「好きなことで生きていく」Youtuberたちがどれだけ稼いでいるのかまとめてみた(Credo)

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「好きなことで生きていく」Youtuberたちがどれだけ稼いでいるのかまとめてみた(Credo)

今回は「知りたい」にやさしく寄りそうメディア『Credo』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、https://getnews.jp/archives/847373をごらんください。

「好きなことで生きていく」Youtuberたちがどれだけ稼いでいるのかまとめてみた(Credo)

任天堂がYoutube動画での収益を投稿者と分配するプログラムを開始

任天堂が、YouTube に投稿された「任天堂の著作物が含まれる動画」からの広告収益を投稿者に分配するNintendo Creators Program のベータサービスを始めました。

これまで任天堂ゲームのプレイ動画などによる広告収益は、YouTube のルールに則り元の権利者である任天堂がすべて得ていましたが、今後は投稿者にも分配されます。

このニュースのように、最近急激にこうした動画投稿サイトで収益を上げることに関心が持たれるようになってきました。

Youtubeで生活の収益を得る人たちは”Youtuber”と言われ、Youtuberらをマネジメントする事務所まで設立されるほどになりました。

「YouTuber最大1000人採用へ -HIKAKINさん所属「UUUM」が大胆な一手」 2014年12月16日 『CNET』
http://japan.cnet.com/news/business/35057863/

本稿ではこのYoutuberらの収益に焦点を当てて、その分布にどういった特徴が見られるのか、そしてそのデータから今後のYoutubeの趨勢としてどのようなものが考えられるか、という推測をしてみたいと思います。

データを使用させて頂いたのは、YoutubeやTwitchなどの統計情報をまとめているSocialBlade*1というサイトからです。データは全てチャンネル別にソートされたものとなっています。そのため一人のユーザーが複数のチャンネルを持っていても別々にカウントされています。(SocialBladeで閲覧できる総動画視聴数に0.1(円)をかけたものを総収益としました。)

*1:『SOCIALBLADE』
http://socialblade.com/

尚、今回算出した広告収入は日本で推定された基準に基づいて行ったものです。予めご了承下さい。

全体の収入分布について

まず、全体の中でのトップ500人の収入を用いて分布図を作成しました。

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最も多くの人が存在していたのは5000万円から1億円までの範囲となりました。広告収入だけでこれだけ稼いでいるというだけでも改めて驚くべきことですが、5億円以上稼いでいる人も数名ですが存在しており、Youtubeの規模の大きさを思い知る数字となりました。

続いて、この値を前提に各国・ジャンル毎に分布を比較していきましょう。以下、トップ100のみを用いて作成しました。

アメリカの圧倒的強さ、アクセス数と見合わない日本とインド

Youtuberの人数が多い国としてSocialbladeの中で紹介されていた、アメリカ・オーストラリア・ドイツ・カナダ、そしてそこに日本とインドを加えたグラフを見ていきましょう。

比較のため、アメリカ(水色)と日本(緑)のみ線を太くしております。

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アメリカとイギリスを除いた国々のピークは1000万円から2000万円以下の範囲に収まっています。またそこからの広がりはあまりなく、多くの人が集中してそのあたりに分布しているようです。

対してアメリカとイギリスは比較的裾の広いグラフとなりました。2億円あたりまでそれなりの人数が存在しているようです。

形状の比較をするためにアメリカ、オーストラリアのみを抜き出したグラフを作成してみました。

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先ほど述べたような特徴がはっきり分かるかと思います。

また各国の平均値比較からも、どの国でYoutuberという文化が盛り上がっているかが読み取れるかと思います。

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日本とインドでYoutuberが伸び悩む理由

さて、今回なぜ日本とインドを加えたのかについてですが、Youtubeへのアクセス数だけで言えば日本とインドはアメリカに次いで第二位・第三位の多さを誇る国というのがその理由です。(Alexaはその推定の精度に問題があると指摘されている場合があります。今回もあくまで参考データとしてご理解いただければ幸いです。)

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しかし、この二国はそれだけYoutubeを利用している人が多いにもかかわらず、Youtuberの収入平均値が比較的小さい水準に留まっています。

日本はyoutubeだけでなく、ニコニコ動画*2の人気も非常に高く、シェアを奪い合っているというのが大きな原因の一つと考えて問題ないと思われます。また言語の壁も大きいと感じます。英語圏ユーザー向けに動画を作成するには日本人にとってかなりのスキルが要求されるので、Youtubeで人気の動画になるのは元々英語圏出身の投稿者に比べると難しいのかもしれません。

*2:『niconico』
http://www.nicovideo.jp/

インドについてですが、アクセス数の多さはインドという国の人口、そして近年のスマートフォン普及に伴うインターネット利用者の増加傾向で説明できます。

2013年の時点で約15億人存在するインドではインフラ・資産状況などの関係からPCを所持出来ない農村部においてスマートフォンの需要が近年高まっています。調査会社IDCの調査結果によれば、2013年のインドにおけるスマートフォン販売台数は前年比3倍の4400万台で、携帯電話全体では前年比18%増の2億5700万台となったとのことです。

