人気クリエイターに聞いた、ヒットするLINEスタンプ制作の秘訣とは?

人気クリエイターに聞いた、ヒットするLINEスタンプ制作の秘訣とは?

トークセッションの様子/左から田中光さん、たかくらかずきさん、もこうさん、吉永たつきさん
KAI-YOUでは、12月18日(木)にKAI-YOU × LINE Creators Market「LINEスタンプクリエイターのリアル」と銘打ったイベントを、LINE社内カフェ(渋谷ヒカリエ 27階)にて開催しました。

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イベントは二部構成で行われ、第一部では、LINE株式会社の渡辺尚誠さんが「LINE Creators Market」の現状をスライドを交えて解説しました。

第二部では、田中光さんたかくらかずきさんもこうさん吉永たつき(僕秩)さんがクリエイター目線によるLINEスタンプの面白さ、LINEスタンプを作る上でのポイントなどを解説しました。司会はKAI-YOU代表の米村智水。

質疑応答のコーナーでは、各クリエイターがどうしてそのスタンプを作ったかなどの質問も飛び出し、クリエイターの裏話も盛りだくさんとなりました。

LINEスタンプ制作を文化に

まずは、LINE株式会社の渡辺尚誠さんがLINE Creators Marketについて解説。

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そもそも、LINEスタンプとは何かという、基本的かつ根本的なところから、LINE Creators Marketへの登録方法までを解説しました。

LINEスタンプは、これまで無機質なテキストメッセージだったものを、感情を伴ったコミュニケーションに進化させたことが重要だと述べ、いまやスタンプが言語の壁を超えて世界の共通言語となっていることを強調しました。

LINEスタンプは230の国と地域で展開していますが、国境を超えて親しまれているといいます。

LINE Creators Marketをはじめるにあたって、これまでB to Bでしか展開していなかったLINEスタンプをクリエイターにまで広げることができるようになったそう。

誰でも参加可能”、“売上の50%をクリエイターへ”、“世界中に販売可能”という3点がLIEN Creators Marketの特徴です。
※「売上の50%をクリエイターへ」に関しては、2015年2月1日以降に審査申請を行ったスタンプについては、スタンプ売上総額よりApp Store / Google Playなどの手数料(30%)を除いた50%(売上総額の35%)がクリエイターへの収益分配額へと変更になりました。

サービス開始から6ヶ月で登録クリエイターは270,000人以上が登録し、スタンプは30,000セット以上が販売されており、販売額が1万円以上になったスタンプは40.8%で、販売総額はなんと35億9,000万円に達しているというから驚きです。

11月26日には「LINE Creators Stamp AWARD 2014」という一年間で最も優れたスタンプを決めるイベントも開催するなど、LINE側も創作を全力でバックアップする姿勢を明確に示しました。

最後に、渡辺さんは「LINEスタンプ制作を一時の現象ではなく、文化にしていきたい!」と今後の目標も明らかにしました。

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クリエイター4名によるトークセッション

第二部では、LINEスタンプを実際に作っているクリエイター4名に登壇してもらい、スタンプ制作についてききました。

登壇したのは、田中光さん、たかくらかずきさん、もこうさん、吉永たつき(僕秩)さんの4名。

田中光さんは、『サラリーマン山崎シゲル』で有名な漫画家・お笑い芸人で、『サラリーマン山崎シゲル』というLINEスタンプを販売しています。

たかくらかずきさんは、ドット専門のイラストレーターで、最近では『FINAL FANTASY Record Keeper』広報用のドット絵や上坂すみれ『パララックス・ビュー』のPVのドット絵などを手がけたといいます。

もこうさんは、普段ニコニコ動画やニコニコ生放送で活躍するゲーム実況主。販売するLINEスタンプ『(⌒,_ゝ⌒)王のスタンプ』のイラストは別のイラストレーターが描いたそうで、イラストが描けないスタンプクリエイターとしてご登壇願いました。

吉永たつき(僕秩)さんは、『僕の見た秩序。』というブログで有名なブロガー。販売するLINEスタンプ『ゆかいなエヅプトくんスタンプ(壁画ぽい版)』が大ブレイクし、LINEスタンプクリエイターとしてTVに出演した経験などもあります。

エヅプトくんスタンプが大ヒットしたのは、女子高生の「人と違うモノを使いたい」という心理を突いたから?

