観光路線バスで行こう『東京・夢の下町 S-1系統』

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東京都交通局が運行している都営バスS-1系統は”東京・夢の下町”という愛称を持ち、ターミナル駅間を観光地を経由して結ぶ路線バスである。そのS-1系統に乗車した。路線は単純明快でJR錦糸町駅北口と上野松坂屋前(御徒町駅付近)を、とうきょうスカイツリーや浅草雷門、上野公園山下(JR・京成上野駅)を経由して結んでいる。また土曜休日に限り、その一部は上野からさらに秋葉原電気街に便利な須田町、中央線方面の乗り換えに便利な神田駅前、買い物に便利な日本橋三越を経由して東京駅丸の内北口まで延伸される。

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東京観光に利用してもらうために専用の車両を使用しているが、主要観光地のみに停車する急行バスという位置付けで特別な運賃も必要なければ、乗車目的の制限もない。他の都営バスと同様に1乗車210円(IC206円)均一である。そのため地元の人が急行バスとして利用するケースもあり、観光客と地元の人たちが一つのバスに混乗している不思議な空間だ。車内の座席配置も普通の路線バスとは一味違う特注仕様だ。

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車内には沿線観光ガイドが置かれ自由に持って帰ることができる。日本語、英語はもちろんのこと、中国語、ハングルまでそろっている。下町をよく知る地元のおばあちゃんが観光客の赤ちゃんをあやしてくれたり、地元の人しか行かないスポットを教えてくれたりと微笑ましい光景をしばしば見かけることがある。

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外見はレトロ調だが、中はハイテクで停車停留所はディスプレイと放送で多国語で案内される。

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車内の照明はもちろんLEDの間接照明で、所々に散りばめられたLED電球はまるで星空のようだ。

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今回は錦糸町駅前から乗車していくつかの停留所で下車してみた。ダイヤの関係上、写真は逆向きのバスで撮影したものもあるが、わかりやすくするために、あえて路線順で紹介したい。

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錦糸町駅は東京都墨田区にあり総武快速線、総武線各駅停車、東京メトロ半蔵門線が乗り入れるターミナルで東の歓楽街といったところか。目的のS-1系統は北口ターミナルから出る。最初に停車するのは押上で、東武線、京成線、都営浅草線、東京メトロ半蔵門線へのアクセスに便利だ。

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次はとうきょうスカイツリー駅入口。まさにスカイツリーの目の前で、東京の新しい観光スポットだ。ソラマチを介して東武線に乗り換えができる。

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634メートルのタワーが目の前に鎮座するので撮影する観光客はほぼ真上を見上げなければならない。逆にいうと、上を見ている人はほぼスカイツリーを眺めているということだ。それだけ高いので、人物を入れて記念撮影したいならば少し離れた方が良い。想像できないのも無理はないが、ここまで来てしまって、仕方なく地面にはいつくばりながら真上を撮影する観光客をよく見かける。

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リバーピア吾妻橋に停車して隅田川を渡ると浅草雷門だ。地下鉄と違い、雷門の目の前で降ろしてくれるのはありがたい。バス停から雷門まで徒歩20秒なので探す必要はない。

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言わずと知れた東京随一の観光地。外国人の方が多いのではなかろうかというほど、訪日観光客が集まる。雷門の正式名称は金龍山浅草寺風雷神門だ。通称、仲見世は浅草寺の表参道ということになる。

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次の浅草一丁目はつくばエクスプレス浅草駅に近い。下町情緒はこちらの方があるかもしれない。

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道具街・仏壇街の菊屋橋に停車すると、次は上野公園山下だ。

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JR上野駅前を少し通り越して停車するが、徒歩1分ほどで地下鉄から階段を上がることを考えると楽なものだ。

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位置的には京成上野駅の正面ということになる。成田空港へのアクセスに便利だ。

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上野公園は桜が咲き始めていて、足を止めて写真撮影する人も多い。名物の上野公園花見まであと少しだ。

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終点は上野松坂屋前。目の前に都営大江戸線上野御徒町駅、東京メトロ銀座線上野広小路駅、日比谷線仲御徒町駅の入り口があり、地下鉄のアクセスは上野よりこちらの方が便利だろう。また地下鉄入口の先を左折すると目の前にJR御徒町駅がある。アメ横はここから散策して上野に抜けた方がJR各線へのアクセスが良いのでお勧めだ。

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土曜休日の一部のバスはさらにここから秋葉原、神田、日本橋、東京駅へと向かうが、著者が乗車したバスはここが終点。丸窓が印象的なレトロ調バスだ。

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反対側の停留所に回ると、さっき乗ってきたバスが、折り返し錦糸町駅前行きになって発車を待っていた。運転士がけげんな顔をしながらも笑って迎えてくれた。乗り過ごしたと思われたか、バスマニアと思われたか、真相は不明だがブラブラしている暇な観光客に成りすますのもよかろう。

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バスの利点は景色が見えることと、目的地前で乗降できることだろう。地下鉄では景色は見えないのでどこを走っているのかわからない。土地勘がなければ途中下車はしにくいし、目的地駅で下車しても出口に階段しかなく大荷物を持っていたり子供連れだったりでと、苦労している観光客をよく見かける。一方バスの欠点は、時間が読めないことと、地下鉄や鉄道に比べて一般的に運行本数が少ないことだろう。都営バスは比較的定時運行ではあるが、さすがに鉄道のようにはいかないし、路線によっては次の便を確認しておいた方が良い場合もある。バスの運転士やターミナルの案内所、都営地下鉄の駅にはみんくるガイドという都営バス路線図を置いているのでもらっておくといいだろう。地図上に路線図が引いてるので、そのまま地図としても使える。いずれにせよ、ゆったりと、さほど時間を気にせずに東京の街を地上から眺めたいものだ。

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都営バスを利用するときには一日乗車券をお勧めする。500円で都営バスが乗り放題だ。運転士に申し出て現金を投入すれば運賃箱から一日乗車券が発券されるので次の乗車からは定期券のように提示すればよい。ICカードにデータとして発券することも可能で、チャージから500円が差し引かれてそのままICカードが一日乗車券になる。次の乗車からはICカードを運賃箱にタッチすればよい。また、この車両に限らず、都営バスの全車にWi-Fiが設置されていて、誰でも無料で利用できる。通信量を気にせずにスマートフォンで周辺の地図をリアルタイムに確認しながら途中下車をするのもいいだろうし、記念撮影した写真を乗車中にクラウドにアップロードするのもいいだろう。

観光で訪れる人も、東京に住んでいる人も、それぞれのスタイルで下町再発見のプチトリップに出てみてはいかがだろうか。意外なところで春の訪れを感じられるかもしれない。

 

※写真はすべて著者が撮影したもの。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「古川 智規」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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