『るろうに剣心』激熱アクションの立役者! 谷垣アクション監督インタビュー「今の状況で次回作を作ったら死人が出ます」

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谷垣アクション監督

2014年実写邦画No.1! 12月17日より発売となったBlu-ray&DVD『るろうに剣心 京都大火編』がセル/レンタルともにランキング1位を獲得。1月21日の『るろうに剣心 伝説の最期編』発売を前に、るろ剣の勢いは止まりそうにありません。

映画『るろうに剣心』の魅力と言えば、何と言っても邦画史上類を見ない本格的なアクション。主演の佐藤健さんはもちろん、神木隆之介さん、伊勢谷友介さん、土屋太鳳さん、登場人物の全てが壮絶な生身アクションにチャレンジしています。

このカッコ良すぎるアクションの立役者が谷垣健治アクション監督。ジャッキー・チェンに憧れ、22歳で単身香港へ。ドニー・イェン作品にスタントコーディネーターとして参加するなど、世界で活躍しています。今回は谷垣アクション監督に『るろうに剣心』のアクションについてから、作品にかける想いまで色々とお話を聞いてきました。

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―『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最後編』は2014年を代表する映画となりましたね。私も大好きで、大興奮で鑑賞しました。

谷垣:ありがとうございます。どちらの方が好きですか?

―私は『京都大火編』が特に好きです。

谷垣:でもね、こうして振り返ると改めて『京都大火編』『伝説の最期編』で1つのストーリーなんだなと思います。質問しといて何ですが、どっちとは決められないですよね(笑)。2本続けて観ると人物の気持ちの流れがとてもスムーズに感じられ、そして何よりズッシリとした見応えがあると思いますよ。かなりの体力を要しますけど(笑)。

―なるほど。1月に『伝説の最期編』のBlu-ray&DVDが出るので、一気観してみます! 本作は2014年邦画ナンバーワンヒットを記録しましたが、谷垣アクション監督が思う、成功の秘訣などんな所にあると思いますか?

谷垣:今の映画って、例えば『エヴァンゲリオン』にしても、『ホビット』にしたって「過去作を知っておくのが大前提、背景を知らないと語っちゃいけない」みたいな難しさがあるじゃないですか。でも『るろうに剣心』は「とにかく楽しんでいただければ良いですよ!」って垣根をすごく低くしたのが成功の理由だと思いますね。

後は、普段CMでニコニコしている俳優・女優が、血眼になってアクションをしている驚きというギャップもありますよね。だからパート1の時も、いかにはやく“佐藤健ががんばってる感”を無くすかという事に一生懸命になっていましたね。それが、映画の最後にはアクションがすごいのが当たり前に感じましたからね。「剣心だからすごくて当然だろ」っていう。剣心にしか見えなくなってたということです。

―特に『るろうに剣心』のアクションは、観ているこちらまで「うおお!!」って血が煮えたぎるんですよね。

谷垣:「スタイリッシュなアクション」っていうのに全く興味なくて、観た人の体温が上がる様なアクションを大友監督も僕も心がけています。

―佐藤健さんのファンでこの映画を観に行った女性は、あまりのガチぶるに驚くでしょうね。

谷垣:そうそう。特に女子が多く観に来てくれたっていうのは原作のパワーでもありますよね。少年漫画だけれど、女子に人気があった。女性は普段アクション映画あまり観ないですもんね。『ザ・レイド』のアクションがどんなにすごいと言っても、なかなか女子は観に行かないでしょう(笑)。

―京都大火編/伝説の最期編から参加となった神木さん、伊勢谷さんのアクションも素晴らしかったです。

谷垣:今回から参加した役者さんたちは、パート1を観てから引き受けているわけだから「ただで帰れないって分かってますよね?」って事です(笑)。健君があそこまでの完成度できているので、追いつかないとという気持ちがある。神木君なんかに言わせると、追いつけるかなと思ったら、剣心はさらに前に進んでいってしまっているというね。そういった競争心があって良かったと思いますね。

まあ、神木君は好きだからこのキャラが! 宗次郎が。1作目が作られる頃すでに、コミックの第9巻を社内に置いて「神木隆之介に宗次郎役お願いします!」と手紙を残したそうですからね。宗次郎が出るかもわかんないのに(笑)。

やっぱり好きだからこそですよね。そして、アクションの練習から作り上げることができたというスケジュールにも恵まれていましたね。よく、皆さん勘違いされているのがアクションの練習って、俳優さんが横にズラッと並んで講師が先頭で教える……みたいな様子を想像すると思うんですが、逆で、アクション部が何人も一緒になって役者を追い込むんですよ。

だから、監督とも話していてのは「アクションのトレーナーというより、カウンセラーだよね」って。例えば、神木君の場合なら「宗次郎になるまでは、こういう動きが足りないからこれをやりましょう。前回からはここが変わりましたね」って少しずつ、宗次郎に似ている要素を見つけ出していったんです。

―土屋太鳳さんの操も本当に素晴らしくて。この子いいなあって思ってたら、エンドロールで土屋太鳳さんの名前が出て来て驚きました。これまで『鈴木先生』など、ロングヘアーでミステリアスなイメージだったので。