まずは、自己紹介からスタートしたのですが、もこうさんが自分の自己紹介時にお得意の替え歌を熱唱し、会場は一気にヒートアップ!

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今回の登壇者のイラストは世間一般でいう所謂上手いイラストではないということは登壇者全員が自覚しているようで、LINEスタンプ特有の“上手さ”についてのトークから開始。

吉永さんは、自分のイラストが上手くないと認めつつも、Twitterで検索すると女子高生がたくさん使っていることについて独自の分析を展開。女子高生たちは「人と違うモノを使いたい」という心理から一周回ってあえてヘタウマなイラストのスタンプを使うのではないのか、というのです。

LINEスタンプは、友達から送られてきたスタンプが面白かったからという理由で買われることが一番多いといいます。そのようにスタンプは自動的に拡散する仕組みになっているそうで、思いもよらないところで使われるのが面白いところ。吉永さんのエヅプトくんスタンプは、10人程度ですが実際にエジプトで使われていることも確認されているほどだそうです。

宣伝は、皆さんTwitterやFacebookなどのSNSを中心に行ったそうです。田中さんはTwitterのフォロワーがすでにある程度いたので、そこから売れた割合が大きいと分析。

吉永さんは逆に、Twitterのフォロワーと実際にスタンプを購入した層は大きく異なっていたことに言及。やはりグループチャットなどで友達から送られてきて買った、という購買層が一番大きいそうです。また、あくまでスタンプに対してファンができたのであって、クリエイターのファンになって買っている訳ではないのではないかと解説。普段からLINEスタンプのクリエイターさんをチェックしているわけではないので、第2弾のスタンプを販売開始しても効果的な告知手段が無く、第1弾ほど売れなかったという苦い経験も赤裸々に語っていました。

しかしだからこそ、フォロワーの数に縛られることなく大ブレイクする可能性もあり、メリットもあればデメリットもあり……という印象だったということでした。

台詞があると逆に、特定のシチュエーションでしか使われなくなってしまう

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田中光さんは、最近の流行りが「白くて丸いヤツ」だけになっていると指摘。具体的には、ネコやウサギなどの白い小動物をモチーフにしたキャラクターです。そこで、あえて流行とは違った方向のキャラクターで攻めることにしてみたといいます。

他のクリエイターさんも、自分と似たスタンプや流行のスタンプはあまり気にしていないようで「たまに見るぐらい」とのこと。独自の世界観とキャラクターで、自分なりのスタンプを作る方が、流行などを分析するよりも結果的には重要な要素になっているようでした。

たかくらかずきさんは、似たようなドットスタンプは無いと思っていたそうですが、調べてみると2〜3個あったそう。「でも、ぼくのはドットの荒さがスーパーファミコンぐらいなんで、勝ってますけどね。」と、“ドットの荒さ”という独自の勝負どころもあるようだ。

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使用率が高いスタンプを見ていて、もこうさんは、台詞が無いスタンプの方が使用率が高いことに気づいたそうです。

吉永さんもそれに頷き、エヅプトくんの「SORRY…」というスタンプは、文字を書かなければよかったと後悔しているそう。たとえば、「SORRY…」と台詞を書くと謝る時にしか使えなくなってしまうが、台詞がなければ挨拶でお辞儀しているときにも使ってもらえたといいます。

他の人に送信されることが一番の宣伝手段になるLINEスタンプだからこそ、使えるタイミングの限定せず広く一般に使えるスタンプを作ることが、売れる秘訣になっているということでした。

LINEスタンプ制作のコツを一挙ご紹介!

