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放射線と放射性物質の概念を混同して国民の不安をメディアは煽らないで欲しい

放射線と放射性物質の概念を混同して国民の不安をメディアは煽らないで欲しい

※この原稿は脳機能学者の苫米地英人さんよりご寄稿いただいたものです。

●放射線と放射性物質の概念を混同して国民の不安をメディアは煽らないで欲しい

病院のCTスキャンなどで放射線を直接浴びるのと、放射性物質が身体に付着して被曝したり吸い込んで内部被曝することが、本質的に全く異なる事を、政府やテレビコメンテーター達が説明してないことが、多くの人をいらぬ不安に入れている。

ある番組では東京からニューヨークに飛ぶ飛行機に乗ることで宇宙線から受ける放射線被曝量と、原発から風に乗って飛来する可能性のあるヨウ素131などの放射性物質から受ける被曝量を同じ図で解説していた。これは、明らかに誤った比較である。レントゲンを受ける患者への説明なら理解出来るが、原発事故で大気拡散し、風に乗って飛来する可能性のある放射性物質の放射線量とを比較することは、全く無意味である。

例えば、福島第一原発の正門で計測された放射線の一種である中性子線は特に透過性が高く、原水爆や中性子爆弾で知られるようにに30cmのコンクリートでも通り抜ける。また人体への被害も甚大である。同様にガンマ線も透過性が高く、鉛や分厚いコンクリートでは防ぐことは出来るが、民家では無理である。これらは、炉心溶融や再臨界となればそれが続く限り放射され続けるので、今回の事故現場の作業員のように、近づいて被曝している時間を厳密に計測しなければ危ない。これは病院の放射線技師が年間被曝量を定められているのと同様である。今回の事故で緊急作業従事者の被曝上限を年間100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに上げたという話で報道されているロジックである。ただ、これらの放射線は距離の2乘に反比例して減衰するので現在の20kmの退避は十分すぎるほどの距離であり、万が一再臨界しても避難者の人体には全く影響がない。

以上が、放射線の話である。以下が、放射性物質の話である。

原発内部の核分裂で生成されているのが放射性物質である。炉心溶融でなんらかのルートで放射性物質が漏れているのが問題となっている。放射性物質で、原発事故で主に問題となっているのは、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137などの放射性同位体である。放射性同位体は不安定な物質で、例えばヨウ素131は、安定同位体であるキセノン131に変わるまでベータ線を出しながら崩壊する。実際、これらの放射性物質は、17日現在神奈川でも極めて微量ながら計測されている。これらは核反応生成物なので間違いなく事故が原因と言える。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1103170030/

中でもヨウ素131は原発内でウランなどの核分裂で大量に生成される上に、沸点が184.25 ℃と低いので気化しやすく、今回の事故でまず懸念されるのはヨウ素131のベータ線による健康被害と考えられている。だから、安定ヨウ素剤を配布しようという話であったり、効果は期待し難いが、コンブを食べればいいといった話が出ているのだ。また、再臨界となればこれらに加えてストロンチウム90なども放出されることが予想される。

これら放射性物質が危険なのは、崩壊しながらベータ線を放射し続けるからである。因みに、これらの放射性同位体が半分まで崩壊する時間を半減期と呼んでいる。ベータ線の透過力そのものはたいしたことなく、1cmのプラスチック版で遮蔽出来る。とはいっても通常の衣服であれば透過し、皮膚を透過する。また、吸引したときの内部被曝が問題となる。これが放射性物質の被害である。

ここまでが背景である。これさえもメディアではちゃんと解説されていない。これで分かるのは、自衛隊員達が浴びている放射線と、離れた都市に届くのではと懸念されている放射性物質とでは、やってくるルートが全く異なるということだ。自衛隊員が浴びているのは全身に継続的に浴びせられている直接的な原子炉からの放射線である。

一方、退避圏外にやってくるのは、浮遊粉塵、つまりチリに付着して大気中をゆらゆら飛んでくる放射性物質である。これが、体につけば放射性物質が放つベータ線を受けることになる。

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