『まほろ駅前狂騒曲』瑛太&松田龍平インタビュー「出会った時は10代で今はいろんなものが削ぎ落とされた」

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累計120万部突破、三浦しをん先生の人気小説『まほろ駅前』シリーズ。『まほろ駅前多田便利軒』の映画化、ドラマ『まほろ駅前番外地』を経て、2作めの映画となった『まほろ駅前狂騒曲』が10月18日より公開となります。

駅前で便利屋を営む多田啓介とそこへ転がり込んできた行天春彦を、俳優の瑛太さんと松田龍平さんコンビが演じる“まほろ”シリーズ。今作では行天の過去に迫り、多田としても、行天自身も、“本当の行天”が一体どういう人間かを“親子”というテーマを通して探っていく様子が描かれます。

2人の空気感も魅力の“まほろ”シリーズ。今回は主演の瑛太さん、松田龍平さんにお話を伺いました。

――小説、映画、ドラマとやってきて、また映画となったわけですが、“まほろらしさ”とはどんなものだと思いますか?

瑛太:まほろは架空の街なので、ファンタジーだったりメルヘンだったりしていいんじゃないかと思っていて。例えば映画やドラマを比べた時に、整合性みたいなものって僕らは特に考えないで、作り手の考えや想いに乗っかってやれればと思っているんですけど。

何でもありな気がしていて、決め事を作ってない良さ、っていうのがあると思います。使う音楽もジャンルが決まっていないというか。なんでも当てはまってしまう。

松田:僕が演じる上でまほろっぽさを感じるのって、多田といるときだったりするので、そこにつきます。また、それぞれいろんなキャストが出てきて、喋るセリフ回しとかにも感じますね。三浦しをん先生らしさというか。

行天を演じる上で、映画とドラマをやってきたから作り上げられてきたところも、もちろんあるんですけど、今回多田と2人のシーンで「あ、まほろだな」と実感しました。

――続編になっても2人の間だけは変わらないということでしょうか?

松田:何かしら変化は感じてもらえるんじゃないかな。初めて映画やるときは手探りで不安なこともたくさんあって。ただ連続ドラマでいろいろなシチュエーションをやることによって、役の広がりも見えました。その中で今回また映画をやれて、すごく幸せなことだと思います。

――今回、印象に残ったシーンや気になったシーンを教えて下さい。

瑛太:僕は行天のシーンですね。前作では、学校の先生のふりをして家に訪問するというのがあって、今回は塾の先生を演じるているんですけど。龍平は行天を演じて、その行天が塾の先生を演じるってなったときに、「龍平ものすごい!」って感じなんですよ。

うまく言えないですが、あの人が普通に「塾の先生です」って言って現れたとしたら、何者か本当にわからないくらい。それくらい怪しすぎるというか(笑)。あの風貌というか、空気の出し方が凄すぎて、あそこはもう一回早く観たいですね。

松田:今回、全体的に多田がとぼけていて、それがやる上で楽しかったですね。結構無責任じゃないですか。自分の理由で勝手に依頼受けたのに行天に任せるとか。最後は女の人のところに行っちゃうとか(笑)。いつも行天が見えるところにいないと不安な多田が、今回になっている感じが好きですね。

本当に今回は逆転しているところがあって。いつもは多田が振り回されてるんですけど、行天が振り回されています。なんか戸惑ってる行天が出たのが、好きですね。ちょっとうまくいってない行天というのが、多田に振り回されて、うまく出せたのが良かったです。

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――高校時代の同級生である多田と行天ですが、瑛太さんと松田さんは若い頃から大人になった今、お2人の関係性は変わりましたか?

瑛太:変わったと思いますよ。でも最初に出会った時から、お互いにベクトルみたいなものが近いのか、意識して距離を保とうとはしていないです。ある一定の距離感みたいなものがあって、それは昔から変わらないです。

僕はデビューが『青い春』(02)という映画で、あまり集団に馴染めず、映画の現場も初めてだったのでどうしていいかわからなくて、校庭や教室のすみっこにいたんですけど。初めて声をかけてくれたのが龍平で。特に会話がなくても一緒にいられるというか。

そういった感じから、今は少しずつ話をするようになって、昔よりもひとつの物事に対してディスカッションができるようになりました。前はもっと言葉じゃないところで一緒にいる感じだったんですけど、今は自然に自分の状況だったり、作品や役に対して意見交換できるようになって。そこに刺激と面白みを感じます。

松田:まぁなんか変わったんだと思いますよ(笑)。今言ったように、出会った頃はまだ10代の時なので、理想と現実みたいなものをストレートに感じる年頃で。そんなもやもやしている中で出会ったんで。

今はいろんなものが削ぎ落とされて。自分なりに答えを探してきたけどそれが少し形になってきたから、それについて話せるようになったっていうのはあるかもしれないですね。

――では、お互いの尊敬できるところはありますか?

瑛太:理由なく良いですよ。人として好きっていうことと、一緒にいて面白いです。最近は行天や、その他にも龍平の作品を見ていて思うのは、松田龍平っていう人間は、誰も出来ないし、それに上乗せして龍平がなにか違う役をやったりしたら、より出来なくなるっていうか。俳優同士としてもすごく刺激をもらうし、行くところまで行って欲しい。この先の松田龍平っていう俳優に対して、すごい興味があります。

松田:僕は……瑛太の声って心地いいんですよね(笑)。なんかα派が出てそうな落ち着く声で。そういうところですかね(笑)。
それと、さっき瑛太も僕に言ったことと同じで、役者として瑛太にしか出来ないし、面白いなって思いますね。

あと人と会う理由で、自分自身が誰かと会って前を向ける、生きることにもっと意欲が湧くっていうのは本当に素晴らしいな、と思うのですが、それを感じられる人です。

――今回の映画やまほろを通して、改めて俳優業の魅力を感じた瞬間はありましたか?

瑛太:シリーズ化っていうのは面白いな、と思いました。僕が多田を演じる上で、やっぱり龍平が演じる行天があってというのを改めて感じたし、まほろの世界観で生きている多田っていうのをちゃんと実感できます。

あとはシリーズ化の意味ですかね。シリーズ化できるってことはやっぱり幸せなことだというのを、シンプルに受け止めたい。けっこうまほろの世界観というのはカテゴライズするのが難しい作品だと思うんですけど、作り手や見ている人の中でも、「本当に好きなんだよね、あの世界が」と言ってもらえるとすごく嬉しい。“続けていける面白み”みたいなものを純粋に捉えていきたいなと思いました。

松田:作品を通してとは少し違うかもしれないですが、いろんな役をやることによって、やった役がどこか自分の中に染みこんで、それが人として、自分のキャラクターとしての形になっていると思うんですよ。そういう意味では、こうやって同じ役を長くやると、行天ぽさみたいなところも入ってくるのかなと。それは今回に限らず色々な役をやる中で、好きだと思っていなかったタイプの役が、なんか意外といいな、と思えることだったり。

また役者は人を演じるので、コミュニケーションや距離感の取り方の勉強の場を、必然的に与えてもらってる気がして。普通の仕事をしているとその仕事ばっかりになっちゃうから、なかなか自分で客観的にいろんな視点で考えてって難しいと思うんですよ。そういう意味では本当にありがたいな、と思いながらやっています。

――ありがとうございました!

2人の絶妙な空気感と、気になったというシーンをぜひ劇場で確かめてください!

映画『まほろ駅前狂騒曲』2014年10月18日 全国ロードショー
http://www.mahoro-movie.jp/index.html

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