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小野大輔さんロングインタビュー!~マガジンハウス担当者の今推し本 オーディオブック『世界から猫が消えたなら』

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こんにちは、マガジンハウスです。今回おすすめしたい一冊は……というか、音源なので‟冊”で数えるのかわからないのですが、とにかく話題の新商品です!
80万部の大ベストセラーとなった、2012年発表の小説『世界から猫が消えたなら』。来年には佐藤健さん主演の映画も公開されるこの作品が、このたびオーディオブックとして発売されることになりました。
そ・し・て! 主人公<僕>の声を演じられるのは……なんと、あの小野大輔さん! 今日は、音入れを終えたばかりの小野さんに、突撃インタビューを敢行してみます。

―――小野さん、収録お疲れさまでした! 直後で申し訳ないのですが、いきなりインタビュー始めても大丈夫ですか?

小野 「ええ。逆にインタビューだ、ってかしこまらず、いま普通にお話している流れで話したほうが、出てくるものもあると思います」

―――かしこまった取材は苦手なんですか?

小野 「そうですね……あんまり用意すると喋れないんですよね、感じたこと、思ったことをそのまんま喋ったほうが面白いというか、自分の気持ちっていうのがそこに乗る気がするんですよね」

―――ふむふむ。

小野 「この作品は、主人公である<僕>と、<僕>にそっくりな悪魔が出てくるじゃないですか。その会話劇でもあるから、地の文と会話の部分があるんだけど、会話部分の割合がなかなか多くて。実は最初に録る時に相談していただいて、後で録るという案も出たんです」

―――地の文と会話部分を分けて録るということ?

小野 「そう。そのやり方もあるなあとは思ったんですが、ただ、僕はたぶん全部地でいかないと、逆にうまくできない気がしたんです。そういう性分なんで。だから、ちょっと大変だったかもしれないですけど、そのままの流れで録らせていただいたんです」

―――あの、ちょっとネタバレになるかもしれないんですけど、<僕>と悪魔って見た目が同じですよね。声は変えたんですか?

小野 「僕、声も似てるのかなって思ってたんです。喋りのトーンや早さも、そんなに差がなくて不気味なのかなって思ってたんですけど、最初に役をつけていく段階で、『いや、悪魔はもう全然違った異質なものに』って言われたんです。それは(著者の)川村先生からもありましたね。初回の収録にいらっしゃってて、お話した時にやっぱり、なるべくそこに落差があってほしい、差がついてほしいという風に演出いただいたので、なるほどと」

―――見た目は同じだけど、声は違うんですね。

小野 「ええ。これ後で気づいたんですけど、会話中、悪魔が<僕>の声を出すシーンがあるんです。悪魔が<僕>っぽい声を出しておちょくってくるんですよ。そこで、『あ、なるほど!』と。つまりそのシーンが効果的になるためには、悪魔は悪魔の声じゃないといけないし、その悪魔が急に<僕>っぽい声を出すという怖さも出てくる。うわー、これは面白いと思いましたね」

―――腕の見せ所っていうか、声の聴かせ所ですね。

小野 「元々、読んだ時の印象をそのままやりたいなとは思ってたんですが、この文章が音になる意味があるようにもしたかった。だから、そうやって演出いただいたことがすごくありがたくて、発見がありました。より音にしたときに面白くなるように作っていただいている気がしますね。僕にとってもすごくプラスになって、嬉しかったです」

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―――他に難しかったところはありますか?

小野 「実は、台詞だけ後から録るという案の他に、悪魔と<僕>も分けて録るというお話もいただいたんですけど、それも会話でやりたいですって言いました。だから今回はほとんど分けてる部分がないんですね。会話の感じっていうのは、今お話してる間でも、感じられると思うんですけど……」

―――んー……。

小野 「あ、いま相槌打ちましたね?」

―――あっ、はい。

小野 「そう、会話って、このようにかぶってるんです、必ず。でも一人でやるとかぶれないじゃないですか」

―――! そうですね!

小野 「それを一人でやらなくてはならない。なので、‟いかに会話にするか”っていうのは、すごく意識しますね」

―――一人で会話にするって、かなり難しいですよね……。

小野 「でもそれってすごく楽しくて。難しかったっていうよりは、チャレンジするのが楽しかったですね」

―――私、‟会話ってかぶる”ということも、いま小野さんに言われるまで意識したことなかったんですけど、そういうのふだんから考えて暮らしてるんですか?

小野 「あ~どうでしょう(笑)。ただ、朗読やってみて、2つ3つの役を同時にやっていくと、やっぱり、あ、かぶれないんだっていうのが悔しくて」

―――‟悔しい”んですか。

小野 「そうですね、声帯はひとつなんで」

―――笑

小野 「一人でかぶって喋れたら、人間じゃないんで、もう。できるならばそんな声帯がほしいなって思いますけどね(笑)」

―――バケモノになっちゃう!

小野 「オバケですよね(笑)。そういえば、意識するしないのお話も、このお仕事をする上では必ず考えなきゃいけないことですけど、僕は自分の師匠である納谷六朗さんに尋ねたことがあるんです。どういう役者さんがいい役者さんですかって。そしたら、『耳がいい役者がいい役者だ』って答えてくださったんです。僕はその時、声優の駆け出しの時期だったんで、なんで耳なんだろう? って思ったんですよね」

―――声がいい、じゃないんですね。

小野 「で、なんでですかって伺ったら、『人の台詞を聴ける人じゃないと、上手くならない』と。『人の台詞を聴いて、どう返していくか。そこに技術を超えた何かが生まれてくるし、いくら自分ひとりで声を磨いて、声色を研究していっても、最終的に行きつくところは、誰かとお芝居をした時にどう返していけるかなんだ』と」

―――さすが大先輩は深いことを仰いますね。

小野 「あと、おんなじ場所にいる人たちなのに違う温度で喋っててもダメですよね。そういう部分でちゃんとうまくできる人っていうのは、やっぱ耳がいい、人の台詞聞いてるんだよって。おお~、そうかあって感動しました。だから僕が、ずっと大事にしてる言葉なんです」

―――耳をよくする努力っていうのは、日常生活で工夫とかあるんですか?

小野 「それが実は、若いころに出来上がってた部分があるというか。僕らの業界では‟番組レギュラー”って呼んでいるんですが、何かっていうと、どの作品も、まずメインの方がいらっしゃって、他にいろんな役がありますよね。例えばシリーズのテレビアニメでいうと、1話2話3話って、ずーっと続けて出てる、いろんな役を演じる担当の役者がいるんです。それが番組レギュラー。例外もありますけど、だいたい若手がやるんですよ、色んな役を。例えば1話では兵士、2話では村人B、で3話ではお爺ちゃん、っていうふうに、色んな役を演じていく役割を、僕、デビューから5~6年目ぐらいまでずーっとやってて」

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