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Album Review:ジョルジオ・モロダー『デジャヴ』 現在のシーンを見据えヴェテランの自身を客観視する、優れたプロデューサー気質が全開の一枚

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 大振りなサングラスにたっぷりの口髭、というかつての強面な姿は、今や髭もすっかり白くなって好々爺然とした微笑を浮かべるに至っている。イタリア出身の超大物プロデューサー=ジョルジオ・モロダー、当年とって75歳。実に30年ぶりとなる彼のソロ・アルバム『Deja Vu』が、この6月にリリースされた。長年のブランクもなんのその、肩肘張らずに鳴らされ、リスナーも肩肘張らずに楽しめる、粋なディスコ・ポップ・アルバムに仕上げられている。

 1960年代末にデビューしたジョルジオは、当時の西ドイツ・ミュンヘンに活動拠点を構え、シンセサイザー/シーケンサーを大胆に導入した所謂ミュンヘン・サウンドを開拓。米国や欧州のポップ・ミュージックに多大な影響をもたらした。“ディスコの女王”ドナ・サマーの名だたるディスコ・ヒッツをプロデュースすることで脚光を浴び、『フラッシュダンス』や『ネバーエンディング・ストーリー』の映画サントラ、はたまた『トップガン』に使用されたベルリン「Take My Breath Away」、ケニー・ロギンス「Danger Zone」といったテーマ曲をヒットさせたことでも知られる巨匠だ。

 近年はほぼ第一線から退いた状況ではあったが、ディスコ・ミュージックに関わっていった頃を回想する、というユニークな形でダフト・パンク「Giorgio by Moroder」に参加して以降、ジョルジオ再評価の気運も高まる中で新作製作に臨んだ。それが今回の『Deja Vu』というわけだ。極めてスタイリッシュなディスコ・ポップ作でありながら、タイトルに示されたとおりの強烈な既視感が立ち上ってくる。現在のシーンをしっかりと見据えた上で、大ヴェテランとしてのジョルジオ自身を客観視してみせるという、優れたプロデューサー気質が全開の一枚なのである。

 70年代フィラデルフィア・ソウル風のストリングス・アレンジをシンセ・フレーズに置き換えた「Deja Vu feat. Sia」や、90年代ユーロビート・ポップ風の「Diamonds feat. Charli XCX」といったふうに、アルバムは序盤から時空を超えたディスコ・ミュージックの大博覧会といった趣だ。ミッキー・エッコーやマシュー・コーマ、フォクシーズといったEDMシーンと親和性の高いシンガーにエモーショナルな歌唱を依頼する一方、ダンス・ポップを長きに渡ってリードし続けて来たカイリー・ミノーグとの「Right Here, Right Now」は、積年の念願叶っての名コラボと言えるだろう。

 ポスト・ヒップ・ホップ時代の個性派ハスキー・ヴォイスであるケリスが、ドナ・サマーを彷彿とさせる古典的ディスコ・チューンを熱く乗りこなした「Back and Forth」には驚きを禁じ得ない。また、アカペラ・ヴァージョンが印象深いスザンヌ・ヴェガの名曲「Tom’s Diner」は、ブリトニー・スピアーズのカヴァーによって新しいエレクトロ・ポップの命を吹き込まれている。上質な遊び心を詰め込んで、75歳の御大は「さあ、踊ろうか」と人々に呼び掛けているようだ。

[Text:小池宏和]

◎リリース情報
『デジャヴ』
2015/06/16 RELEASE
iTunes:http://apple.co/1DDY7Jz

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