被爆地ヒロシマ“生と死の境界線”の橋の写真を立体映像に NHKスペシャル『世界で2枚だけ・きのこ雲の下の写真』8月6日放送

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太平洋戦争終戦から70年。1945年8月6日、広島に飛来したB29“エノラ・ゲイ”から落とされた世界初の原子爆弾“リトル・ボーイ”により、放射線と熱風、強烈な爆風が街を襲い、爆心地から半径2km以内のほとんどの建物が吹き飛び、その年の末までに14万人以上の命が奪われたとされています。

しかし、その当時に熱線、爆風、放射線にさらされた人々の全体像は70年後の今日でも正確に把握されておらず、平均年齢80歳を超えた被爆者たちは、「いまだ“原爆死”の凄惨を伝えきれていない」という思いを強めているといいます。

そのような節目の年に、NHKは上空を覆う巨大なきのこ雲の下の惨状を記録した世界で2枚だけの写真をもとに鮮明な立体映像化するプロジェクトをフランス公共放送F5と国際共同制作。2015年8月6日19時30分から20時35分にNHK総合で放送となります。

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爆心地から約2kmの地点にある“御幸橋”。原爆投下の3時間後に橋の上で撮影された白黒写真が2枚だけ残されています。そこにはのべ50名あまりの人々の姿が写し出されており、凄惨な状況を伝える貴重な記録として伝わっています。

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この写真をもとに取材を進めると、写っていた被爆者のうち2名、さらにその場に居合わせた30名以上の被爆者が健在であることがわかりました。その方々の証言に加えて最新の映像技術や医学的知見をもとに立体映像にすることで、これまで不明だった新たな事実が浮かび上がることになりました。

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立体映像処理の過程においては、証言をもとに写真に何が写っているのかを発見していき、熱傷の専門家や時代考証家が、写っている傷や事実について確認。さらに、被爆者によって写真に写っている人の動きや声・音が詳細に伝えられ、モーションキャプチャーで写真の人物を動かしていきます。そのうえで、被爆者に見てもらい検証を重ねたとのこと。

火傷で皮膚を剥がされた痛みに耐える人たちや、うずくまる瀕死の人たちが、爆心地周辺で被爆し、命からがら橋まで辿り着いた“生と死の境界線”の様子を克明に再現したこのプロジェクト。人類初の核兵器による攻撃とその被害の大きさを、改めて詳細に伝えるドキュメンタリーとして、意義深い内容であるといえるのではないでしょうか。

NHKスペシャル『きのこ雲の下で何が起きていたのか』

放送:NHK総合 
   2015年8月6日(木)
   午後7時30分~8時35分

NHKスペシャル「70年目の戦争と平和」サイト
http://www.nhk.or.jp/special/70years/

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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