誕生したワケ(前編)

「一度も就業経験のない専業主婦が79歳で宅建の資格をとり、80歳で不動産会社を起業」、「仲介手数料無料という顧客目線のサービスで年商3億円」——。最近、そんな耳目を引く言葉で、テレビ各局の情報番組に紹介されている和田京子さん。なぜ経験のない不動産業を手掛けることになったのか。80歳で一念発起し起業に至るまでの人生と、過去の経験がもとでうまれた現在の徹底した顧客サービスについてお話を伺いました。
顧客を第一に考える和田京子不動産の独自サービス

和田京子さん(以下、京子さん)は、江戸川区で売買物件を専門に扱う「和田京子不動産株式会社」を営む85歳の現役社長。共同代表である孫の和田昌俊さんと一緒にご自身の氏名を冠した会社を立ち上げて、今年で5年目。従業員はなく、お二人で仕事を分担し、仕事が深夜にまで及ぶことも少なくないという多忙な日々を送っています。

創業3年目以降は年3億円の売り上げを達成しているそうですが、それは「80歳で開業」という話題性だけで成し遂げられることではなく、京子さんと昌俊さんが顧客の立場で考え抜いた独自のサービスを提供していることが大きく影響しています。

【顧客にとってうれしいサービス】
(1)買主からの仲介手数料が無料
売買物件の仲介業者は「物件価格の3.24%+6.48万円(税込)」(※1)を上限とする仲介手数料を、売主・買主双方からそれぞれ受け取れると宅建業法で定められています。例えば3000万円の家を買ったら仲介手数料は最大で103万6800円となるのですが、和田京子不動産では買主からの手数料を無料としています(※2)。
※1:物件価格400万円超が対象。それ未満の仲介手数料の上限は異なる。
※2:ただし、専属専任媒介物件など売主側の仲介手数料が生じない物件は、一律50万円(税込)の仲介手数料がかかる

(2)住宅ローン事務代行手数料(※3)が無料
住宅ローンの手続きを不動産会社が代行する場合、一般的に10万円ほど(※4)の手数料が発生しますが、これが無料になります。
※3:銀行やローンの紹介、申請書類の代書作成、申請時に銀行でサポートする等の事務手続きに対する手数料。実費は顧客負担
※4:仲介会社によって数万〜30万円と幅がある

(3)売買契約締結時に顧問弁護士が無料で立ち会う
知識が少ない顧客が、人生で一番大きな買い物で悪徳不動産会社にだまされることがないよう対応しています。

(4)24時間営業
仕事や育児などの都合で夕方までに不動産会社へ行けないという顧客や、すぐに相談したいという顧客のため、いつでも電話やメールで対応できるよう、就寝時や入浴時にもスマートフォンを手放さないようにしています(問い合わせ電話の増えた現在は、冷やかし対策として電話代行サービス経由で電話を受け付けているそうです)。

このほかにも、顧客の内覧前に現地を視察し候補物件のメリット・デメリットを把握して、悪いところも包み隠さず伝える、顧客と物件の内覧へ行く際に一緒に夜道を歩いて安全性を確認する、500円分のクオカードを名刺にして「足代の足しに」と渡すなど、安心や細やかな心配りを提供しています。

家を購入した顧客からは「京子さんの親切・丁寧・親身な対応で安心して家を購入することができました」との声を多数頂いているそうです(HPの「お客様アンケート」より)。

サービスの最大の特徴である『買主側の仲介手数料無料』というのは、「買うお客様は一生懸命お金を貯めて、購入後にローンを返済していくわけですから、できるだけ費用がかからないようにして差し上げたい」、「わたくしがここまで生きてこられたのは世の中の多くの方々にお世話になったから。だから少しでもその恩返しになれば」という京子さんの思いと、他社とは異なる真の顧客サービスを提供したいという昌俊さんの考えから生じたアイデアでした。

ただし、買主側の仲介手数料が無料ということは、収入は一般の不動産会社に比べて半分以下しかありません。経費は同じだけかかるので、それを差し引くと利益は他社に比べて約3分の1となります。「だから倍以上働かないと、と薄利多売で頑張っています」と昌俊さん。駅から徒歩8分ほどの住宅街の路地に立つご自宅の和室を改装して事務所にしたり、広告費等の経費を削減することで維持してきました。

駅から距離があるので、電話を頂いて車でお迎えにあがるサービスもありますが、今は事務所に来訪せず、メールと電話で効率的にやり取りをする顧客も増えてきているそうです。

こうした、「家を買う人の幸せを第一に考える」というポリシーで顧客の立場に立ったサービスを徹底して行っているのは、実は、京子さんご自身の住宅購入の失敗経験が基になっています。

【画像1】左:一軒家に架けられた銀色の寄席文字の社名が目立っています(写真提供/和田京子不動産)。右:夜訪れる顧客のためにタイマー式の照明が道を照らします。車は京子さんの愛車。「車の運転が大好き」と、自ら運転して顧客を物件へ案内することも多いそうです(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】左:一軒家に架けられた銀色の寄席文字の社名が目立っています(写真提供/和田京子不動産)。右:夜訪れる顧客のためにタイマー式の照明が道を照らします。車は京子さんの愛車。「車の運転が大好き」と、自ら運転して顧客を物件へ案内することも多いそうです(撮影/SUUMOジャーナル編集部)ワケあり物件、欠陥住宅……失敗を繰り返した住宅遍歴

結婚後、転勤などで7軒の家に住んできて、その都度、ワケあり物件だったり欠陥住宅だったりと、散々な経験をされてきた京子さん。

【苦難続きだった住まいの変遷】
(1)『重要事項説明がなかった貸間』
22歳で高校教師の夫と結婚し、呉服店の2階の10畳間を間借り(下宿)。前の住人が肺結核であったことを家主から告げられないまま契約。入居後に判明し、消毒などの手間がかかった。当時の貸間は6畳の部屋が多いのに広い10畳間を借りられたのは、前の住人の件で誰も借り手が付かなかったためと分かる。立地は商店街で買い物が便利だったが、当時、京子さんは持病で安静にしなければならない中、生徒さんが夫を訪れてくることが多かったため、新しくできた教員住宅へ引越すことに。

(2)『手狭な2間のアパート』
夫の転勤で2間のアパートへ。数多くの蔵書、箪笥、ピアノを置いていたので、親子3人の暮らしには手狭だった。

(3)『毎日断水する集合住宅』
2人目のお子さんが生まれるのを機に、知人の家(集合住宅)を借りることに。間取りは5LDKで広かったが、丘の上の建物のため水道の給水力が弱く、毎日断水するなど不便な面があった。

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