最新のIT技術が集結!『Japan IT Week』
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5月13日から15日まで東京ビッグサイトで開催された『Japan IT Week 春 2015』を取材した。
出展者数1500社、来場者数85000人を見込む12展同時開催の商業イベントだが、1日ですべて見て回るのは不可能なほど最新の技術やソリューションが一堂に会する業界系者向けの展示会だ。
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IT関係は妙に横文字が多くて精通してないとわかりにくいものだが、それは記者も同様なので、できるだけ平易な言葉で使い、そのごく一部ではあるがレポートする。
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いきなりハードディスクがバラバラになっていて面食らったが、Dr.データ復旧というサービス。会場内にクリーンルームの模擬設備を持ち込み、実際のデータ復旧の様子を実演していた。ハードディスクに限らずメモリーカードのデータ復旧はそれらが消耗品であるがために需要が高いはずだが、実情はそのほとんどは諦めているようで、同社では大切なデータだからこそダメもとで構わないので相談してほしいと話す。
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CMSという言葉を聞いてピンと来る人はIT分野に明るい方だと思われるが、コンテンツマネジメントシステムの略称だ。要はウェッブページを簡単に作り管理することができる道具のこと。この記事もCMSで書かれているが、実際にはそう簡単ではない。企業が使う場合は収益に直結するので分析・解析も同時に行えた方が都合がいい。そうしたシステムを提案していたのがNTTコミュニケーションズ。
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ちょっと専門的な事から離れて、個人でも買えるびっくりするものをお見せしよう。写真のこれ、実はパソコンのマザーボードである。見たところRJ45、USB2.0/3.0、HDMI、VGAの端子が見える。この他にWi-Fi、Bluetoothと、ほぼ積んでないものはないくらいの構成だ
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これを、きょう体に組み込んでPCとして動かすとこんな感じになる。スティック型のPCもあるにはあるが、性能が限定されていることがほとんどで、用途は限られる。しかし、このPCは通常のデスクトップ型PCとしてそのまま使用できる。
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消費電力15ワット、ファンやハードディスク等の可動部分がないので完全無音、Windows8.1 with Bing搭載で最新のOSだ。これでデュアルモニタ出力対応だというから驚きだ。記憶装置はeMMCで32GBと64GBの2機種。価格は21800円から24800円。これはかなりそそられるので、後日別記事で使用レポートを書きたいと考えている。
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どこかで会ったことのある娘だと思っていたら、やはり過去に取材したことのあるコンパニオン、居石ゆうかさんだった。
せっかくなので担当者に取り次いでもらって取材した。インターネットの世界に広告は付き物だが、最近は見ている人の趣向に合った広告が表示されることが多い。実はAI、つまり人工知能を駆使した技術の応用で成り立っている場合が多いのだが、PIALAもそうしたマーケティングを支える企業のひとつだ。個人の趣向に合う広告を効率的に配信することは双方にメリットがある。しかし記者には懸念もある。実際に表示させたくない不本意なものあるので、それらをいかに排除するかということだ。同社もこういった問題はすでに承知済みのようで、今後の課題として取り組んでいくとのことだった。
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近年は、データ流出や予期せぬデータ盗難等のセキュリティについての提案が流行のようだ。時代の要求かもしれない。そこで、究極のデータ流出防止策とは何ぞやということで、PCに一切のデータを残さないこと、また残す手段をすべて封じてしまうということに行きついたのがS&I社。インターネットの接続が前提となるが、使用あるいは作成したデータはすべてサーバーに置き、USBメモリーカードの接続さえ拒否してしまうという徹底した管理。これでは流出のしようがないのもうなずける。
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海外旅行でも海外出張でもPCでインターネット接続はもはや必修なのだが、ちょっと探せば無料Wi-Fiがある東京ならいざ知らず、そんな便利な都市はまだそう多くはない。仮にあっても公衆ではデータ流出が心配。かといって、スマートフォンでテザリングをしようものなら、いくらふんだくられるか分かったものではない。それこそパケ死確定だ。そんな悩みを解決するのが、パケット定額制海外用WiFiレンタルサービス「グローバルWiFi」。国によって異なるが、1日当たり1000円以下でどこでもWi-FIが使えるのはありがたい。
