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5月に再開された国立国会図書館の著作者情報公開調査はその後どうなっているのか?

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国立国会図書館では、これまでにも不定期に実施して来た著作者情報公開調査を今年の5月20日から再開しました。このニュース自体はすでに多くのニュースサイトで報じられていますが、再開されてからの動きについてのフォローアップは残念なことにほとんど見られません。2003年(平成15年)の初回調査こそ532名の没年と60件の権利継承者連絡先が判明しましたが、その後はしばらく1ケタ台で推移し7年ぶりの大規模調査となった2010年(平成22年)でも約8万名を2期に分けて91件と「大海から針を探すにも等しい」と言われる著作者(必ずしも著作権者とは限らない)探しの難しさを実感させる結果となっています。

5年ぶりの大規模調査は今までの調査と何が違うのか?

5年ぶりとなる今回の調査が過去の調査と大きく異なるのは特に期限を定めていないことと、過去に少なくとも1回以上の調査で権利状態が判明せず文化庁長官裁定によりインターネット公開された作品の再調査が中心となっていることの2点です。また、過去の調査と同様にExcelファイルで提供されている調査対象者一覧の他にも検索フォームでピンポイントに検索ワード(氏名、肩書など)を入力しての対象者絞り込み、個別のページからの送信フォームを使った情報提供に対応するなど、より情報提供を行いやすくするためのユーティリティの改良が行われています。

実際に検索フォームを使ってみると情報提供があった著作者の場合は1965年(昭和40年)以降の没年が表示されるケースがあり、それらの人物は「権利が存続している(そしていずれ満了する)が、著作権継承者の所在が不明」と言うことになります。しかし、没年の欄に記載のある人物はごく少数でほとんどは空欄のままであり、その場合は「そもそも保護期間が満了しているのか権利が存続しているのかすらわからない」状態です。

どのような情報を提供すれば良いのか?

まず最優先で提供が求められているのは「著作者の没年」です。少なくとも、現行法下においては日本国籍で没年が1964年(昭和39年)以前であることが確定している人物ならばその人物の生前の著作は全て保護期間を満了して“自由化”されていることが明らかなので、次回以降の裁定は不要となります。要職に就いていた人物でも没年が把握されていないケースがあり、例えば「知事」を検索すると石橋和(佐賀県・岐阜県)、尾崎勇次郎(青森県・新潟県・愛媛県・愛知県)、木田川奎彦(奈良県)など大正期の官選知事でも没年不詳の人物がいることがわかります。

最低でもその人物の生年と出身地が判明している場合は戸籍から没年を確定することが出来るかも知れませんし、最終学歴が判明していれば同窓会組織に何らかの記録が残されているかも知れません。軍歴がある場合は都道府県庁(陸軍)か厚生労働省(海軍)に軍歴証明書の照会を求めると言う手段もあります。いずれにせよ、最終的な確認作業は国会図書館が行うので第三者の立場からはそれらの「没年に関する情報を持っていそうな組織」に関する情報を提供すれば十分、ということになります。

また、調査対象となっている人物が親族(例えば祖父母)の場合は当事者の立場でより直接的な没年と権利継承者の情報を提供すると、権利状態不明の作品公開に道を開くことになります。

調査再開後の経過はどうなっているのか?

最後に調査再開からの経過について書くと、6月24日付けで『公開調査に関するお知らせ』と題するTXTファイルが公開されています。そのファイルによれば、現在の内訳は

集計期間:平成27年5月20日~平成27年6月22日

対象著作者数: 53,469名
情報提供の件数: 67件
著作権者の連絡先が判明した件数: 6件
著作者の没年が判明した件数: 40件
(内訳)著作権保護期間満了: 35件/著作権保護期間中: 5件

提供された情報により文化庁長官裁定が不要となった資料数: 41件

(出典:http://dl.ndl.go.jp/files/etc/oshirase.txt [リンク]

となっています。また、情報提供によって保護期間満了が確認された著作者はリストから除外されて情報が随時更新されると言うことなので、以前に情報提供した著作者の情報が反映されているかどうかについても引き続き経過を観察するのが良いでしょう。

国立国会図書館・著作者情報公開調査
https://openinq.dl.ndl.go.jp/search [リンク]

画像‥著作権者のご連絡先等が不明な著作者に関する情報をお寄せください(国立国会図書館プレスリリース) [リンク]

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