NECビッグローブの『andronavi』が独自Androidアプリマーケットの運営を断念

NECビッグローブの『andronavi』が独自Androidアプリマーケットの運営を断念

NECビッグローブが運営するAndroidアプリマーケット『andronavi』で4月27日、「andronaviのサービス変更に関するお知らせ」というお知らせが掲示されました。サービス変更の内容は、『andronavi』が独自にアプリを配布していたサービスを6月末で終了し、『andronavi』で紹介するアプリのダウンロード先をGoogleの『Androidマーケット』に1本化する、というもの。独自のアプリマーケットとしてのサービスを終了し、今後は情報提供サイトとして運営していくことになります。

『andronavi』は2010年1月にAndroid端末やアプリの情報サイトとしてサービスを開始。4月には『Androidマーケット』で『andronavi』閲覧用アプリを配布し、5月からは『andronavi』からアプリをダウンロード、課金できる独自マーケット機能を実装、8月にアプリマーケットとして正式にサービスを開始していました。

Googleの『Androidマーケット』は、品質や言語がバラバラな大量のアプリが同じ場所で公開されているため、ユーザーが目的にかなう良質なアプリを探しづらいという問題を抱えています。日本人向けに良質なアプリを提供する手段として、NTTドコモは『ドコモマーケット』、KDDIは『au one Market』という独自のアプリマーケットを開設。『andronavi』は国内では初めて、キャリアとは独立してマーケットを立ち上げたのですが、開始から約1年でアプリマーケットのサービスは終了することになります。

サービス変更の理由についてNECビッグローブ広報に取材したところ、『andronavi』の情報サイトはユーザーも多く人気を集めている一方、独自のマーケットは利用が進まなかったため、『andronavi』のアプリ情報から『Androidマーケット』へ誘導する形式に変更するとのこと。「ユーザーから見ると、Googleのマーケットとキャリアごとのマーケットがあり、それぞれが課金してユーザー登録が必要になっている」(広報部)。『andronavi』も別にユーザー登録が必要なため、「ユーザーの使い勝手が悪かったのではないか。今後は『Androidマーケット』と連携して使いやすくしていきます」とのこと。

Googleによる『Androidマーケット』からのアプリの締め出しも背景にあるようです。Googleはアプリ内からのダウンロード、購入ができる『andronavi』アプリを競合サービスとして『Androidマーケット』から削除。NECビッグローブは『andronavi』サイトから『andronavi』アプリを配布していました。独自アプリマーケットの運営については「やってみたが難しかった」とコメントし、今後は「事業を方向転換して、情報発信サイトとして運営していきます」とのこと。

パナソニック『SV-MV100』製品サイト

これにより、『Androidマーケット』を使わず『andronavi』からアプリのダウンロードを想定していた一部のAndroid端末に影響が及ぶことになります。パナソニックが4月に発売したAndroid OS搭載のメディアプレーヤー『SV-MV100』は、『Androidマーケット』が利用できないため、5月から『andronavi』によりアプリのダウンロードを可能にするサービスの提供を予定していましたが、今回のサービス変更により中止。パナソニックの『SV-MV100』製品サイトには4月25日付けでトップページに「andronaviサービス提供予定の中止のお知らせ」の1文を掲示し、NECビッグローブのプレスリリースにリンク。

NECビッグローブのプレスリリース

リンク先ページでは『andronavi』によるアプリダウンロードのサービスについて「4月現在に至りまして諸般の事情により、サービス提供を見送ることと致しました」と赤字で訂正文を掲載しています。

同様にプリインストールした『andronavi』アプリからアプリのダウンロードサービスを提供していたNECビッグローブのAndroidタブレット『Smartia』については、Googleの“CTS(Compatibility Test Suite)”認証を受けているため、『Androidマーケット』の利用が可能。『andronavi』からは『Smartia』対応アプリを紹介し、『Androidマーケット』へ誘導してアプリをダウンロードする形式になるそうです。

今回の『andronavi』のマーケットサービス終了により、キャリアとは独立したアプリマーケット運営の難しさが浮き彫りになりました。ユーザーにとっては良質なマーケットの選択肢があることは望ましいですが、活発に利用されなければ継続は困難。昨日、バンダイナムコゲームスが独自のAndroidアプリマーケット『バナドロイド』を秋に公開することを発表しましたが、今後独立系アプリマーケットに勝算はあるのでしょうか。

画像:NECビッグローブとパナソニックから引用

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shnsk

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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