BiSH×POP クソアイドルと鉄人集団の熱き200km駅伝に見た“新たな物語の幕開け”
元BiSマネージャーの渡辺淳之介が「BiSをもう一度始める」と始動させたBiSHと、元BiSカミヤサキら5人のメンバーから成るPOP(Period Of Plastic 2 mercy)。この2組のアイドルグループ対抗200km駅伝が6月6日~7日にかけて敢行された。
<BiSH×POP対抗200km駅伝 累計視聴者数は20万超>
この企画は、6月6日朝6時より渋谷~熱海までリレー形式で走り、一泊して翌7日 熱海~渋谷まで同じくリレー形式で走る、トータル約200kmの駅伝となっており、POPチームはメンバー5人、BiSHはメンバー4人と渡辺淳之介の5人で参加。この駅伝の様子はニコニコ生放送で完全生中継され、累計視聴者数は20万を超えるほどの注目を集めた。
<鉄人集団POPの圧倒的な速さ 一瞬たりともBiSHチームに前を走らせず>
24時間100kmマラソン完走経験のあるカミヤサキ率いるPOPは、まだライブもリリースもしておらず、カミヤ以外のメンバーはこの駅伝が初お披露目&初仕事。にも関わらず、笑顔で飛び跳ねながら区間ゴールを切ったシグサワ アオ、BiSHチームに対して約20kmで60分以上の差を稼いだヤママチ ミキ、人生で本格的に走るのが初めてと言いながらマイペースに累計約40kmのノルマを完走してみせたイヌカイ マアヤ、学生時代は帰宅部でありながらカミヤに勝るとも劣らない独走ぶりで「ユア神」なるニックネームまで付いたユメノユアと、アイドルじゃなくアスリートを集めたのかと疑いたくなるようなラインナップで、ニコ生のコメントでは「鉄人集団POP」なる異名まで飛び出した。
そして、BiS時代から抜群の体力と攻撃性を誇っていたカミヤサキは、まさかの初日で足を痛めてしまうアクシデントに見舞われたものの、2日目は思うように動かないふたつの足を何とか前へ前へと進ませながら、アンカーとしてゴール地点である渋谷道玄坂まで歩くことなく爆走。こうしてPOPチームは、スタートからゴールまで一瞬たりともBiSHチームに前を走らせることなく、圧倒的な強さで勝利! 特賞10万円をかっさらっていった。
<BiSHの意地が生んだ絆 高熱で不参加表明したメンバーも急遽参戦>
一方、BiSの伝統行事である超長距離マラソン企画まで引き継ぐ形となったBiSHは、開催前夜にモモコグミカンパニーが高熱で不参加という事態に見舞われ、第一走者の渡辺淳之介がカミヤに14分差をつけられると、第二走者のアイナ・ジ・エンドは並走スタッフのダウンやルートミスで大苦戦、第三走者のハグ・ミィも突然の元BiSプールイのステマ乱入(自身のバンド LUI FRONTiC 赤羽JAPANのポスターを持ちながら「リプミー」熱唱)でペースを乱され、初日から絶体絶命。が、第5走者のセントチヒロ・チッチが40分差を18分差までに縮める気合いの走りを見せると、2日目も第一走者を務めた渡辺淳之介も意地の激走ぶりで更に差を縮める。
また、炎天下にハグ・ミィが朦朧としていると、まだ自分の出番が残っているにも関わらずチッチが応援に駆けつけ並走。2人からタスキを受け取ったアイナは、この時点で70分以上も差は開いていたのだが、勝負を諦めず。爆走の果てに上手く走れなくなり、何度も涙を零しながらもゴールまで辿り着くと、そこには高熱から復活参戦することになったモモコの姿があり、彼女も第4走者として逆転勝利の奇跡を信じて走り始めた。
<グランドフィナーレに感涙する者もいれば、悔し涙を流す者もあり>
その後、タスキは第5走者のチッチに渡るのだが、それから間もなくしてPOPチームのカミヤがゴール。無情にも敗北は決するのだが、何故か彼女は速度を一切緩めない。それどころか、終盤は自転車で並走しているスタッフを振り切らんばかりの驚異的なスピードでゴールまで疾走し、その場で倒れ込んだ。この命懸けの爆走にゴール地点で待っていたオーディエンスは熱狂、喝采。チッチは涙ながらに感謝の言葉を述べ、メンバーに抱えられながらその場を後にし、2日間にわたる200km駅伝は終了した。
このグランドフィナーレに感涙する者もいれば、悔し涙を流す者もあり。BiS時代に渡辺が企画した24時間100kmマラソンがそうであったように、この企画にはマラソンの完走や勝敗という次元では語れない戦いがある。それはグループとして、エンターテイナーとして、アイドルとして、表現者として、そしてひとりの人間としてどれだけの存在意義を見せつけられるかどうかの戦い。今回の駅伝は、BiSH、POP、元BiS、運営の各メンバーにとって、えげつないほど叙情的な物語の幕開けを意味するのかもしれない。
いずれにしても今回の企画を経験した彼女たちの今後に注目してほしい。きっと他では味わえない刺激や興奮、「ここに居合わせられてよかった」と思える場面を何度も体感させてくれるはずだ。
取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:内山直也、Jumpei Yamada
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