インターネットで鑑賞する「オンライン展」の歩き方 未来の展覧会とは?

インターネットで鑑賞する「オンライン展」の歩き方 未来の展覧会とは?

Vince Mckelvie 2015 – Panther Modern
現在開催中の展覧会「Panther Modern」にて、第11号室となる作品「Room Eleven: Vince Mckelvie」が5月26日に公開された。開催地は”panthermodern.org“。そう、本展は地上ではなく、インターネット上で開催されているのだ。

「Panther Modern」のようなオンラインを舞台とした形態の展覧会は海外を中心に増えつつあり、世界中で数多くの「オンライン展(Online exhibition)」が開催されている。

リアルの現場ではなくインターネット上で展覧会を開いているため、ネット環境があればいつでもどこからでも閲覧可能。その規模や期限は無限大だ。

本来の展覧会では不可能な世界をつくりだせる!

オンライン展「Panther Modern」は、2014年6月から開催されているデータファイルをベースにした展示スペース。現在、11組のアーティストが作品を展示しており、その中にはインターネットだからこそできる実験的な作品も数多く存在。

今後の「インターネット」と「アート」そして「展覧会」との関わり方を考えさせられる、非常に興味深いWebサイトとなっている。

ここでは、そんな「Panther Modern」の作品をゆっくりまわりながら、オンライン展という新しいかたちの展覧会を見ていきたい。

Room Eleven

先ほど紹介した、Vince Mckelvieさんによる第11号室「Room Eleven」には、ゴツゴツとした岩が展示スペースに置かれてある。岩には実際の展示場ならば再現できないような、コンピュータ特有の非常に彩度の高い色が数多く使われており、インターネット上での展覧会だからこそできる作品だといえる。

Room Three

第3号室「Room Three」でのEmilie Gervaisさんの作品は、ほかの展示作品と比べてみても特に突飛なものだ。色や空間性は完全に破綻しており、展覧会の一室に存在することを想像するのは難しい。

Room Four

第4号室「Room Four」でのAlfredo Salazar Caroさんの作品も興味深い。なぜなら、展示会場そのものが海の上にあるからだ。展示スペース内の一部はすでに海水が浸っており、ページをスクロールすると天候の悪化した日に波にさらされている写真もある。

Room Eight

一方で、実際にリアルに存在する展覧会なのでは? と錯覚してしまうような作品も。それが第8号室「Room Eight」にあるKim Laughtonさんの作品だ。ここまで紹介してきた一連の「Panther Modern」の作品群の中では、どの作品も「インターネットだからこそできる(リアルな空間ではできない)」という点で共通している。そういった意味では、本展の中でこの作品は問題作だといえるだろう。

「Panther Modern」は、実際に展示会場があることを想定しているオンライン展であるが、オンライン展は必ずしもそういったものばかりではない。

ネット上に溢れるありとあらゆる画像や動画、文章を共有できるブログ作成サービスTumblrで簡易的に開催した事例もあり、やろうと思えば今日からでも、気軽にはじめることができるのも魅力の1つだ。

一方で、実際にリアルな会場で展覧会を開きつつ、Web上にも公開することでオンライン展を開く事例もある。

未来の展覧会はどんなかたち?

オンライン展は、サイト上の文章や画像、動画などのスクリーンに映し出された表面的な情報のみでしか形成されていないがゆえに、作品の存在や捉え方、展覧会の意義は、完全に閲覧者の想像力に委ねられている。

閲覧者が「会場に”作品”が存在する」というイメージを持てば、それはそこにあることになり、逆も考えられるのだ。

また、あたかもその場にいるような感覚に陥りやすい作品もあれば、空間が破綻して、現実世界では考えられないものもある。そういった点では初見にとっては非常にとっかかりにくい。

特にこういったインターネット・アートの文化の中では「多くを説明しない」という暗黙の了解のような風潮もあり、理解するにはなかなか時間がかかりそうだ。

しかし、インターネットが人々の生活に溶け込んでいる今、オンライン展のような形態の展覧会が普及する未来も考えられる。

すでにGoogleでは、Google Art Projectという世界各国の美術館をストリートビューで閲覧できるサービスを開始しており、美術館や展覧会のインターネットへの移植は、もうすでにはじまっているのかもしれない。

現在公開されている注目のオンライン展

new scenario http://newscenario.net/
cermâ http://www.cerma.de/
SUPER ART MODERN MUSEUM http://safari.spamm.fr/
fluxo http://www.ofluxo.net/
Digital3mpire http://digital3mpire.com/

引用元

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