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『カンフートレジャー 龍虎少林拳』で、プロレス界ではリアル兄弟コンビよりビジネスコンビの方が好連携な事象を思い出す

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 プロレス界でリアルな兄弟といえば、力道山時代のシャープ兄弟に始まり、多くがタッグ・チームとして活躍しています。当然、兄弟として連携や合体技が期待されるのは、今も昔も同じ。
 映画の世界でも兄弟ならではの息の合ったコンビネーションが話題になった作品は多々有りますが、今回お題とするのは、『カンフートレジャー 龍虎少林拳』(1981)。

 本作は、急逝したブリース・リーに代わる香港映画界のニュースターとして期待された「傅聲(アレクサンダー・フーシェン)」と、その実弟である「張展鵬(チャン・チャンポン)」共演のショー・ブラザーズ謹製ドタバタ・カンフー・コメディ。

 トレジャーハンターのタオパオ(フーシェン)は、金持ちのボンボン・チウチー(チャンポン)の金銭トラブルに巻き込まれる形でお宝探しを開始。宝の在処とされる法華寺について調査に乗り出すも、周辺で殺人事件が多発していることが明らかに。殺人容疑のかかる法華寺の高僧(※)、宝を狙うライバル武術家と美女の弟子が入り乱れて事態は混迷。果たしてタオパオたちはお宝を手に入れることが出来るのか!?

 というワケで劇中では兄弟役ではなく”赤の他人”役。兄フーシェン演じるタオパオは頭の回転の早い陽気な盗人で、物語が進むにつれ、行き当たりばったりな作戦を強行。巻き込んだチウチーを振り回すように。
 弟チャンポン=チウチーは、警察に勾留されるタオパオの保釈を求めるために何故か神輿イスに乗って登場するナルシスキャラな一方で、「態度のデカイ俺が下手に出てるんだぞ」などと、時折気を使うのが面白い。後半でも意外と周りに合せて行動する実は良い奴。

 ちなみにプロレス界では、ザ・ファンクスしかりハーディー・ボーイズしかり、兄は堅実で、弟の方が奔放な性格が多いイメージかも。

 話を戻して、前半のタオパオ&チウチーは、骨董品屋のジジイから手がかりの手紙を奪う辺りまではどうにか連携が取れている程度。ですが、二人を追う警官隊隊長相手にハッタリをかましたり、誤爆しながらも協力して危機を切り抜け、徐々にコンビらしさを増してきます。

 ただ、高僧と弟子たちの「五行羅漢陣」やライバル武術家と美女弟子の「飛燕の形」と笑撃度の高い合体攻撃シーンの連続で、最終盤のタオパオ&チウチーの木人(組手用の人形)を利用したコンビネーションは、絵面的に若干地味に映る気がしないでもなし。

 加えて言ってしまえば、兄弟よりも脚を怪我した高僧とそれをサポートする弟子(チウチー含む)の連携の方が見事。プロレス界でも実はリアル兄弟より、ビジネス上の兄弟の方が連携が巧かったりするので、現実はそんなものなのかも?

 そんなこんなで、小さな笑いを入れつつも連携主体の剣劇・カンフーが堪能出来る本作。兄弟以外にも見せ場が多く、単純に観ていて楽しいし、キャラの面でもジョバー(コメディ・リリーフ)な警官隊隊長を始め、”終劇”の瞬間まで見逃せません。

 本作公開の約2年後、わずか28歳で交通事故死したというフーシェンに哀悼の意を表したいと思います。

(文/シングウヤスアキ)

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