『最強のふたり』スタッフ&主演が再タッグ! 映画『サンバ』監督インタビュー「芸術というのは政治よりも大切」
2012年『最強のふたり』、2014年は最強の“笑顔”! 日本で公開されたフランス語映画の中で歴代一位の記録を持つ『最強のふたり』のスタッフ&キャストが再集結。映画『サンバ』が12月26日より公開となります。
『サンバ』は、国外退去を命じられた移民の青年が、その状況下でも笑顔やユーモアで人々を明るくしていく姿を描いたドラマ。『最強のふたり』で世界中を笑顔にしたオマール・シーを主演に、シャルロット・ゲンズブールが共演しています。今回は、監督を務めたオリヴィエ・ナカシュにインタビュー。映画の見所を伺ってきました。
―まず『最強のふたり』は日本でも大ヒットしましたが、その事についてはどうの様に思われますか?
オリヴィエ・ナカシュ:『最強のふたり』のヒットは監督としてもちろん喜ばしい事ではあるんだけど、もしかしてその成功は一度限りかもしれないし、そのタイトルがずっとついてまわるというのはある意味プレッシャーでもあります。
『サンバ』も日本の皆さんがどういう感想を抱いてくれるかが楽しみだし、大都会パリにこういった移民の問題があるんだという事を知って欲しい。日本とは一万キロ以上も離れているのに、こうやって同じ映画で感動出来るということは、芸術というのは政治よりも大切なんだって思うよね。
―『最強のふたり』に引き続き、オマール・シーさんが主演を務められていますが、本当に素晴らしい笑顔で、観ているだけで心が明るくなりました。
オリヴィエ・ナカシュ:彼は生まれながらの天性の素質を持っていて、彼がスクリーンに映るだけで人々が惹き付けられてしまう。不思議な俳優さんだよね。この『サンバ』も彼を想定して脚本を書いていて、彼の為のキャラクターなんだ。
―オマール・シーンの笑顔はもちろん、シャルロット・ゲンズブールの笑顔も素敵でした。今年日本では『ニンフォマニアック』がヒットしましたが、久しぶりに明るいシャルロット・ゲンズブールを観た気がします(笑)。
オリヴィエ・ナカシュ:この映画は『ニンフォマニアック』の何倍も洋服を着ているよね(笑)。シャルロット・ゲンズブールはフランスでとても人気のある女優でとてもリスペクトされているよ。美人でも無いけど、不細工でも無いという独特のオーラがあるよね。彼女は女優として色々な作品に出て第一線にいるけど、オマール・シーは大衆向けのコメディ作品に出ている人だったから、映画の中のアリスとサンバの様に住む世界が違うという所は共通しているんだ。
―彼女が演じた「燃え尽き症候群」という病は、日本でも共感する人がとても多いと思います。
オリヴィエ・ナカシュ:確かにそうですね。日本の方はよく働くと聞いています。「燃え尽き症候群」の治療を行っている病院に行ったり、移民問題を扱っている場所を訪れたり、実際に会った人達のリアルな体験からインスピレーションを受けています。
フランスは移民を多く受け入れていて、オマール・シーのように、フランス生まれのフランス出身だけれど、ルーツはアフリカといった人がたくさんいます。だからこそフランスには複数のフランスがあって、戦いで一つにまとめようという動きに暗い気持ちになったりするんだけど、こうして移民問題を扱った映画を作って、それがフランスでヒットするという事は私たちに希望を与えるし、これからも映画を通して様々なメッセージを伝えていきたいと思っています。何より、彼の笑顔に元気づけられるはずだから、ぜひ映画を楽しんで欲しいな。
―今日はどうもありがとうございました!
『サンバ』ストーリー
料理人になることを目指し、アフリカからフランスへやってきた青年サンバは、ビザの更新手続きをうっかり忘れたことから、国外退去を命じられてしまう。拘束されたサンバに対して手を差し伸べた移民協力ボランティアの女性アリスは、どんな時も笑顔を忘れないサンバに興味を抱き、彼のために尽力する。サンバの不思議な魅力にひかれ、陽気なブラジル移民や破天荒な学生など、さまざまな人が周囲に集まってくるが、ある日、サンバの身の上に思いがけない出来事が起こり……。
(C)Quad – Ten Films – Gaumont – TF1 Films Productions – Korokoro
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。