咬傷犬でも愛らしい家庭犬になれる

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甲斐犬梅太

咬傷犬=人を噛む犬。本気で人を噛む犬はこのように呼ばれます。多くは保健所に持ち込まれてしまいます。そして保健所に入り更にストレスを溜めれば咬傷は更に酷くなり、当然ながら里親さんになる人も見つからないので殺処分となります。一度、咬傷犬というレッテルを貼られると人もその犬が怖くなり、なかなか寄り付かなくなるでしょう。咬傷犬になってしまったらもう、愛らしい家庭犬に戻れないのでしょうか。そんなことはありません。画像の甲斐犬も咬傷犬と呼ばれ、私がリハビリを行い、今では人が大好きで愛らしい家庭犬に生まれ変わりました。

多くの場合で愛らしい家庭犬になれる

人を噛む犬には、それなりの原因があります。その原因を特定して対処すれば、ほとんどのケースで矯正ができます。原因は犬によっても違います。根本にあるのは人に対する不信感が多く見られます。このようなケースではゆっくりと時間をかけながら人との信頼関係を強化するリハビリを行っていきます。リハビリにかかる時間も犬それぞれですが、段階を経て確実に良くなっていきます。それには犬からみて私達ヒトが信用できる存在になるように振る舞う必要があります。

なぜ咬傷犬になるのか

家庭犬として飼われていて咬傷犬になるケースでは一部の精神障害を除けば、その原因は我々ヒトにあることが解ります。原因の多くは躾不足、過保護、ヒトによる虐待などが挙げられます。これらの要因は全てヒトが介入していることが見て取れます。躾不足は文字通りヒトが躾を怠った事ですし、過保護も前項と同じです。虐待もヒトによるものです。このようにヒトが介入して咬傷犬を育ててしまっているケースが多く見られます。そしてヒトが作り上げた咬傷犬は、また別のヒトによって(または社会によって)殺処分となってしまうのです。

ならばヒトが咬傷犬を救う

ヒトが咬傷犬を作ったならヒトが責任をもって助けたいものです。私は保健所にいる犬をレスキューする際は咬傷犬や問題行動を持った犬を優先的に引き出して、リハビリとトレーニングを行います。咬傷などというとても深刻な問題行動でも必ず治ると思って取り組んでいます。いざ、咬傷の問題行動が改善されると、いままでの姿からは想像もできないほど”人間大好き!”犬に変わることができるものです。また、犬が特定の物(ヒトや他の動物も含む)を怖がる症状を改善させるには、その特定の物をもって克服するしかありません。例えば車を怖がり、車に攻撃をする犬では、その恐怖の対象である車を使わない事には克服ができません。車を怖がらないようにするために、他の物で代用しても効果はないでしょう。なのでヒトに対して攻撃する犬を改善させるにはヒトが関わらない訳にはいかないのです。

咬傷犬は必ず専門家に依頼する

仮にあなたの愛犬が咬傷犬になったとしても、自分でなんとかしようなどと思わないでください。すぐにでもドッグトレーナー、ドッグビヘイビアリスト、動物行動コンサルタントにリハビリを依頼することです。もし、依頼した専門家が「咬傷犬は無理」や「殺処分を勧める」などと言ったら、違う専門家に依頼します。必ず対応できる専門家がいるので、根気よく探しましょう。自分で対処しようとすれば大怪我を追うことにもなりかねませんし、それがきっかけで犬嫌いになってしまうかもしれません。また、中型犬以上のサイズの犬が本気で噛み付くとヒトはかなりのダメージを受けます。無理をせずに専門家に依頼して、愛らしい家庭犬の姿に戻してあげましょう。

獣医さんは専門外

犬の躾に関して獣医師に相談される方も多いと思います。しかし獣医師は病気や怪我の予防と治療の専門家です。しかも獣医師は犬だけではなく、他の動物も扱います。犬の問題行動には、それにあった専門家がいます。獣医師のみに相談するのではなく、必ず専門家に依頼しましょう。ドッグトレーナー、ドッグビヘイビアリスト、動物行動コンサルタントなどの専門家も獣医師と連携しながらリハビリを行います。獣医師は問題行動のリハビリの専門家では無いことを知っておく必要があります。

犬を壊すのもヒト、救うのもヒト

画像の甲斐犬も咬傷犬でした。リハビリの最中は3回ほど本気噛みをされました。でもそれはもう過去の話しです。最後に噛まれた日から2ヶ月たってもまだ傷は完治していませんが、今の愛らしい家庭犬として姿をみればそんな傷もいい思い出となります。この甲斐犬のケースでは2ヶ月で完治しました。ヒトが触ると襲うような犬でしたが、今ではまるで嘘のようにヒトを見ると自ら寄って行きスキンシップを求めるようになりました。初対面のヒトにでもお腹を出す始末です。。。(笑)
このように犬は必ず変われると信じて疑いません。もし咬傷犬でお困りなら、直ぐに専門家に依頼しましょう。

TOP画像は著者が撮影したもの。

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(執筆者: MASSAORI TANAKA) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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