刀剣を擬人化?突如人気上昇のオンラインゲーム『刀剣乱舞』とは?

touken

刀剣乱舞(とうけんらんぶ)とはDMMゲームズニトロプラスが提供する刀剣育成シミュレーションだ。ツイッター、ピクシブ、ニコニコ動画といった二次創作の場で怒涛の勢いで人気を獲得しているブラウザゲームであり、「刀らぶ(とうらぶ)」、或いは「ドスこれ」といった略称でも名指しされている。「ドスこれ」という呼称はDMMの既出ゲーム「艦隊これくしょん」に由来しているだろう。「刀剣乱舞」は実在の刀剣を古式ゆかしい日本男児としてスタイリッシュに擬人化しており、実在の戦艦を美少女に擬人化したゲーム「艦これ」とその戦法やキャラの獲得方法などにおいて共通点が多い。

名だたる名刀が戦士の姿となった刀剣男士。
あなたは刀剣男士たちの主(あるじ)となって
彼らを育て、強化し、自分だけの白刃隊を結成しよう。
自分好みの刀剣男士集めはもちろん、
刀剣にまつわるエピソードや熱いバトルなど見所は盛り沢山!

――歴史を遡り敵を討伐することこそ、我らが使命!

1月14日に始動したばかりだが、既にDMMのゲームランキングでは艦隊これくしょんを退け一位に躍進。細分化されたフェティッシュなスタイルと独特のキャラ造形、そして怜悧な美少年から熱血漢な好男子まで、注文の多いプレイヤーのニーズに隈なく応じる圧倒的なキャラ数がその人気の秘密だろう。

 

擬人化について

腐女子に人気の擬人化ジャンルといえば、Axis powers ヘタリアが想起される。ヘタリアは、日丸屋秀和氏の手がける世界のさまざまな国家を擬人化したwebサイト上の創作漫画。世界史や文化史に基づくしっかりとした世界観と表現力の高さからたちまちファンが増え、コミック化、アニメ化といったメディア化が為された。しかし、原作はあくまでも作者個人がweb上で発表する作品であったため、サイト上での更新頻度は不定期。個人運営での創作作品の供給には限度がある。場合によっては更新が二年も動かない、未完成の作品がある…と、ファンをやきもきさせることもしばしばだった。しかし、現在ヘタリアは集英社刊の電子アプリ「ジャンプ+」で定期連載が開始され、ファンにとっては嬉しい安定供給の場を得た。
一方で刀剣乱舞は企業の運営するオンラインゲームであり、その意味では最初から安定供給が約束されている。また、キャラ数も多く、有名声優のフルボイスが実装されている。登場人物には古代から近世までの歴史を感じさせる一面もあり、「歴女」にも嬉しい仕様となっている。
擬人化の醍醐味は擬人化される物・その事象への想像の余地があり、多いに妄想の働きやすい仕掛けである点だろう。もともと日本人には八百万の神への信仰があり、物や事象への感情移入をしやすい地盤が整っている。キャラ化された刀剣は歴史上でその所有者であった偉人に似た容姿や気質を組み込まれている者も多い。「おなじみ」の偉人のエピソードも、その間口を広げる役割を担っているだろう。
歴史をエピソードとして含むことは大きな強みであり、艦隊これくしょんのプレイヤー「提督」がお気に入りの艦の歴史を紐解く逆流現象が生じたように、既に刀剣乱舞のプレイヤー「審神者(さにわ)」は刀剣関連の書物を買い漁っている様子。突然に刀剣関連の書物が売れ出したと驚く出版社のツイートも見受けられる。

 

刀剣の魅力とは?

ONEPIECE、NARUTO、BLEACH、これらジャンプの人気漫画に共通する点は何か? とは、同誌に掲載されていた「バクマン」に登場した問いかけだ。答えはすべて日本刀が登場するという点。
確かにONEPIECEには三刀流のロロノア・ゾロが登場し、NARUTOも忍者が主役とあって日本刀が頻出する。BLEACHに至っては斬魄刀(ざんぱくとう)という特殊な刀が登場するが、言うまでもなくモチーフは日本刀であり、これそのものが登場人物の存在とは独立した精神を持つ。そして、時としては所有者の前に人の姿を以って現出する。まさに刀剣の表象化、具現化だ。
ジャンプだから刀剣を登場させるというのではないだろう。かつての少年漫画では拳と拳で語り合う肉弾戦が主流だった。それは不良同士の喧嘩であり、男同士の縄張り争い、プライドを賭けた勝負だった。しかし、近年の少年漫画ではそうした荒涼とした戦いの場を重きとするよりも、守る対象ありきの戦い、約束を果たすための戦闘といったテーマが増えている。かつては故郷、弟妹や人としての尊厳といった自分を成立させる最低限の環境のための青春の戦いであった。それが、近年では更に具体的に、そして社会的に協力しあう関係が前提され、愛するヒロイン、その守る国や家族や周囲の友人といった限定された対象を有するストーリーが増えている傾向がある。
それに伴い、戦いまでの過程も単に努力を重ねるだけではなく、効率を重視する策を生み出す頭脳、能力を生かすテクニック、それに加えた華麗な戦闘表現が展開されるようになった。
そこにきて輝くのが日本刀だ。こうした社会性を重視した日常から華麗な戦闘という非日常に逸脱する時、鞘から刀が抜き出される。平生から携帯していても、戦闘の幕が開くまで武器は抜き出されるものではない。平生は押し隠されているその意思が閃いた瞬間、周囲を圧倒する。この「平生は押し隠されている」部分にストレス社会で暮らす日本人の色気と希望が見出されるのではないだろうか。
筋肉質な大男が力押しで大剣を振り回すよりも、一見小柄な者が一刀のもとに迅速に敵を切り捨てる。「進撃の巨人」のリヴァイ兵長や、その身軽さから天狗と言われた牛若丸の人気にも見出されるように、日本人はそんな「刹那の美」に弱いのではないだろうか。
また、日本刀はそのシンプルな外見の細部に伝統工芸の粋をこらした芸術品でもある。その点も研究のし甲斐のありそうな、つまり嵌まりやすそうな魅力が満載だ。

 

今後は? 美少女版は?

早くも刀剣乱舞はサーバーが収容人数上限に達したため新規ユーザーの受付を停止した。審神者志願のプレイヤーは次回サーバ増設の1月27日(火)を待たなければならない。
一方で、「美少女版は?」という声もあがっているようだ。
刀剣男士ならぬ刀剣少女を求める声があがるのは自然の流れだろう。

DMMゲームズは既にブラウザ用ラインディフェンスゲーム「しんけん!!」の事前登録を開始している。現代の女子高生風のキャラ造形が素晴らしい「しんけん!!」に興味のある人は下記リンクを参照して正座して待とう。筆者もそうする。

 

DMMゲームズ「刀剣乱舞」
http://www.dmm.com/netgame/feature/tohken.html リンク

 

DMMゲームズ「しんけん!!」
http://www.dmm.com/netgame_s/shinken/ リンク

※この記事はガジェ通ウェブライターの「小雨」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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