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いきなりアオザイを着た人が目の前に現れたので驚いたが、アオザイといえばベトナムである。英国に本社のある企業の日本法人であるHarvery Nash Japan社。ベトナムにシステム開発や運用を任せる(オフシェア)ことによって、低コストを実現させようということらしい。記者の認識不足なのだが、まさかITの分野ですでにベトナムが優位に立っているとは知らなかった。確かに近年人件費その他の問題から中国から東南アジアへの生産拠点の移動というのは知っていたが、ベトナムにIT技術者がわんさかいるということになると、日本の技術者もうかうかとしているわけにはいかなだろう。
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ホワイトボードのハードコピーが取れるようになったのはもう何十年も昔だろうか。今は会議なんかで使うボードをリアルタイムで別の端末に映し出すばかりではなく、それらをメディアに記録し、再生し、共有し、会議の会話に同時通訳を挟むこともできる世の中になったようだ。もちろん金を掛ければ国際会議でおなじみの技術だが、それを今ある資源を最大限に利用してやろうということに意義がある。写真はコンパニオンに書いてもらった疑似的なホワイトボードの絵が、別の疑似的なホワイトボードにリアルタイムで転送されたところ。
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日立ソリューションでは同社が総合電機メーカーとして蓄積した技術を利用した、データセキュリティの提案をしていた。やはり大手でも参入するほどデータセキュリティは市場があるのだろうか。
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コンパニオが指し示すキャビネットにはサーバー機器が詰まっているようだ。しかしこんなに詰め込んだら熱がこもって良くないだろうに。そんなに笑顔でどうぞってやってる場合ではない。ところで機器の上のアヒルは何だ?
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よく見ると、機器全部が液体にドボンチャン。確かに機器の上のアヒルは浮いている。しかも電源は入っている。アメリカの技術で、オイルに完全に浸けてしまっているのだ。電力用の大規模変圧器の中身は確かに冷却・絶縁用のオイルなのだが、このように空気中で使うことが大前提の製品をオイルに浸すことはない。これにより、冷却ファンが不要になり電力の節約になる。設置場所も省スペースで済むので同じ面積だと多くの機器を詰め込むことができるという寸法だ。一時期個人用PCで水冷というのが流行った時期があったが、そのうち循環を必要としない油冷の時代が来るかもしれない。
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最後に登場するのは鉄道会社。福岡の西日本鉄道だ。鉄道会社としてはそれほど大規模ではないが、バス事業はグループで日本最大手。新宿まで個室を擁する西鉄バス「はかた号」が乗り入れているのは、あまりにも有名だ。
かつては西鉄バスのバスガイドをしていた伊藤さん。西鉄電車のペーパークラフトをもって撮影に応じてくれた。修学旅行生の憧れの的であったという彼女は「写真が出て炎上したらどげんすると!」と笑いながら博多弁で記者にまくしたてたが、上司が「西鉄のマドンナやけん、よかろうもん。」と仲裁が入り、この笑顔に。竹を割ったような切り替えの早さはさすが九州女だ、ということにしておく。
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その西鉄がITに何の関係があるのか。ちょっと大げさだが、西鉄の情報システム会社の殴り込みだ。日本は自然災害大国でどこにいても大規模災害は免れないという認識でほぼ間違ってないのだろうが、今最も恐れられている南海トラフ巨大地震がおきても福岡市は津波の被害はないと言われている。その地の利を生かして、福岡にデータセンターを設置して、西鉄がそのデータを安定的に守ろうという戦略である。地方だからと言って黙ってはいない西鉄の意気込みを見た。
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駆け足で一連の展示会のごく一部を紹介したが、これらの技術が近いうちに我々消費者が普通に使いこなしている時代はすぐそこに来ているのかもしれない。そういった面で非常に興味深い取材であった。
※写真はすべて記者撮影。取材は主催者許諾済みで、個々の取材および撮影は個別に許諾を得て掲載。
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(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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