【地主恵亮】山奥で幻の白いニジマスを喰らう! そもそも「川魚」に味の違いはあるの?
今日も明日もメシを食うだろう。それは空腹を満たすためではない。明日に望みを託して食べるのだ。そして、メシが終われば颯爽と去って行く。ただ去るのではなく、風と共に去るのだ。明日へと。そんな連載です!
地主恵亮の「メシと共に去りぬ」第2回
山奥で幻の白いニジマスを喰らう! そもそも「川魚」に味の違いはあるの?
「魚」と聞くと、海の魚を想像してしまう。回転寿司に行っても、回っているのはマグロやタイなど海の魚だ。しかし、魚は川にもいて、一口に「川魚」と言っても種類はその豊富だ。
彼らはどんな味なのだろう。ということで、川魚を生で食べてみたいと思う。さらに、世の中には真っ白なニジマスというのもいるらしいので、そちらも食べてみようではないか。
川魚を求めて……
川の魚と言われて思い浮かべるのは、ヤマメやニジマスなどだろう。下流域ではあまり見ることができず、これらの魚を釣ろうと思えば、山奥にある川の上流域に行く必要がある。これが川魚とあまり接点がない理由だと思う。
ということで、山梨県の小菅村にやってきました!川魚を求めて、多摩川の源流域で、山奥にある小菅村にやってきた。人口は700人ちょっとで、村のほぼすべてが森林だ。人口より間違いなく川魚の方が多い場所だ。
小菅養魚場に来ました!素人が天然の魚を釣るのは無理だと分かっていたので、釣ることは一切考えず、普通に買うことにした。海の魚は、スーパーに行けばたらふく並んでいるが、川魚はどこで買えばいいのかわからない。そこで川魚を飼育している養魚場に来たのだ。
めっちゃ泳いでる!真っ白なニジマス
川魚を求めて小菅村まで来たのには理由がある。ここは、ヤマメの人工ふかに日本で初めて成功した村なのだ。さらにここには「アルビノ」のニジマスもいると聞いていた。真っ白なニジマスがいるのだ。
白いのが泳いでいる! 水中からも確認!自然界でも稀にアルビノのニジマスがいるそうだが、ここではアルビノのニジマスが養殖されている。もちろん買うこともできる。
値段は普通のニジマスより高い。といっても、その値段の差は10円。人間界では美白はもてはやされるけれど、ニジマス界では美白は10円の差しかないのだ。
これは普通のニジマス!(このサイズで1尾160円) こちらがアルビノのニジマス!(普通のニジマスと同サイズで1尾170円)川魚は美しいと昔から思っていた。海の魚がキャピキャピしているOLだとすれば、川魚は休み時間になれば図書館に行って本を読む女子高生。そんな雰囲気がある。さらにそれが色白。私は麻雀を知らないのだけれど、こういうのを「ロン」って言うのだと思う。
イトウもいる!幻の魚と言われている「イトウ」もこの養魚場にはいた。スターに会ったようで感動して、触らせてもらったらヌルヌルしていた。スターはヌルヌルなのだ。
今は数が少ないので販売していないそうだが、写真のサイズで7,000円弱だそうだ。意外と安い気もする。
これはこの地域の名産である「甲斐サーモン」川魚を刺身にしてみる
手頃に焼き魚にできるサイズで、普通のニジマスが160円。アルビノのニジマスが170円。ヤマメとイワナが250円ほどだった。大きな甲斐サーモンは2,000円ちょっと。もはや安いのか高いのか分からないが、なんだかワクワクした。
ヤマメ、一尾250円 イワナ、一尾250円 甲斐サーモン、一尾2,000円今回はこの魚を刺身にしてみようと思う。川魚を生で食べることはあまりないが、新鮮で、綺麗な水で育ったものならば、生で食べても大丈夫なのだ。問題は、捌くのが私であることだ。
捌きます!我流なので、これが正解かわからず、さらに川魚は小さいので難しい。ただ料理ができる男子はモテると聞いたので、それだけを願って捌いた。海の魚より、ヌルヌルしている気がする。ただ私はヌルヌルなものは好きだ。
捌きました!普通のニジマスもアルビノのニジマスも身の色はほぼ同じだった。外見だけが違うようだ。甲斐サーモンだけ明らかに色が違う。実は甲斐サーモンも元はニジマスで、与える餌が違うので、身の色や味が異なるそうだ。
向かって左が甲斐サーモン!食べてみると、魚の種類ごとに味は異なった。 ヤマメ:甘みがあり、しっかりとした歯ごたえもいい。 イワナ:舌にざらりと残る餡みたいな舌触りだけれど、さっぱりしている。 ニジマス:淡白な味で、甘みがある。アルビノも全く同じ味。 甲斐サーモン:サーモンに近いが、油が少ないのでさっぱりとしていておいしい。
おいしい!
