手作り感いっぱいのホラー映画『ゾンビーバー』はこうやって作られた! 特殊メイク・田中好さんインタビュー[ホラー通信]
7月11日より公開中のホラーコメディ映画『ゾンビーバー』。“ゾンビ化したビーバーが浮かれた若者を襲う”というツッコミ甲斐のある設定と、ホラー映画の定番を盛り込んだストーリー、笑わずにはいられない勢いあるギャグで続々と観客を魅了。公開初日の新宿武蔵野館では立ち見が出るほどの大盛況を記録しています。
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今作、予告編が公開された当初から話題になっているのが、CGではなくパペットで作られた“ゾンビーバー”たちです。ぬいぐるみ感のあるゾンビーバーが勢い良く若者を襲う姿は、この映画の大きな特徴ともなっています。
このゾンビーバーのアニマトロニクスや、ゾンビーバーに噛まれてゾンビーバー化した人間の特殊メイクを担当したのは、なんと日本人の特殊メイクアップアーティスト、田中好さん。さらに、彼女の所属するクリーチャー・エフェクト・インクは、映画『テッド』に登場するクマのぬいぐるみを作ったチームでもあるのです。
今回、田中さんに映画『ゾンビーバー』で使用したアニマトロニクスや特殊メイクを、テレビ電話で見せてもらうことができました。撮影中のお話も聞かせていただきましたよ。
映画『ゾンビーバー』特殊メイクアーティスト 田中好さんインタビュー
田中さん「ゾンビーバーは全部で7体作ったのですが、こちらの大きなゾンビーバーは5人がかりでオペレーションをするタイプの一番大きなゾンビーバーです。しっぽは取り外しが出来るようになっています。耳と鼻と口の部分をラジコンのようなコントローラーで操作することができます。」
田中さん「手で口が開閉できるゾンビーバーもあります。中に農作業用のハサミのようなものが入っていて、後ろからそれを動かすことによって口がパクパク開くようになっています。そして、映画ではゾンビーバーに噛まれた人間がゾンビーバー化してしまうのですが、その瞬間の歯が出てくるフェイスマスクも作りました。うしろに仕組みがあって、ニュニュニュッっと歯が出るようになっています。」
田中さん「ゾンビーバー化した人間の前歯ですが、これを装着すると口が閉じられず、開けっぱなしになってしまうので、よだれが止まらなくて大変なんです(笑)。撮影中は横でペーパータオルを持ってずっと待機していました。そして、ゾンビーバーになった女の子がつけていたしっぽもあります。彼女が履いているズボンにマグネットがついていて、しっぽをくっつけているんです。大きいですがそんなに重くないんですよ。これはフォームレイテックスという素材で、中に土台としてプラスチックが入っています。」
――ゾンビーバーのパペットの製作にはどれくらいの期間がかかったのでしょうか。
田中さん「すべてのゾンビーバーをまとめて作ったのですが、全部で2ヶ月かかりました。ゾンビーバー化した人間のメイクアップも含めて2ヶ月ですね」
――撮影中で印象的だったことってありますか?
田中さん「夏という設定だったんですけども、冬に撮影されたので、ロサンジェルスはめちゃくちゃ寒かったんですね……。湖上でゾンビーバーたちが若者を襲うシーンがあるんですけども、私たちが湖の中に入って、見切れないようにゾンビーバーを操作していたのが大変でした……」
――映画『テッド』のクマのぬいぐるみもそちらの工房で作っているとお伺いしたのですが?
田中さん「そうです! 映画の8割方はCGなのですが、残りのぬいぐるみの部分はこちらの工房で作っています。このぬいぐるみを元に、CGが作られているんです」
――いまCGで作られることって多いと思いますけど、パペットで作る魅力ってどこにあると思いますか?
田中さん「私自身は“パペットの方がいい”とか“CGのほうがいい”というのはなくて、両方それぞれの良さがあると思います。パペットの魅力は、やっぱり実物として“そこにある”という存在感だと思いますね」
――最後に、『ゾンビーバー』を楽しみにしている方にメッセージを。
田中さん「この映画は日本でいうところの、『水戸黄門』とか『吉本新喜劇』のような、どうなるか分かってるんだけどついつい観ちゃう!みたいな感覚の作品です。皆さんで「このあとはこうなるんじゃないかな」とか予想したり、ツッコんだりしながら是非楽しんでください!」
ここでご紹介している以外にも、細やかな部分までアナログな特殊メイクで作り上げられた映画『ゾンビーバー』。是非劇場でお楽しみください! 映画『ゾンビーバー』は新宿武蔵野館ほか全国にて公開中です。
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