奇跡のコラボ『筋肉少女帯人間椅子』ナカジマノブ(Dr.)インタビュー「皆が集まると軽音部の部室そのもの」

ナカジマノブ

最新アルバムがオリコン10位にランクインし注目を集める筋肉少女帯と、25周年記念ベスト盤も好調な人間椅子。四半世紀を越えなお新鮮で斬新、長きに渡り独自の道を歩み続ける唯一無二な2バンドによるコラボレーションが実現! 『地獄のアロハ』が5月13日に発売となりました。

『地獄のアロハ』という、一度聴いたら忘れられないタイトルから繰り広げられるのは、人間椅子のおどろおどろしくも格好良いハードロックなサウンドと、筋肉少女帯の唯一無二な世界観が見事に融合した奇跡の一曲。二度と見られない!? 2組のアロハシャツ姿も話題です。

今回は人間椅子のナカジマノブさんに、コラボのきっかけから、どの様にして楽曲作りを進めたのか、など色々とお話を伺ってきました。

筋肉少女帯人間椅子

―人間椅子と筋肉少女帯、この2つのバンドがコラボをするという事は驚きであり、「待ってました!」というファンの方の声も聞こえる素晴らしい企画だと思います。まず、どの様なきっかけで話がスタートしたんですか?

ナカジマノブ:筋少の内田さんと、和嶋君と僕と、「アンジー」の水戸さんと、不定期だけどバンドをやっていて、少し前ですがそのリハーサルのときなんかに、「同じくらいの年齢の皆で、ライブや楽曲作りが出来たら楽しいね」という話が出たことがあったんですね。だから僕はコラボしたいなという気持ちはずっと持ってました。その後、ありがたい事に今回は筋少の方から「人間椅子と何かやりたい」という話が盛り上がっていると聞いて、それはとても嬉しかったですね。でも、現実的にどうやって実現するの? って。ギターが3人にベースが2人、どうやってまとめるんだろうと思いましたね。そんなまだ具体的な事が決まっていな状態の時に「渋谷公会堂おさえました」とスタッフに言われて、ええっ!?って(笑)。

―ライブの日程と場所だけは先に決まってしまったと!

ナカジマノブ:そうそう。それで、人間椅子と筋少はこれまでも一緒のライブをやった事もあったし、出来る曲はある。後はロックのスタンダードをやるとか、CDにしたって、お互いの曲を持ち寄って、一曲ずつ入れ替えて演奏するとか、色々と方法はあるなって思ったんだけど、内田さんと和嶋君が代表で連絡取り合ってくれて「2組で新曲を作ろう」と決まったんだよね。

―お互いとても個性的なバンドですから、楽曲の方向性を決めるのもひと苦労だったのでは無いかと思うのですがいかがですか?

ナカジマノブ:人間椅子の曲の作り方と筋少の作り方は違うだろうから、どうなるんだろうとは思いましたね。人間椅子は曲作りのとき、だいたいは、3人お互いにリフ(1~2小節の短いフレーズ)を持ち寄って「これいいね」とか「ここは最後に使おう」とかアイデアを出したりしながら、楽器を触りながら曲を作っていきます。俺もリフを作って持っていくんだけど、すぐに俺のリフが採用される確立は低いですね(笑)。

それから、スタジオをおさえて、皆で集まって色々話して。人間椅子と筋少がキャンプファイヤーみたいに丸くなっている光景はハタから見るとすごいと思うな(笑)。それで、持ち寄ったリフだったり、ほぼ出来上がっている曲のデモを聴きながら和嶋くんがメモをしていって。この時、和嶋君の頭の中では一曲出来上がってたみたいです。本城さんの音はキメのところ、研ちゃん(人間椅子・鈴木研一)のメロディは次の展開への渡しとか。

―その場で組み合わせながら、一曲作っていったと。

ナカジマノブ:そう、すごいよね。そこから和嶋君がまとめ役になってどんどん進んでいったね。筋少のメンバーが作ってきてくれた音が人間椅子っぽくて、それも嬉しかったな。人間椅子のイメージって“シャッフル”なんだなと。実はシャッフルの曲ってそんなには無いんだけど、改めて実感した。

バンドサウンドで一番大事なのは“グルーヴ”だと思っていて、人間椅子の場合は、たとえ少しくらいミスしたりしてても、かっこいいグルーヴだったらそれでいいじゃんっていうレコーディングの仕方なんですね。今回の筋肉少女帯人間椅子でもグルーヴを大事にして、「皆で合わせるとやっぱり違うね」という、バンドの初期衝動に近い曲の作り方で楽しかったなぁ。

―では意見がぶつかって揉める事も無く?

