『日々ロック』入江悠監督インタビュー「汗と血がグチャグチャでジャンルも“ごった煮”の音楽映画」
週刊ヤングジャンプで連載中の榎屋克優氏の究極のロックコミックを、『SR サイタマノラッパー』の入江悠監督が映画化した『日々ロック』が11月22日(土)より公開となります。
本作は、主人公の日々沼拓郎(野村周平)が、同級生と結成したバンドでライブをしている所に、トップアイドル宇田川咲(二階堂ふみ)が乗り込んでくる事からはじまるストーリー。音楽プロデューサーにいしわたり淳治さんを迎え、The SALOVERS、滝 善充(9mm Parabellum Bullet)、DECO*27、爆弾ジョニー、黒猫チェルシーらが劇中音楽を担当しており、音楽ファンも注目です。
今回は、今音楽映画を撮らせるならこの人以外はあり得ない! と言っても過言では無い入江悠監督にインタビュー。映画について色々とお話を伺ってきました。
―本作はコミック原作の映画化ですが、原作を読んだ時にどの様な感想を抱きましたか?
入江悠:まずすごいパワーだなと感じました。音がちゃんと紙面から聴こえてくるというか、言葉が飛び出してくる様な迫力があって。出て来る登場人物たちが主人公含めて不器用で、スマートに生きていない所に共感を持ちましたね。バンドの成長物語を描きたくて、原作は長いので、どの部分をどう映画化するかというのを考えました。
―原作が既にとてつもない力を持っているのに、映画になってさらに力強さを感じました。出来るだけ大きな音で観たい作品ですよね。
入江悠:映画のプロデューサーといしわたりさんが色々なバンドを集めてきてくれて、本当にいろんな音が鳴らせたなって思っています。『日々ロック』っていう題材自体が「もっとメチャクチャでいい」って教えてくれている気がしますよね。そのごった煮感がいい。そういう音楽映画って最近無くて、繊細でスマートな方向に行きがちだから。
―全裸になってギターを轟かす野村さんの姿も印象的でしたが、野村さんの起用はどの様な事がきっかけでしたか?
入江悠:野村君はオーディションの時に「映画では歌を歌ってもらいたいんだよね」と言ったら、その場で服を脱いで上半身裸になって歌い出して、それを観た時に、このアツさがあれば日々沼が出来るなと。
―ギターもご自身で弾かれているそうですね。
入江悠:そうです。野村君は撮影入ってからもアツかったですね。彼は楽器の経験は無かったんですが、ひたすら練習して。マンガの原作ファンが抱いている日々沼のイメージを崩さない様にって一生懸命でした。今回スタッフもキャストも音楽好きな人が多かったので、そんな中で楽器の練習を出来たのは良かったかもしれないですね。
―二階堂ふみさんとは『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』などで作品をご一緒していますが、お会いするのは久々だったのでしょうか?
入江悠:そうですね、久しぶりに会いました。もともとすごい人だなと思っていたのに、さらに成長していて。メジャーな物から、とんがった物まで色々な作品に出演してきただけあって、強いオーラを感じましたね。3年でこんなに変わるのかと。
―そんな二階堂さん演じる宇田川咲は原作ではロッカーですが、映画ではデジタル系アイドルとなっています。この変更点についてはいかがですか?
入江悠:マンガと映画の違いで、映画だと実際に音が流れるという事がありますが、日々沼拓郎は昔ながらのロックをやっているので、宇田川咲も同じロックだと話に広がりが出ないかなと思ったんですね。僕がもともとビート系の音が好きというのもあったので、HIPHOPやエレクトロを融合した音楽をされているDECO*27さんに曲を作ってもらったという感じですね。音楽映画なので、出来るだけ色々なバリエーションの音を聴かせたいなという思いがあります。
―色んな音楽を大スクリーンと、大きな音で楽しむのは映画の醍醐味ですよね。後は、血と汗がめちゃくちゃ出て来るのも個人的にはアツかったです(笑)。
入江悠:そうそう、だからコレ小中学生に観て欲しいですね(笑)。こんなに汗と血とグチャグチャな映画って今あんまり観れないと思うから、下品に笑って楽しんで欲しいです。
―今日はありがとうございました!
『日々ロック』ストーリー
金なし風呂なし彼女なし。童貞ヘタレロッカー・日々沼拓郎(野村周平)。そんな拓郎が友人の草壁(前野朋哉)、依田(岡本啓佑)とともに結成した名前からして猛烈ダサいバンド“ザ・ロックンロールブラザーズ”は、知る人ぞ知るライブハウス「モンスターGOGO」に住み込みで働いていた。
ある晩、ライブをしていた三人の前に酔っぱらった女が乱入してきた。「お前、童貞だろ?生の女抱いてからロックしな!」。拓郎の頭をビール瓶でぶん殴り、強引にギターを奪った女は名曲の「雨あがりの夜空に」を熱唱し、観客の心を鷲づかみにしてしまう。松本の姪っ子だという彼女の名前は、宇田川咲(二階堂ふみ)。斬新なスタイルでカリスマ的な人気を誇るデジタル系トップアイドルだ。フロアは大混乱、咲と三人は血とゲロにまみれた大乱闘。だが迎えのリムジンに飛び乗る直前、彼女はこう言い残して去っていく。「お前らダセーけど、けっこー良かったぞ!」少しずつ距離を縮めていく咲と拓郎たちだったが……。“史上最強のロックバカ”と“凶暴なアイドル”の運命は!? 拓郎の叫び=『日々ロック』は本当に、世界を変えることができるのか!?
(C)榎屋克優/集英社 (C)2014「日々ロック」製作委員会
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