「エジプト革命」の影の立役者? 謎のハッカー集団「アノニマス」
フェイスブックやツイッターを使って民衆にデモを呼びかけ、「インターネットから起きた革命」とも言われるエジプト革命。ムバラク氏の30年におよぶ独裁政権の崩壊という歴史的な変革を果たしたのだが、その影に「アノニマス」という謎の覆面ハッカー集団がいたことをご存知だろうか。
「名無し」という意味である「アノニマス(anonymous)」は、2003年に匿名掲示板やオンラインコミュニティを通じて生まれた集団とされ、DDoS攻撃(=サーバに大量のデータを送信して機能を停止させる行為)などのサイバー攻撃や、クラッキングを得意とするという。どこを拠点で誰が何人所属しているかは一切不明だ。2011年2月20日に放送されたNHK総合のテレビ番組「NHKスペシャル ネットが”革命”を起こした~中東・若者たちの攻防~」によると、デモ鎮圧のためインターネット回線を遮断したエジプト政府にDDoS攻撃を行い、さらに機密情報の暴露を突きつけて回線の再開をさせ、結果的に革命成功の手助けとなったという。
また、毎日新聞(2011年1月23日朝刊)やフォーブス(2011年1月15日)によると、今年1月に起きた「ジャスミン革命」と呼ばれるチュニジアの政変でも、弾圧や検閲を続ける政府のウェブサイトを標的としたサイバー攻撃を行っている。さらに、書籍『日本人が知らないウィキリークス(洋泉社)』によれば、昨年2010年外交公電の公開で世間を騒がせた「ウィキリークス」に関する一連の騒動においても、ウィキリークスに不利な決定を行う企業、政府、政治家のウェブサイトを相次いで攻撃。アマゾンやVISA、マスターカードなどの大手企業が標的になった。
彼らの目的は一体何なのだろうか。前出のNHKの番組において、特徴的な黒髭のある白い覆面をかぶったアノニマスの一員と思われる男は以下のように語っていた。
「インターネットは自由であり、誰かによってコントロールされるものではない。よって検閲する全ての国家に挑戦状を送る」
彼らの行為は正義か、犯罪か――ツイッターでは、アノニマスに対して「格好いい!」「ネットの世界は凄過ぎる!」「どうやったらメンバーになれるのかな」と好意的な意見も見られる一方で、「本当に正義なのか」「DDoS攻撃といういたずらをして自由と戦う組織は、どれだけ正義を尽くしていてもいたずらにしか過ぎない」「所詮犯罪」と批判的な意見もあり、賛否両論となっている。
【関連サイト】
AnonNews アノニマス公式サイト
Anonymous Tube Videos アノニマスの動画サイト(写真は投稿された動画のひとつ)
NHKスペシャル ネットが”革命”を起こした~中東・若者たちの攻防~ NHK総合テレビ 2011年2月20日 21時から
(中村真里江)
【関連記事】
宮崎哲弥「ウィキリークスで”国の統治のあり方”すら変わる」
世界が恐れる「ウィキリークス」 正義か犯罪か?識者たちが徹底討論!
「ウィキリークスは言語道断」前原外相が激しく批判
ウェブサイト: http://news.nicovideo.jp/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。