堀江貴文被告緊急記者会見(1) 「ゆっくり刑務所の中で本でも読みたい」
堀江貴文被告は2011年4月26日17時から、都内で自由報道協会の主催により開かれた記者会見に出席。証券取引法違反の罪に問われた「ライブドア事件」で、最高裁から上告を棄却されたことで近く収監される見通しとなったことについて、「2年半近くということで結構長い時間になると思うが、またゆっくり(刑務所の)中で本でも読んで勉強してきたいと思う」と語った。
以下、本記者会見全文。
司会・自由報道協会暫定代表・ジャーナリスト・上杉隆氏(以下、司会・上杉氏):
17時になったので、ただいまより自由報道協会主催、堀江貴文氏の緊急記者会見を開催する。この会見は今朝午前中、ニュースにもあったように、堀江貴文氏の最高裁の上告が棄却されたこと受けて、急遽堀江氏からも含めて自由報道協会主催で会見を行う。当会主催ということで、会見のルール、運営に関しては当方の指示にしたがって欲しいと思う。また、スピードカメラも最初冒頭数分間ということで約束している。
まず冒頭、堀江氏から今日の最高裁上告棄却を受けての一言。
堀江貴文氏(以下、堀江氏):
今日昼12時ぐらいに弁護士の弘中先生から電話があって「上告棄却の通知が届いた」と。「棄却理由は上告理由に当たらない」ということで、我々は結構長いペーパーを上告趣意書として送ったのだが、全くその内容には触れられず。一応、最高裁判例違反であったりとか、そういった上告理由はいくつか書いたのだが、そこは完全にスルーされた。量刑不当であったりとか事実誤認だったりとか、そういったところは「上告理由にあたらない」と軽く却下をされてしまった。
無罪を主張して争ってきた私としては、非常に残念なこと。逆に一審二審、特に二審については本当にスピード審理というか、相当短い時間。しかも、その判決文なんかも僕は読んでみたのだけど、到底納得できないところで終わっている。一審判決については、私を担当した裁判官が、一緒に起訴され、別の裁判で分割で審理がされていた宮内氏だったりとかの、僕のところでは本来使われるはずではなかった調書を読んで、裁判官らは実は(裁判を)やっている。その辺を含めて、いろいろ納得いかない部分というのがたくさんあって、それで上告をしたわけだが、棄却されてしまった。仕方ないので、おそらく1ヶ月ぐらいで収監されて、どこかの刑務所に行くことになる。一応、刑は2年6ヶ月であるが、未決勾留期間が40日あるので2年4ヶ月ちょっとくらい行くことになる。
私が起訴された2つの証券取引法違反、偽計及び風説の流布等、有価証券報告書の虚偽記載罪については、私のブログ等で具体的に反論をして、これで罪に問われることはちょっとおかしいとずっと言ってきて、この主張に関しては今回最高裁で判決が出たが、この主張自体は一切変わらないということで、これからもしていきたいと思っている。ただ最高裁でこういった判決が出たこと、および有価証券報告書の虚偽記載罪の部分で一部16億円ぐらいの粉飾部分に関しては、私は具体的な取引の内容は知らなかったとはいえ、社長としての責任はあったので、そういった部分に関しては、民事裁判のほうで和解させていただいているというような状況にある。
2年半近くということで結構長い時間になると思うが、またゆっくり(刑務所の)中で本でも読んで勉強してきたいと思う。僕がこういった状況になっているのに関しては、いろいろ僕に原因があった部分もおそらくあると思うので、そういったことに今後ならないように、一生懸命勉強して、また帰って皆のために役に立ちたいと思っている。それ以外、今やっているロケット開発事業であったりとか、こういったところについては、われわれの仲間たちが継続をしてくれるので、これまで通り進めたいと思う。すでに発行しているメールマガジンであったりだとか本であったりとか、そういったところも出来る限り、獄中からということになるけれど、発信はしていきたいと思っている。もしよろしければ僕のメールマガジン、なかなかこれから特に1ヶ月は、皆も僕も体験したことないけど、収監されるまでの一ヶ月ということで、結構貴重なレポートになると思うし、出てきた時も最新の情報と言うか。皆、あまり体験することがないであろう獄中のことに関しても、出来る限り代理人等を通じて発信をしていきたいと思う。これからも引き続き、出来る限り僕ができることであれば、皆の役に立ちたいと思っている。
最後に、こんなことになってしまって、もうすでにライブドア事件が過ぎて、ちょうど僕が保釈されたのが4月27日のことで、それからちょうど5年目の節目にあたるときに見事に上告棄却の判決を受けた。「もうあれから5年経つのか」というふうに、今ちょっと月日の流れの速さをすごく感じている。もう僕がやっていたIT事業も僕は完全に身をひいて、今は全く別の会社が、世の中のITビジネスで活躍されている方がたくさんいる。ただ、これからもインターネットだけじゃなくて、宇宙開発関連であったりとか、人類の未来を見据えていろんな活動をしていきたいと感じている。
司会・上杉氏:
この会見は自由報道協会の主催で行っている。通常のやり方、運営方法で言うと、まず代表の私、上杉隆のほうから質問を2、3させてもらう。私の質問の間はフラッシュで撮影が可能。
