エアコンが引き起こす「夏型過敏性肺炎」
放っておくと、やがて肺自体が障害されて慢性化
エアコンの欠かせない季節がやって来ました。しかし、小まめにクリーニングをしていないと、匂いやホコリで不快な思いをすることもあるでしょう。特にエアコンの回路中の湿気とホコリを好むトリコスポロンというカビを何度も吸うと、発熱や咳、呼吸困難を症状とする「夏型過敏性肺炎」を発症することがあり、注意が必要です。
これは、カビに対するアレルギー反応によって肺炎を起こすもので、単なる夏風邪と思って放っておくと、やがて肺自体が障害されて慢性化します。そうなってからでは、いくら治療を施しても完全には元の肺には戻りません。風邪の症状に呼吸困難を伴なった時は、ためらわずに医療機関で胸部レントゲン写真を撮ってもらいましょう。過敏性肺炎では、肺全体に特徴的な「すりガラス」模様の影が見られ、血液検査で原因物質を特定することができます。
急性期であれば、1~2週間で治る。しかし、重傷例では入院も
急性期であれば、原因となるエアコンを取り換えたり、引越しや旅行で原因物質を吸わないようにすれば、1~2週間で治ります。しかし、重傷例では、入院して副腎皮質ホルモン剤の内服や点滴が必要なこともあります。
予防は部屋の掃除と換気を小まめに行い、エアコンや除湿器のクリーニングをおろそかにしないことが重要です。カビが引き起こす病気には、他にもアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などがあります。
梅雨から夏にかけてが夏型過敏性肺炎発症のピークです。今から家や学校、職場を点検しておきましょう。
(古家 敬三/医学博士)
関連記事リンク(外部サイト)
最新の気になる時事問題を独自の視点で徹底解説するWEBメディア「JIJICO」。各分野の専門家が、時事問題について解説したり、暮らしに役立つお役立ち情報を発信していきます。
ウェブサイト: https://mbp-japan.com/jijico/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。