谷垣:エンドロールで驚く、それは一番嬉しいですね。操役については監督とも色々相談しましたが、やっぱり太鳳ちゃんでいこうと。役者って2パターンあって、理屈で納得してからじゃないと動けないタイプと、とりあえず動いてみるタイプ。どちらにも良さはあるんだけど、太鳳ちゃんは後者で何でもとりあえず動いてくれてそれが良かった。

―他の皆さんももちろん全員素晴らしくて、役者パワーをビシビシ感じる作品でしたね。

谷垣:そうそう。皆気持ちの良い人ばっかりでしたね。あのクラスの俳優さんだったら「俺のキャラはこうじゃないから」とか色々と理由をつけて、アクションを楽にする事だって出来るはずなのに、そんな人はいませんでした。伊勢谷さんなんかは「俺、そういう事言い出したら役者として終わりだと思ってるので」なんて言ってましたね。田中泯さんだって絶対辛かったと思うんだけど「いや~楽しいな! でも出来ないから悔しいな!」って言ってて、カッコ良かったですね。

―谷垣さんが感じる「大友組」の魅力ってなんですか?

谷垣:あの人たらし感はなんていうんだろうなぁ。この人と一緒にやれば良い景色が見えるだろうと思えるんですね。後は個々のスタッフをとても信頼してくれている。映画ってね、スタッフが全力を出せない現場の方が多いんですよね。てか、そういうのがほとんど。大人の事情です。でも、大友監督とやる時は「やばい、俺めっちゃ頑張らないと」って思う。マイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』で、マイケル・ジャクソンが、ダンサーやギタリストに「ここ、ここは君が主役だから!」って言うシーンがあるけど、その人のポテンシャルをググーッと引き上げて行ってて。それはもしかしたらその人の普段のリミッターを外してあげる作業なのかもしれない。大友監督はそういったパワーがありますね。役者にも「青木、いいねいいね!」とかとことんのせて全力を出させる。香川照之さんも凄まじかった。香川さんって気迫が尋常じゃない(笑)。

―香川さん、画面いっぱいにお顔が来て、迫力で目がこぼれ落ちそうでした(笑)。ファンとしてはぜひ続編を期待してしまうのですが、その様な予定はありますか?

谷垣:もうキャストもスタッフも全員力を出し切って、今の状況で次回作を作るとしたら、死人が出ますよ、って感覚ですね。42.195kmフルマラソンあるって知ってて、あと500mでゴールって言う時に「あと10km頑張ろう!」って言われる感じ(笑)。だからこそ、このパート2、3が受け入れられた事は本当に良かったですね。

―もちろん全部だと思うのですが、特に印象に残っているシーンはありますか?

谷垣:そうだね、もちろん全部だけど、やっぱりラストですかね。最後の総当たり戦のシーンで、各キャストに動きの説明をするんだけど、江口洋介さんは「志々雄強いな……、志々雄強すぎでしょ!」って何度も言ってましたね。本当にそのくらい志々雄は強くて。

見たこともない規模のセットの中で、炎はたってるわ、役者はみんなギラギラになってるわ、スタッフもすでに半年近くに及んでる撮影の中で「いよいよ」ってムードだわ、皆異常なテンションの中撮影がスタートするんですね。最終日は27時間ぶっ続けで撮りきったんですよ。もう何時間経ったのか分かってなかった。そんな極限の状況が画面に現れてると思うんですよね。アドレナリンが出まくって、そのアドレナリンが目に見える(笑)。

―本当に剣心たちが捨て身で志々雄にぶつかっていってる様に見えるんですよね。佐藤健さんの気合がすごい。

谷垣:健君に「この映画の為にこれまで役者をやっていた」と言ってもらえて、本当アクション監督冥利につきますね。全てのシーンを撮り終わった後、監督と健君と焼肉食べに行ったんだけど、健君が憑き物が落ちた様なカラッとした顔してましたね。健君が大けがして剣心役が出来なくなる可能性だってあったわけですからね。だから本当に最後まで彼が剣心をやりとげられた事が何より嬉しいですね。

―これから『伝説の最期編』のBlu-ray&DVDが発売となって、映画館で観そびれた人は楽しみにしていると思います。今日はありがとうございました!

コンプリートBlu-ray BOX ジャケット写真

『るろうに剣心 コンプリートBlu-ray BOX』
2015年1月21日(水)リリース 
セル発売・販売元:アミューズソフト
(C)和月伸宏/集英社(C)2012「るろうに剣心」製作委員会(C)和月伸宏/集英社 (C)2014「るろうに剣心 京都大火/伝説の最期」製作委員会

『るろうに剣心 伝説の最期編』
2015年1月21日(水)ブルーレイ&DVDリリース
レンタル同時開始 デジタルセル先行配信
セル発売・販売元:アミューズソフト/レンタル&オンデマンド 発売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
(C)和月伸宏/集英社 (C)2014「るろうに剣心 伝説の最期」製作委員会

『るろうに剣心 京都大火編』
ブルーレイ& 好評発売中
好評レンタル中 デジタル配信中
セル発売・販売元:アミューズソフト/レンタル&オンデマンド 発売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
(C)和月伸宏/集英社 (C)2014「るろうに剣心 京都大火」製作委員会

http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/

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藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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