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スマートフォンの普及率も急激に上昇しており、インド人の多くがモバイルデバイスからYoutubeを利用しているのだと思われます。

同時に、アクセス数の多さと反比例して動画を投稿して収益を得るインド人Youtuberが少ないことも説明できます。動画再生数を伸ばすためには編集ソフトなどを用いて出来るだけ質の高い動画を投稿するべく、PCを持つことが必要になってきます。

しかし、2011年のインド政府国勢調査の結果によればPCを農村で持っているのは僅か5%であり、都市部における普及率の20%とは大きく差のついた数字となっています。このようにインターネットに関する歴史が浅く、格差も大きいインドにおいて、まだ動画を投稿するということは一般的ではないのかもしれません。

3ジャンルが平均に迫り、抜ける分布に

続いてジャンル別のグラフを見ていきましょう。非常に数が多いので、まず平均値のみで比較していきます。

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全体の平均に迫っている、もしくは超えているのはゲーム、エンターテイメント、音楽の3ジャンルのみでした。他のジャンルは全て全体の平均には届かず、この3ジャンルが非常に盛り上がっていることを示すものとなりました。

国で比較した時と同様に、今回はゲームと音楽、そして動物と旅行でその形状を比較して確認してみましょう。

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やはり人気が高いジャンルはピークが右にあり裾が広く、比べて人気が低いジャンルはピークが左で裾が狭い形状となっています。

こういう形状になってしまう原因を推測してみましょう。

そのジャンルにおいて人気のYoutuberが出てくると、それに呼応して新しい人たちが続々と参入し結果としてピークが右にずれます。そしてジャンルの盛り上がりと同時に相乗効果として動画再生数が全体的に向上することにより、裾の広い形状になっていくのではないでしょうか。

関連動画として横、そして再生後に表示されるものは同じジャンルのものが多いと仮定すれば、次に見る動画もやはり同じジャンルになる可能性が高くなると言えるでしょう。

今後youtubeが盛り上がる国、ジャンルは

ここまでのデータから今後のyoutubeでの趨勢について推測してみたいと思います。

まず国についてですが、やはりアクセス数の多さから言ってもインド発のYoutuberが今後更に増えるのではないかと推測されます。

都市部では既に十分な人が所持しているPCの普及率は今後インドの国としての発展、インターネットインフラの整備、またPCの低価格化が進むに伴いより広い地域で増えていくでしょう。既にYoutubeに慣れ親しむ人が多いインドであれば、十分な投稿環境が簡単に整うようになれば自然と人気投稿者も増えていくのではないでしょうか。

続いてジャンルについて考えてみます。前述した3ジャンルには及びませんが、コメディ(Comedy)・映画(Film)は比較的裾の広い分布となっており、多様な収入分布を見せていました。

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先ほどの考えをそのまま適用すれば、これら2つのジャンルにはより更に大きくなる兆候があるということになります。その2つのうち今回は、コメディの可能性を指摘したいと思います。(FilmはYoutube上で有料で提供されるものと映画のPVが殆どで、純粋なYoutuberとして考えるには無理があると判断し、今回は指摘しませんでした。)

その理由は、Youtubeがテレビにとって代わる存在となりつつあるという点です。

2014年にアメリカで行われた調査によれば、Youtubeを見て過ごすと答えた人がテレビを見て過ごすと答えた人よりも多く、アメリカでは既にポジションの入れ替わりが起きています。そうなれば、テレビにおいて人気のコンテンツであったコメディがYoutubeにおいても重要なコンテンツにならないはずがない、という風に考えられるのではないでしょうか。

日本に関しても、お笑い芸人を抱える事務所の大手である吉本興業が昨年、Youtubeへの本格的な参入を発表しています。

「吉本興業、YouTube動画ネットワークを活用したオンラインタレント・クリエイター発掘・育成プラットフォーム「OmO」スタート」 2014年01月06日 『Markezine』
http://markezine.jp/article/detail/19095

新しいお笑い芸人、ネタを見せる場を探している芸人の人たちにとってYoutubeという全員に均等に表現できる場が与えられているというのはテレビに比べれば非常に整った環境であると言えます。勿論、現時点でも十分人気のジャンルであるコメディですが、このままの水準に留まることはないでしょう。

ジャンルの移り変わりがどうなっていくのかという部分も含めて、Youtubeが今後どのようなコンテンツとなっていくのか、注目が集まります。

参考データとして国別、ジャンル別のヒストグラム全データを下部に掲載しておりますので、是非ご活用ください。

「Youtuber収入分布:国別」 『infogr.am』
https://infogr.am/youtuber-70241457

「Youtube収入分布:ジャンル別」 『infogr.am』
https://infogr.am/youtube-890428964

画像:『Pixabay』
http://pixabay.com/ja/youtube-マルチ-メディア-メディア-チューブ-アイコン-赤-344105/

執筆: この記事は「知りたい」にやさしく寄りそうメディア『Credo』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2015年3月4日時点のものです。

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