ある旅行会社がテロの影響で半減した売上を2か月で戻せた理由

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ある旅行会社がテロの影響で半減した売上を2か月で戻せた理由

 一見、同じような環境にいるにもかかわらず、ことごとくチャンスをつかんでいく人がいる一方で、ことごとくチャンスを逃してしまう人がいます。その差はどこにあるのでしょう? またそれは埋めようのないものなのでしょうか? 

 『奇跡(ミラクル)を呼び込む力』(PHP研究所/刊)の著者である西智彦さんは、大学時代のアメリカ留学経験を活かし、26歳で海外専門旅行会社JST(ジャパンスタディツアーズ)を設立。以来、37年にわたって事業運営に携わっている、現役の企業経営者です。
 西さんは、身のまわりに起きる「些細な幸運」を逃さずチャンスへとつなげてきた人物。その結果、リピーターおよび紹介客で売上の80%を実現しているといいます。
 西さんは自身の成功を語るなかで「奇跡」という言葉を度々用いています。西さんが語る「奇跡」とはどのようなものなのかを中心にお話をうかがいました。今回はその後編です。

――西さんの創業時のお話をうかがっていると、奇跡を呼び込むためにはポジティブであることも重要な気がします。元々ネガティブな人が奇跡を呼び込むためには、まずどのようなことに気をつけるべきでしょうか?

西:暇な人ほど、まだ起こりもしないことについて「ああでもない、こうでもない」と不安になりたがる傾向があります。このような人が奇跡を呼び込むためには、まず「忙しくなる」ことが重要です。
わが社も、まさにこのことを痛感させられる出来事がありました。アメリカで9.11同時多発テロが起きた際のことです。テロの影響で売上が1ヶ月あたり5億円から2億5千万円へと半減し、まず会社を忙しくすることが重要だと考えた私は、スタッフに「12月からは忙しくなるので、10月、11月のうちに有給休暇をとっておいてください」といったんです。
その結果、半分ほどの社員が休暇をとりました。以前に比べて仕事の量は半分になったわけですが、人員の数も半分になったため、休みをとらなかった社員は最盛期と同じくらいの忙しさで働くことになったんです。
この時期、閑古鳥が鳴いている旅行会社は少なくありませんでしたが、忙しそうにしているわが社のスタッフを見てお客様は安心してくれたようです。その結果、申し込み数は伸びました。テロ後、同業他社の多くは元の売上に戻すのに1年半ほどかかったそうですが、わが社は2か月ほどで戻せたんです。暇な状態のまま放置していたら、きっと多くの社員が「いつ潰れるのか…」と暗い表情になり、その不安がお客様にも伝わり、ここまで短期間で業績を回復させられなかったでしょう。ネガティブな人が一足飛びにポジティブになることはむずかしくても、ひとまず「忙しく」してみることで突破口を見いだすことはできるはずです。

――「ネガティブであること」以外に、奇跡を呼び込めない人の特徴はありますか?

西:ありますね。利己的だと奇跡をうまく呼び込めないと思います。なぜなら、人との縁をうまく生かせないからです。結局、奇跡の種になるチャンスや幸運を運んできてくれるのは人ですから。逆にいえば、利他の心を持つことで、奇跡を呼び込むことは可能です。なので、私は「成功の秘訣は?」と尋ねられたら、「人を儲けさせること」と答えるようにしています。
たとえばインターネット上に2万円で売られている商品を、あなたの友人が2万5000円で売っていたとしましょう。多少高くついても、私なら友人から買います。このように人を儲けさせてあげることで、それは縁となり、後々2倍、3倍になって自分のところに戻ってきたということが何度もありました。

――西さんはそのような利他の精神をどうして持つことができたのでしょうか?

西:私が鹿児島県の沖永良部島という、九州よりも沖縄にほど近い南国の島で生まれ育ったことが要因でしょう。この島には昔から「訪ねて来た人の口を動かさずに帰してはいけない」という教えがあります。たとえ自分がどんなに貧しい状態にあっても、わざわざ訪ねて来てくれた人がいるなら、ご馳走でもてなしなさいという意味です。
相手が本土からの見知らぬ旅行者であっても、近所の親しい人であっても、関係ありません。訪ねて来た人をなけなしの食べ物でもてなし、お土産を持たせる。そうすることで、自分の食べる分がなくなったとしても構わないんです。島中で同じことが行なわれているため、結局めぐりめぐって自分も誰からからもらいものをすることになるからです。
このように「Give&Give」の精神が根づいた島で幼少期を過ごしたことで、利他の精神を育むことができたのだと思います。

――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。

西:この本は、色々な方に読んでいただける内容だと思っています。私の子ども時代のことが書かれている第1章は子育て中のお母さん方に、大学時代について書かれている第2章は「学生時代にやっておくべきこと」を知りたい学生さんに役立つ内容が書かれていますし、他に駆け出しのビジネスパーソン、経営者・リーダー層などに役立てていただける章もあります。
また本書を通して感じとっていただきたいのは、奇跡を呼び込むための考え方・生き方の大切さです。ここに書かれていることを意識し習慣化することで、あなたも願いを叶えられますよということをお伝えしたいですね。

(了)


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