「恋愛」の成功率を大きく左右する5つの状況
タフツ大学のサム・ソマーズが書いた『考えてるつもり』は、人間がいかに状況に流されやすいかを解説したおもしろい一冊。なかでも「恋愛」の成功に関しては、もっとも状況の力が大きく関係しているそうな。具体的に恋愛を左右する要素は、以下の5つであります。
1. 距離
まず恋愛で大事なのが「距離」。近所に住んでいればいるほど、親密になる確率は上がっていくものらしい。身近な人と仲良くなるのは当たり前のようですが、その影響力は想像以上にデカいようで、ある実験によれば、「アパートメントの2つの世帯を分ける距離はわずか5.8メートル。たったのそれだけ。そして約6メートル離れるごとに、2つの世帯が親しくなる可能性はほぼ半減していた」とのこと。
また、アメリカで行われた調査では、どの州の街を調べても、家が近ければ近いほど結婚率が高い傾向があり、婚約中のカップルの半数以上は16ブロック以内に住んでいたそうな。
2. 見覚え
次に大事なのが「見覚え」。ひんぱんに顔を合わせる回数が多いほど、相手に対して魅力を感じてしまうわけですね。
たとえば、ピッツバーグ大学の実験では、実際はクラスに登録していない3人の女性に、ほかの学生と一緒に大きな講義室に座ってもらった。1学期を通して、1人目の女性には講義室に5回座ってもらう。2人目は10回。3人目は15回。彼女たちはただじっと座り、100人を超える学生の誰ともひと言の会話も交わさない。
って状況がセッティングされまして、その後でクラスの学生に、女性たちの魅力度を判定してもらったところ、講義室に姿を見せた回数が多ければ多いほど「魅力を感じる」と答える回数が上がったそうな。
3. 相互利益
「相互利益」は、相手から恩を受けたときに、つい好意を感じてしまう現象のこと。実際、バーで見知らぬ女性に酒をおごると、デートの約束を取り付ける確率が上がるってデータがあるらしい。べつの実験でも、
60名の被験者を対象にパーティを開き、初対面の相手と会話をしてもらった。その後、被験者は別の部屋に案内され、交流した相手が書いたという触れ込みの偽アンケートを見せられた。そのなかには、被験者に対してよい印象を持たなかったという回答があれば、楽しい会話だったとの回答もある。
そして、再び同じ相手と会話をしてもらったところ、相手が自分に好意的だと思った被験者のほうが、自分のプライベートについて多くを語り、積極的に会話に参加したのだった。
との結果が出たらしい。要は、自分が好意を持っていることを伝えるだけでも、相手との関係が進展する確率がグンと上がるってわけですね。
4. 障害
障害があるほど相手に魅力を感じしまう、「ロミオとジュリエット現象」のこと。バージニア大学のダン・ウェグナー教授の実験では、男女のペアを何組も集めてトランプで遊ばせ、同時にテーブルの下で足をからめていちゃつくように指示したんだそうな。
その際、彼らを2つのグループにわけて、一方には「テーブルの下でいちゃついていることは他のプレイヤーにはい知られていない」と伝え、もう一方には「他のプレイヤーもいちゃつきを知っている」と教えたらしい。すると、秘密のいちゃつきを演じたペアは、より相手に対して魅力を感じたんだとか。
とにかく、なんらかの秘密を共有するか、2人の間に障害を作るといいわけですね。
5. 類似性
同じ趣味を持つ相手に魅力を感じるのはよく聞く話ですが、心理学的な調査でもこの現象を裏づけるデータが出ているらしい。同じバンドが好きだったり、笑いのツボが同じだったりといった要素のほかにも、
人生に対する考え方
生い立ち
経歴
年齢
収入
教育水準
ルックスのレベル
といった共通点を持つ相手にも、魅力を感じる確率は高くなるそうな。世間で言うほど、正反対の相手にひかれることは少ないみたいですね。
・まとめ
そんなわけで、人間の恋愛感情は、思ったよりも周囲の環境に影響されている模様。しかし、実際にソマーズ教授がアンケートを取ったところ、たいていの学生は「顔・お尻・知性」の3つで相手への好意が決まっていると答えたそうで、状況の影響にはまったく気づいてなかったとか(笑)。気をつけたいもんです。
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