【地主恵亮】山奥で幻の白いニジマスを喰らう! そもそも「川魚」に味の違いはあるの?

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今日も明日もメシを食うだろう。それは空腹を満たすためではない。明日に望みを託して食べるのだ。そして、メシが終われば颯爽と去って行く。ただ去るのではなく、風と共に去るのだ。明日へと。そんな連載です!

地主恵亮の「メシと共に去りぬ」第2回
山奥で幻の白いニジマスを喰らう! そもそも「川魚」に味の違いはあるの?

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「魚」と聞くと、海の魚を想像してしまう。回転寿司に行っても、回っているのはマグロやタイなど海の魚だ。しかし、魚は川にもいて、一口に「川魚」と言っても種類はその豊富だ。

彼らはどんな味なのだろう。ということで、川魚を生で食べてみたいと思う。さらに、世の中には真っ白なニジマスというのもいるらしいので、そちらも食べてみようではないか。 

川魚を求めて……

川の魚と言われて思い浮かべるのは、ヤマメやニジマスなどだろう。下流域ではあまり見ることができず、これらの魚を釣ろうと思えば、山奥にある川の上流域に行く必要がある。これが川魚とあまり接点がない理由だと思う。

f:id:Meshi2_IB:20150726200024j:plainということで、山梨県の小菅村にやってきました!

川魚を求めて、多摩川の源流域で、山奥にある小菅村にやってきた。人口は700人ちょっとで、村のほぼすべてが森林だ。人口より間違いなく川魚の方が多い場所だ。

f:id:Meshi2_IB:20150726200422j:plain小菅養魚場に来ました!

素人が天然の魚を釣るのは無理だと分かっていたので、釣ることは一切考えず、普通に買うことにした。海の魚は、スーパーに行けばたらふく並んでいるが、川魚はどこで買えばいいのかわからない。そこで川魚を飼育している養魚場に来たのだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726200535j:plainめっちゃ泳いでる!

真っ白なニジマス

川魚を求めて小菅村まで来たのには理由がある。ここは、ヤマメの人工ふかに日本で初めて成功した村なのだ。さらにここには「アルビノ」のニジマスもいると聞いていた。真っ白なニジマスがいるのだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726200710j:plain白いのが泳いでいる! f:id:Meshi2_IB:20150726200736j:plain水中からも確認!

自然界でも稀にアルビノのニジマスがいるそうだが、ここではアルビノのニジマスが養殖されている。もちろん買うこともできる。

値段は普通のニジマスより高い。といっても、その値段の差は10円。人間界では美白はもてはやされるけれど、ニジマス界では美白は10円の差しかないのだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726200831j:plainこれは普通のニジマス!(このサイズで1尾160円) f:id:Meshi2_IB:20150726200940j:plainこちらがアルビノのニジマス!(普通のニジマスと同サイズで1尾170円)

川魚は美しいと昔から思っていた。海の魚がキャピキャピしているOLだとすれば、川魚は休み時間になれば図書館に行って本を読む女子高生。そんな雰囲気がある。さらにそれが色白。私は麻雀を知らないのだけれど、こういうのを「ロン」って言うのだと思う。

f:id:Meshi2_IB:20150726201039j:plainイトウもいる!

幻の魚と言われている「イトウ」もこの養魚場にはいた。スターに会ったようで感動して、触らせてもらったらヌルヌルしていた。スターはヌルヌルなのだ。

今は数が少ないので販売していないそうだが、写真のサイズで7,000円弱だそうだ。意外と安い気もする。

f:id:Meshi2_IB:20150726201200j:plainこれはこの地域の名産である「甲斐サーモン」

川魚を刺身にしてみる

手頃に焼き魚にできるサイズで、普通のニジマスが160円。アルビノのニジマスが170円。ヤマメとイワナが250円ほどだった。大きな甲斐サーモンは2,000円ちょっと。もはや安いのか高いのか分からないが、なんだかワクワクした。

f:id:Meshi2_IB:20150726201302j:plainヤマメ、一尾250円 f:id:Meshi2_IB:20150726201336j:plainイワナ、一尾250円 f:id:Meshi2_IB:20150726201402j:plain甲斐サーモン、一尾2,000円

今回はこの魚を刺身にしてみようと思う。川魚を生で食べることはあまりないが、新鮮で、綺麗な水で育ったものならば、生で食べても大丈夫なのだ。問題は、捌くのが私であることだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726201501j:plain捌きます! 

