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首相公約「介護離職ゼロ」の真実!問題のネックはどこに?

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「介護離職ゼロ」を勘違いしていませんか?

安倍首相が自民党総裁選で掲げた公約「介護離職ゼロ」の実現に向けて、特別養護老人ホームを大幅に増設・整備する方針を打ち出しました。しかし、「介護離職ゼロ」というフレーズを勘違いしている人が多いというのも事実です。

「介護離職ゼロ」は、介護職を辞職する人をゼロにするという公約ではありません。本当の意味は介護職員ではなく、親や親族を介護するために仕事を辞職する人をゼロにするという意味です。私の周りや介護現場の職員でも勘違いしている人が多く、特に介護現場の職員は、特別養護老人ホームを増設して一体何が解決するのだろうと疑念を抱いていたようです。

「特別養護老人ホーム」の整備による効果と問題点

特別養護老人ホームへの入所待機者は、2013年度で全国に52万人も存在します。今年の介護保険改正で「要介護3」以上の人でなければ入所できないようになりましたが、特別養護老人ホームの増設によって15万人の入所待機者の解消を目標としています。そして、入所することで介護していた家族などが、介護を理由として離職することを減少させることができます。なお、具体的な取り組みの財源としては、消費増税分を原資とする「地域医療介護総合確保基金」を活用するとのことです。

しかし、箱物である「特別養護老人ホーム」を増設することは、そこで働く職員の確保が大きな問題として挙がってきます。現時点でも、介護職員が10年後には38万人不足すると言われているにも関わらず、これに関しては具体的な方針もないまま。まずは、「現場の改善」が必要であり、今回の公約は順序が逆のように思われます。

影響が出始めている「現場の改善」が急務

確かに「特別養護老人ホーム」などの施設を充実することも必要ですが、これからの超高齢化社会を支える仕組みである「地域包括ケアシステム(在宅支援)」では、自宅での生活を基盤とした「医療・介護・住まい」の地域密着システムの構築が定められています。

そのため、「ハード面」の整備も必要ですが、「ソフト面」である「現場の改善」が急がれます。特に介護職員の離職が急増しており、現場では常にギリギリの状態での運営がなされています。もはや介護職員処遇改善加算だけでは、問題解決にはならない状況であることに気付いてもらいたいものです。

さらに、それらの影響と見られる事案が起きていることに危機感は募ります。それが、「ワタミが介護事業子会社を売却」「老人ホーム(大手)の連続転落死問題」「今年(1~8月)の介護事業者倒産が過去最多(東京商工リサーチ)」などです。「介護離職ゼロ」の前に、「介護職員ゼロ」にならないことを祈るばかりです。

(松本 孝一/介護事業コンサルタント)

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