川魚の刺身はあまり食べたことがなかったけれど、それぞれ味が異なった。どれもおいしいけれど、ニジマスと甲斐サーモンが頭一つ抜けていた印象がある。
ちなみにこれは私の感想ではない。私は何を食べても、「おいしい」ということしか分からず(今回も全部おいしかった!)、小菅村の方に一緒に食べてもらって感想を聞いた。
みんなで導き出した感想です!焼き魚も食べる
川魚といえば、焼き魚のイメージがあるので、それも作ることにした。養魚場の方に串の打ち方を習い、やっぱり私が串を打った。身に弾力がありすぎて、なかなか串が刺さらず難しい。
内蔵やエラを取って、 串を打った! 炭火で焼きます! 甲斐サーモンはでかいので普通に焼いた魚を焼くのを見て、田舎でよく見る風景だ、とテンションが上がった。これからの夏の時期には最適だ。夏の思い出のような感じ。やがていい匂いがしてくる。白米がほしくなるような匂いだ。
完成! これが同じ魚(ニジマス)とは思えない!どっちもおいしい! ヤマメ:身が甘くホクホクとしている、焼き芋のような香りと味がする。 イワナ:身がタンパクで臭みもなく食べやすいが、ヤマメよりは一段劣る。 ニジマス:イワナと同じく淡白だが、少し水っぽい。アルビノも同様。 甲斐サーモン:少量だが、皮から油が染み出て大変おいしい。
やっぱり村の方に感想を聞きました!
これも村の方と一緒に食べてまとめた感想だ。私はおいしい、白ご飯が欲しい、とすべての魚で思っていた。舌がバカなのだ。どれもおいしく感じるので、幸せな舌とも言える。でも、川魚はどれもおいしかったので、私の感想も間違いではないと思う。
夏は川魚!
魚と言えば海を連想するけれど、川の魚も十分においしかった。川魚は臭いと思われがちだけれど、綺麗な水で育った川魚はむしろ海の魚よりも癖がなく食べやすい。臭みがないのだ。ぜひ食べていただきたい。白米が欲しい、と思うはずだから。
綺麗だな、と思う! いい夏の一日でした!取材協力
小菅養魚場
住所:山梨県北都留郡小菅村4674
電話:0428-87-0336
撮影協力
書いた人:地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「昔のグルメガイドで東京おのぼり観光」(アスペクト)がある。
過去の「メシと共に去りぬ」
<a href=”http://j.mp/1KTOZao” data-mce-href=”http://j.mp/1KTOZao”>【地主恵亮】まかないのフレンチトーストが食べたくて、25個のタマゴを割る – メシ通</a>
食を楽しみたいあなたのスキマ時間を、笑顔と感動と知って得する情報で満たす「グルメ情報マガジン」です。平日は休まず更新中。
ウェブサイト: http://www.hotpepper.jp/mesitsu/
TwitterID: mesitsu
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。