我流なので、これが正解かわからず、さらに川魚は小さいので難しい。ただ料理ができる男子はモテると聞いたので、それだけを願って捌いた。海の魚より、ヌルヌルしている気がする。ただ私はヌルヌルなものは好きだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726201547j:plain捌きました! 

普通のニジマスもアルビノのニジマスも身の色はほぼ同じだった。外見だけが違うようだ。甲斐サーモンだけ明らかに色が違う。実は甲斐サーモンも元はニジマスで、与える餌が違うので、身の色や味が異なるそうだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726201625j:plain向かって左が甲斐サーモン! 

食べてみると、魚の種類ごとに味は異なった。 ヤマメ:甘みがあり、しっかりとした歯ごたえもいい。 イワナ:舌にざらりと残る餡みたいな舌触りだけれど、さっぱりしている。 ニジマス:淡白な味で、甘みがある。アルビノも全く同じ味。 甲斐サーモン:サーモンに近いが、油が少ないのでさっぱりとしていておいしい。
f:id:Meshi2_IB:20150726201814j:plainおいしい!

川魚の刺身はあまり食べたことがなかったけれど、それぞれ味が異なった。どれもおいしいけれど、ニジマスと甲斐サーモンが頭一つ抜けていた印象がある。 

ちなみにこれは私の感想ではない。私は何を食べても、「おいしい」ということしか分からず(今回も全部おいしかった!)、小菅村の方に一緒に食べてもらって感想を聞いた。

f:id:Meshi2_IB:20150726201900j:plainみんなで導き出した感想です! 

焼き魚も食べる

川魚といえば、焼き魚のイメージがあるので、それも作ることにした。養魚場の方に串の打ち方を習い、やっぱり私が串を打った。身に弾力がありすぎて、なかなか串が刺さらず難しい。

f:id:Meshi2_IB:20150726202017j:plain内蔵やエラを取って、 f:id:Meshi2_IB:20150726202352j:plain串を打った!  f:id:Meshi2_IB:20150726202432j:plain炭火で焼きます! f:id:Meshi2_IB:20150726202455j:plain甲斐サーモンはでかいので普通に焼いた

魚を焼くのを見て、田舎でよく見る風景だ、とテンションが上がった。これからの夏の時期には最適だ。夏の思い出のような感じ。やがていい匂いがしてくる。白米がほしくなるような匂いだ。

f:id:Meshi2_IB:20150726202524j:plain完成! f:id:Meshi2_IB:20150726202550j:plainこれが同じ魚(ニジマス)とは思えない! 

f:id:Meshi2_IB:20150726202657j:plainどっちもおいしい! ヤマメ:身が甘くホクホクとしている、焼き芋のような香りと味がする。 イワナ:身がタンパクで臭みもなく食べやすいが、ヤマメよりは一段劣る。 ニジマス:イワナと同じく淡白だが、少し水っぽい。アルビノも同様。 甲斐サーモン:少量だが、皮から油が染み出て大変おいしい。 
f:id:Meshi2_IB:20150726202754j:plainやっぱり村の方に感想を聞きました!

これも村の方と一緒に食べてまとめた感想だ。私はおいしい、白ご飯が欲しい、とすべての魚で思っていた。舌がバカなのだ。どれもおいしく感じるので、幸せな舌とも言える。でも、川魚はどれもおいしかったので、私の感想も間違いではないと思う。

夏は川魚!

魚と言えば海を連想するけれど、川の魚も十分においしかった。川魚は臭いと思われがちだけれど、綺麗な水で育った川魚はむしろ海の魚よりも癖がなく食べやすい。臭みがないのだ。ぜひ食べていただきたい。白米が欲しい、と思うはずだから。

f:id:Meshi2_IB:20150726203038j:plain綺麗だな、と思う!  f:id:Meshi2_IB:20150726202951j:plainいい夏の一日でした!

取材協力

小菅養魚場
住所:山梨県北都留郡小菅村4674
電話:0428-87-0336

撮影協力

多摩川源流大学

NPO法人多摩源流こすげ

書いた人:地主恵亮

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1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「昔のグルメガイドで東京おのぼり観光」(アスペクト)がある。

過去の「メシと共に去りぬ」

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