新幹線延伸で東京から2時間半に! 外湯めぐりが楽しい野沢温泉に行ってきた
2015年3月14日に延伸開通した北陸新幹線。東京など関東圏から金沢・富山などがグッと便利になりましたが、同じように時間的に近くなったのが、野沢菜の産地として知られる長野県の野沢温泉。東京駅から飯山駅まで『はくたか』で最短1時間40分台。そこから直通バス『野沢温泉ライナー』で15~25分。約2時間半で到着できます。
約約百万年前に噴火したという古い火山・毛無山の裾野に広がる野沢温泉街。旅館や民宿の湯だけでなく、“湯仲間”という村人たちが共同で管理している“外湯”を巡るという楽しみもあります。ここではその魅力の一端をレポートします。
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「おぼろ月夜」を作詞した高野辰之(1986-1947)も気に入り晩年を過ごしたという野沢温泉街。麓へと流れる水流の音が絶えず聴こえ、そこはかとなく硫黄が鼻孔をくすぐります。
“湯仲間”が管理している“外湯”は13ヶ所。宿泊時に外湯税として150円かかりますが、基本的に無料で入り放題。ただ、各所には入口に賽銭箱があるので、常に綺麗な状態で迎えてくれる村の人への感謝の気持ちを込めるのがマナーです。
“外湯”はそれぞれに泉質や温度が違うので、一度の散策で複数回るという楽しみも。皮膚病によく、温度は高くて朝湯向きという河原湯。立派な構えに驚かされます。
湯気にあたるだけで癒やされそうな室内。湯量たっぷりで、身体の隅々まで熱がいきわたる感覚に浸れます。
ただし。脱衣所や洗面器などは共同なので、入った後はキチンと片付けることを心がけたいところです。
一部の“外湯”では、ゆでた温泉卵を無料で配っているところも。アツアツなのでやけどに気をつけて!
旅館などで野菜や卵をゆでるのに使われている麻釜(おがま)から引いたという麻釜の湯(あさがまのゆ)。痔核、糖尿病・リウマチ・中風・神経痛などによく効くとか。
中に入ると硫黄でいぶされるようで、ジンワリと汗が出てきます。温度の高い湯が好きという人にはたまらないのでは?
温泉街の北に位置する真湯(しんゆ)。屋根が高くてかわいらしい外観です。
賽銭箱の横には、「雪どけ時期となり、源泉の温度が下がっております」という注意書きが。季節の環境の変化に左右されるというのも、旅行者にとっては一期一会な感覚が増すことになるのではないでしょうか。
真湯では源泉の上にお花が生けてありました。こういった心遣いに身も心も暖かくなれます。
筆者が訪れたのは4月。既にスキー場は閉場していましたが、山麓にはまだ白く、神社などの高台には雪が残っていました。
懐かしい郵便局の丸ポスト。野沢温泉村では全てこのタイプに統一されているのだとか。
100℃近くにもなるお湯が湧出しているという麻釜。いくつかの釜はそれぞれ温度が違っていて、茹でる野菜に合わせて使い分けているそうです。当然ながら慣れない人だとやけどの危険が高いので、観光客は立ち入り禁止になっていますが、遠巻きに湯気をぼーっと眺めているだけでも時間を忘れそうになります。
至るところに神社やお地蔵さまが点在しているあたりも、古い湯処の雰囲気が。“延命地蔵”がカラフルでおしゃれでした。
今回、一夜の宿をお世話になったのは、熊の手洗湯そばの『てらゆ』。こじんまりとしていながら、屋号の佇まいからも居心地の良さが伝わってきます。
朝食には、もちろん野沢菜や温泉卵つき。特別なものはなくとも、採れたて作りたてのお味がこの上なくやさしいのです。
野沢温泉発祥・熊の手洗湯 唯一引湯の宿 お宿 てらゆ
住所:長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷8969
電話番号:0269-85-2242
残雪と桜を眺めつつ、“外湯”をめぐりリラックス。これまでは自家用車がないと心理的な距離がありましたが、北陸新幹線飯山駅の開業により、それこそ思い立った時に行ける温泉街に。まだ注目度は必ずしも高くないですが、これから利便性が認知されるようになると、今以上に賑わうことになるのかもしれません。
ただ、一点だけ注意。これまでの最寄り駅だった飯山線戸狩野沢温泉駅からは、野沢温泉行きのバスが2015年3月いっぱいで廃止になっていて、交通手段はタクシーのみ。各ホテル予約サイトでは情報が更新されていないところもあるので、気をつけて!
北信州野沢温泉観光協会オフィシャルウェブサイト
http://nozawakanko.jp/
乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。
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