今回のこの知らせというのは、昨日の夜ぐらいから実は報道筋に流れていろいろ噂になっていた。堀江氏自身が、前回もそうだったが、こういった形で、実際ご本人が聞く前にそういう形でメディアに流れるというのは、当然ながら検察、今回は司法だが、リークがあったと思われるが、その辺り、当事者はどのような印象、感想を持つのか。
堀江氏:
鈴木宗男氏から聞いていたが、前の日に司法記者クラブの人たちは「どうも裁判所が何か書類を送っている」ということが分かるらしくて、どういう仕組みになっているのか知らないけど、何か送る人がいるんじゃないですか。郵便物を。その送る人たちがどういう人達が送っているのか、内容としてご存知なんでしょう。だから、そういう速報が出るんだと思う。鈴木氏の場合は事前に察知したというか知ってたみたいだけど。僕は全然知らなかったので。今日、弘中先生の電話で起こされたみたいな感じだったので、結構、寝耳に水というか。ただ、一部の人たちがそこで色々考えてやっているということなのでは。
司会・上杉氏:
弘中氏から連絡をもらったのは時間的には何時ごろか。
堀江氏:
電話を見ればわかる。(携帯電話を取り出して確認して)弘中氏からの連絡は12時。12時7分に連絡をもらった。
司会・上杉氏:
実際これと似たような事件、たとえば山一證券事件。これは7428億円の粉飾決算事件だが、判決に関しては執行猶予5年。日本債権信用銀行の事件も1592億円だが、粉飾決算では3年の執行猶予が付いている。また、カネボウ事件、年が多分一緒だと思うが、これも753億円の粉飾決算事件で、執行猶予3年。その他にも、全部執行猶予が付いている。なぜ堀江氏の事件だけが実刑なのか。
堀江氏:
それだけじゃなくて、日興コーディアルの事件やビックカメラであったり、色々な十数件以上、ちょうどライブドア事件以降、2006年以降10数件くらいの案件が、証券取引法違反ということでSESC(証券取引等監視委員会)から行政処分、課徴金処分を受けている会社が結構ある。我々のやつが仮に、私はあれが粉飾だとは思っていないが、我々のが仮に粉飾だったとしても、額的にも同じかそれ以上のものが課徴金処分ということで、経営者個人の刑事責任を問われるまでには至ってない。そういうなかで僕だけ実刑というのは、仮に粉飾というのが事実だとしても、すごく不公平だとは思うが、世の中の真理は不公平。それはそれで仕方ないのかなと思う。世の中、不条理に満ちているし、「なんで俺だけ」ということはここにいる皆も、誰でも一度は経験されたはずだし、それが世の中の真理なのだろう。それに対して「不公平だよね」といってもどうすることもできない。僕ができることは不公平であることを広く世の中に訴えていくこと。
それと、ライブドア事件が一番特殊だったのは何かというと、生きている上場企業を、業績も2004年の粉飾に関して我々は起訴されているが、2005年の決算が締まって2006年は新興期が続いていったような状態だった。2005年はもちろん粉飾はしてないし、起訴もされていない。そうやって健全に動いている上場企業を、しかも株主が15万人から20万人くらいいるような会社をいきなり強制捜査してしまうというのは、何回も言っているが非常に異例。これまでで多分うちらしかないと思う。カネボウも山一(証券)も潰れた会社だから。潰れた会社の経営陣の責任を問うというのは、これまでもよく行われてきたことだが、潰れてもいないし基本的には健全で世の中に貢献している会社に捜査を(やった)。僕はよく「事件を起こした」と言われるが、起こしたつもりはまったくないし、違法行為をしたというつもりもまったくないが、検察が来て捜査をして初めて事件になった。こういうことはこれからもずっと言い続けていくつもりだし、皆も忘れないでほしい。
こんなことをして誰がいったい得をするのか。株式市場はズタズタになって、個人投資家は東京証券取引所から離れた。東京証券取引所は、いうまでもなく日本の最大の市場で、日本経済をひっぱる象徴なのに。まあ我々を潰すということは、日本経済に多大な影響を与えるということをたぶん検察は予測していたのでは。それでも「やりたい」と。こういうことで司法は良いのかということは、これから皆で議論して欲しい。だからこそ、そのあと課徴金処分とかマイルドな処分がメジャーになったと思う。これからも我々のような事例というのはあまり作らないで欲しい。もし悪質だと思うのであれば、もっとマイルドな方法があるかと。我々を潰すのは構わないが、周りにでかい影響を与えるなよと。経済を潰すなよということは言いたい。ただ、もう手遅れ。
司会・上杉氏:
不条理をきちっと受け入れるということで、ゴルフジャーナリストとしても感激している。さて。会場からも質問を受け付けるので、挙手して名前と質問をお願いしたい。
(堀江貴文被告緊急記者会見(2) 「マスコミの歪んだ正義感で犯罪者にされる」)
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]堀江貴文被告緊急記者会見の冒頭から視聴
http://live.nicovideo.jp/watch/lv47840618?ref=news#0:10
(山下真史/宮川幸輔/三好尚紀/土井大輔/丹羽一臣)
【関連記事】
「大丈夫か、司法当局ヾ(・・ )」堀江被告の上告棄却に著名人もツイッターで反応
「世の中は不条理で満ちている」 堀江被告が緊急会見
堀江貴文被告、緊急記者会見へ
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。