なぜ増える?就職できない中高年フリーター
35歳から44歳までの「年長フリーター」が増加
「フリーター」のような働き方をする人として想像するのは、20代からせいぜい30代半ばまでの若い人です。しかし、35歳から44歳までの「年長フリーター」と呼ばれる人々が、現在284万人も存在します。(総務省統計局 労働力調査より)
もちろん、人は自分の望む働き方や生活スタイルを自由に選ぶことができます。40歳の男性が、ガソリンスタンドでアルバイトをして月収19万円でも、それが本人の希望する形であるならば、何も問題ありません。問題となるのは、本人がそのような形を望んでおらず、何とかして正社員という働き方をしたいと強く希望している場合です。
就職活動に励み、何社もの会社に応募しているのに、それでも就職できない。このようなケースに当たる男性の多くが、「本当なら結婚したい」と言います。しかし、「今のような状況では、まず結婚相手も見つからないし、結婚したとしても妻にも働いてもらわなければならないし、子どもまでは考えられない」という言葉が続きます。
「失われた10年」の被害者
このように普通の人々が、何故フリーターに留まっているのか。さまざまな解釈がされていますが、その中の一つに、バブル崩壊から始まった「失われた10年」の被害者であるという説明があります。現在、45歳の人が大学を卒業して社会に出てきた時期が「失われた10年」の始まりに重なります。新卒時に就職できず、そのまま現在まで正社員経験がない人は、自分のスキルや知識、一般常識さえも「社会人のレベルではない」と考えている傾向があります。
自分に自信を持てず、面接に出向いても上手くアピールできません。当然ながら、人を管理するなどの責任ある仕事ができるかと尋ねられても、即答はできないでしょう。しかし、企業がこの年代の人を採用したいと考えるのは、少なくとも近いうちにマネジャー的な仕事をしてもらいたいという期待をもっているからです。つまり、採用側が40歳前後の人に求める人材像は、フリーターの経歴しかない人には応えにくいものなのです。
「職業人意識」を育てることが重要
このような悪循環に陥っている人が正社員就職を目指すために資格の勉強や職業訓練を選択することも少なくありませんが、それにも増して大切なことを最後にアドバイスしたいと思います。
それは、「職業人意識」を育てることです。実は採用側が本当に求めているのが、この意識です。この「職業人意識」とは何なのか。自分なりの答えを持つことが、次に応募する際の面接対策にもなるはずです。
(安藤 ゆかり/研修講師・キャリアコンサルタント)
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