ジョン・レノンにパブロ・ピカソ……ナゼ、アーティストは猫好きなのか

ジョン・レノンにパブロ・ピカソ……ナゼ、アーティストは猫好きなのか

 作家、画家、音楽家……アーティストたちの傍らにいる存在—-猫。

「反抗的」「超俗的」「気まぐれ」「不可解」といったイメージをまといがちな猫は、いつの時代も多くのアーティストたちの心を掴み、ときにインスピレーションを与えてきました。

 古今東西、今なお多くのアーティストたちを魅了し、作品の題材ともなる猫ですが、なんとその人気の起源は、遥か数千年前にまで遡ることができ、古代エジプトにおいては、崇拝の対象ともなっていたようです。

 米国のジャーナリストで、書籍『アーティストが愛した猫』の著者・アリソン・ナスタシさんは同書でこう綴っています。

「遺跡から発掘された遺物から、人々が猫の美しさに魅了されていたことがわかる。古代エジプトでは、女神バステートが猫の頭をもつ女性として、ときには猫そのものとして描かれ、お守りがつくられた。(中略)また、墓には猫の絵や浅彫りのレリーフが施された」(同書より)

 古代の遺物に見られるモザイク文様などにも猫のモチーフが用いられていることから、猫を賛美し、それを示すための工芸品をつくる慣習は、昨今にはじまったものではなく太古から続くものであることがわかります。

 このように、遥か昔から人々、なかでもアーティストたちを魅了してきた猫たち。

 同書では、猫好きの総勢50名を超えるアーティストたちの、それぞれの愛猫とのエピソードが、写真と共に紹介されていきます。

 たとえばジョン・レノンも同書で紹介されるアーティストのひとり。ジョンは子どもの頃から猫を友とみなしており、毎日、ウールトンの魚市場に通っては、飼い猫にたっぷりと魚を食べさせていたそうです。さらに、息子のショーンのために製作した絵本にも、多くの猫を描いたほどの猫好き。

 あるいは数々の名画を残した巨匠パブロ・ピカソは、その絵画やデッサンのなかにも猫が度々登場。街をうろついていたシャム猫と友だちになり、フランス語で「子猫ちゃん」を意味するミヌーと名付けたことも。

 さらに、ビート・ジェネレーションの文学を代表するアメリカの作家、ウィリアム・S・バロウズは、生前に行われたインタビューのなかで「猫たちから計り知れないほど学んだ。思いやりを学んだ。すべては猫から学んだのさ。だって猫は自分を映す鏡だからね」と述べていたそうです。

 こうしたエピソードからは、アーティストたちの想像力の源泉に、猫の存在が少なからずあったことが伺い知れます。アーティストと猫たちとのエピソードの数々。なぜ猫は、アーティストたちを惹きつけてきたのでしょうか。その魅力を存分に味わえる一冊となっています。

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