ナカジマノブ:全く無かったですね。ちょっと目を離すとギター談義がはじまったり、ベース談義が盛り上がったり、軽音部の部室そのもの。ドラムは俺一人だから話す人がいなくてちょっと寂しかったけど(笑)、大槻君と色々話したりして楽しかった。違うバンド同士がここまで仲良いってあんまり無いから新鮮でしたね。やっぱり、対バン形式だったら、むこうのお客さんをとってやろうって少し戦いだったりするから。筋少は特に、俺がメンバーの皆さんと地元が近かったり、学生の頃からお兄さんバンドで憧れの存在だったので、本当に嬉しかったです。

―『地獄のアロハ』という、地獄とアロハも対極だし、2組のバンドにアロハのイメージが無いし、本当に面白いテーマですよね。

ナカジマノブ:シングルが夏に近い頃にリリースだから、夏っぽい要素を入れようよという話になって、俺達の中に全くイメージの無いハワイ、アロハをモチーフに。アロハシャツをオマケにつけたり?とか色々考えて面白かったですよ。

―私もこの曲大好きなのですが、人間椅子だし、筋少なんだけど、ちゃんと「筋肉少女帯人間椅子」の曲になっているという、すごいですよね!

ナカジマノブ:ファンの皆さんに喜んでもらいたいという気持ちはもちろんあるけど、ただのサービス企画という感じでは無く、2バンドの芯の通った作品を作りたかったので、俺もすごく満足しています。

―皆さんの超貴重なアロハ姿もファンにはたまらないかと(笑)。

ナカジマノブ:全員がアロハを着て出てきたとき「うわ~厳しいな(笑)」って思いましたね。白塗りでアロハで短パンで雪駄って、なかなか見れないでしょ。このアーティスト写真に使われているものは、誰も撮られているのを意識していない、素の表情なんだよね。それぞれのアロハにも個性が出てて、見てると面白いんですよ。筋少の皆さんはブーツを合わせたり、ロックっぽさが残ってるよね。俺達はラフなんだけど、和嶋くんのは和服の生地で作ってもらっていたり、研ちゃんのは龍の柄だったり、俺は普通なんだけど(笑)。このアーティスト写真一枚にしたって、大槻君と研ちゃんがおしゃべりしてたり、内田さんはマイペースに遠くを見てたり、個性が出てるんだよね。

―本当に、それぞれの個性が凝縮されている一枚ですね! レコーディングや撮影などをご一緒して、人間椅子と筋少のここが違うなと感じた部分はありますか?

ナカジマノブ:筋少の皆さんはファッションが普段から格好良い! 俺達はレコーディングの時なんかは、動きやすさ重視でボロボロの服を着ちゃったりするんだけど、筋少の皆さんはいつもキマってましたね。自分達のイメージをどんな時も壊さないという自己プロデュース力は勉強になりました。

―6月には筋肉少女帯人間椅子のライブを控えていますが、このコラボ一回だけで終わっちゃうのはもったいないですね!

ナカジマノブ:そうそう、俺個人的にはこれからも一緒に曲作りたいな。ライブも東京だけじゃなくて、地方もまわりたい。全員集まるのって時間とか色々な制約があるけど、曲作ったり話し合ったり、バンドって一生青春だなというのを実感したので、また絶対に集まりたいなと。

―ライブもとても楽しみにしております。今日はありがとうございました!

ナカジマノブ ナカジマノブ

筋肉少女帯人間椅子
http://www.tkma.co.jp/jpop_top/King-Show-Ningen-Isu.html

ナカジマノブ撮影:小松 陽祐(ODD JOB LTD.)

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

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