その他、イベントで登場したLINEスタンプ制作のコツを一挙ご紹介します。

・LINEでは会話がクローズすることがないから、「返信いらないよ。」などの会話を終わらせるスタンプは使われにくい

・スタンプは、受け取り手の向きを考えて右向きに作った方がいい

・デフォルトスタンプのように日常生活で使えるスタンプと、型破りなスタンプの比率が大切で、感覚的には、30:10ぐらいの比率

・スタンプの並び順にも気を配り、日常使いできるスタンプをスタンプ選択画面の1ページ目に出るようにした方がいい

・キャラクターをある程度統一した方がいい

・セリフが無いスタンプの方が案外使われる

・データを見ると会話のなかでは、「おはよう」や「飲みに行こう」などよりも「了解」などの応答スタンプの方が使われている
LINEスタンプ制作のコツ

今回ご登壇頂いた4名のクリエイターは、分析派が多く、自分のスタンプも売れているスタンプもどういう構造になっているのか日々分析しているようでした。まずは売れているスタンプを眺めて共通点を探ってみるのも制作の第一歩かもしれませんね。

Q&A 「LINEでは3ヶ月以上先の予定を決めないんです。」

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トークセッションを終えたあとには、観客からの質疑応答が行われました。

Q1. マネージメントという立場でLINEが支えていく可能性は?
A1. 今後、そういった施策も行っていきたいと考えています。現状は、毎週1つのクリエイターズスタンプを無料でダウンロードできるようにする、無料スタンプ施策を実施しています。(渡辺)

Q2. LINE STOREのランキングや関連スタンプの表示ロジックはどのようになっているのですか?
A2. ロジックに関しては公開していませんが、関連スタンプはAmazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と同じように、そのスタンプを買っている人が買った他のスタンプなどが並ぶと思って頂ければと思います。(渡辺)

Q3. クリエイターズスタンプでアニメーションスタンプや音声付きのスタンプをつくれるようになりませんか?
A3. 実は考えはあるのですが、トラフィックに相当負荷がかかるので現状かなり難しいという状況なのです。加えて、クリエイターさんも制作が相当大変です。ですから、現状ではクリエイターズスタンプでアニメーションスタンプはないと思っていただいて構いません。しかし、弊社の社訓に「3ヶ月先の予定を決めない」というものがありまして、3ヶ月以上先にはどうなっているかわかりませんが(笑)。(渡辺)

といった、真面目な質問がLINEの渡辺さんに対して多く集まりました。

また、「公式スタンプはクリエイターズスタンプよりも暴力表現に関する規制が弱いように思うのですが?」という質問に対し、100円分殴れるんだよ(クリエイターズスタンプは100円だが、公式スタンプは200円)と田中さんが、お笑い芸人らしく機転を利かせて答えるという場面もあり、会場が笑いで溢れた一幕もありました。

実際には、公式スタンプとクリエイターズスタンプでは審査基準が異なっているとのことでした。

イベント後には懇親会も!

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イベント終了後には、会場にてそのまま懇親会も開催されました。

参加者はサンドウィッチなどの軽食を食べつつ、登壇した4人のクリエイターやLINEの渡辺さんに声をかける姿も見受けられました。

懇親会中には、既にスタンプを販売している参加者に自分のスタンプを紹介してもらうコーナーも設けました。

クリエイターさんが、自分の作ったスタンプの一押しポイントなどをアピールし、会場からは「なるほど!」などの共感の声や「そんなアイディアが!?」などの驚きの声が聞こえてきていました。

今回のイベントを通じて、参加者の方が、まずは自分の使ってみたいスタンプを作ってみることから始めよう、と思って頂ければ幸いです。
KAI-YOUでは、これからもクリエイターとユーザーを繋ぎ、クリエイターを目指すユーザーをエンパワーメントするようなイベントを開催していきます。

引用元

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