OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.6 大貫亜美(PUFFY)×オカモトコウキ(中編)
OKAMOTO’Sのメンバーが友人はもちろん、憧れのアーティストなどをゲストに迎える対談企画第6弾は、オカモトコウキがサポートギターとしてライヴに参加した経験もあるPUFFYの大貫亜美が登場。コウキの身体に流れるPUFFYの音楽について、大貫の音楽遍歴、そして互いの共通点について、楽しくゆるやかな対談と相成りました。
(前編より続き)
―亜美さんは今でもよくライヴに行かれてますもんね。
亜美「あれも最近なんですよ。仕事でそういうリサーチをしなきゃいけないかなと思ってるものがあるのと、UCARY(& THE VALENTINE)ちゃんと仲良くなったのもありますね。若い子だと必ず何バンドかでやるじゃないですか。あまりワンマンがないから『こういうのもあるんだ、勉強になるなあ』って。リハの時から見せてもらって、『ここの音がこうなんだけど』とか言ってるのを『ほう、こだわりますなあ』って聞いてる(笑)」
コウキ「あのシステムは独特ですよね。ノルマを払ってライヴさせてもらうんですけど、メロコア4バンドの中に俺ら1組だけ入れられてわけわかんないラインナップになったり、そういう経験を沢山しました(笑)。段々知り合いが増えたり、自分たちに合った方向性になったりしていくのも面白いですね」
亜美「日本のインディを通ってないからそのあたりがわからないんだけど、学生時代はSKID ROWとか、Judas Priestのライヴに行ってたよ。次の日は首が痛いとか言って(笑)」
コウキ「ヤバい(笑)。でもそんなハードな音楽が好きだったのに家が好きなところも似てるんですよね」
亜美「うん、インドアな感じ」
―コウキくん、あまりそうは見えないですけどインドアなんですね。
コウキ「普段は無理してるんです(笑)」
亜美「私もUCARYちゃんと出会わなかったら本当にインドアな生活だった(笑)」
コウキ「今度あそこに行きましょうよ。手芸の……」
亜美「あ、ニットカフェね(笑)。行こうよ!」
―え、それ何ですか?
亜美「編み物好きが集まるカフェがあるんです。皆がもくもくと編み物するという。友達同士で行けばおしゃべりしたりしつつもくもくと編む、という(笑)」
―コウキくんは編めるの?
コウキ「編めないですね」
亜美「教えてあげるよ。指でも編めるから」
コウキ「いいっすね。あ、でも俺、あの缶みたいなのに割り箸をこうやって通していってマフラーができるみたいなやつをやったことあります(笑)」
亜美「ああ、リリアン的なのね(笑)。じゃあそれやろうよ」
コウキ「紐を途中で結んで色を変えたりして、レインボーカラーのマフラーを作った事もありますよ」
亜美「すごいじゃん!」
―普段から行ってるんですか?
亜美「前に取材で1回行って、この空間は絶対自分に合ってるなって思ったんです。漫画喫茶よりも好きかもって」
―いや、亜美さんが漫画喫茶にいたら危険ですって(笑)。
亜美「行きたくてしょうがないんだよ。未だに1人で行ったことない!」
コウキ「一緒に行きましょう(笑)。あと、亜美さんからは面白いアニメや(LINE)スタンプを教えてもらって盛り上がるんですよ」
亜美「この間、誕生日の時にコウキくんが1個くれて」
コウキ「(スタンプを見せながら)この”ヒロシ”ってスタンプが、才能が爆発してるんです(笑)」
―本当だ(笑)。亜美さんは編み物もですけど、本当に多才ですよね。絵本を書いたり、翻訳もすれば、『小説すばる』にも連載があって。小説や絵本には元々興味あったんですか?
亜美「好きなことではあったけど、まさかそれを仕事にしてくれるなんて思わなかったから、そんなに真面目にやったことはなくて、全部広く浅くです(笑)。秀でたものはないです」
―いやいや、あの絵はかなり響きましたよ。歌詞もユニークで、ヴァリエーションもあるし。
亜美「そうかなあ(笑)」
コウキ「うん。それもあるんですか、それもあるんですかという自分の知らない世界を教えてもらえるのは面白いですね。中でもニットカフェの話は衝撃でした(笑)」
——好奇心の塊なんですね。
亜美「いやー、どうなんだろう。でも今はあえて色んなものに興味持とうとは思ってます」
コウキ「そういうターム、ありますよね。色んな人と会って色んな話をしたり、新しいものを見た方がいいのかなって思う時期。でも別にずっと家に居ても変わらないなと思ったり。ずっとその繰り返しって感じがする」
―コウキくんは今、どのターム?
コウキ「今は完全に家モード。色んなものを見るというよりは、狭く深くの方がいいかなと思ってます。暗いんですよ! でも元々暗かったから音楽を聴き始めてるんで。皆でフェスに行って友達になって盛り上がりたいって動機じゃないんですよ。だから、同じような感覚の人と仲良くなるんです」
亜美「私も完全にそう。だって、1人で爆音で聴きたいんだもん! でも音楽を職業にできてるくらいの人って、そういう人が多いのかなあと思う」
コウキ「こういうこと言ったら本当に怒られると思うんですけど、人と話したくなくて音楽を聴き始めたのに、音楽とちゃんと向き合ったらったらいろんなところに出て自分の作った音楽のことを喋らなきゃいけないんですよね……」
亜美「あはははは」
コウキ「それをちゃんと説明できるようになるのがプロだと思うんですけど、1度は嫌だなって思った時期もありましたね。こっそり気の合う人に『これやばくない?』と言うのは楽しいんだけど。『ニットカフェってやばくない?』みたいなテンションでこっそり薦めるというのが本当はよくて」
亜美「わかる。私なんてそれがありすぎて。だから今、由美ちゃんを語り部にしようと思ってます(笑)。2人組のいいところはそこだなと思う。バンドもそうだけど、よく喋れる人がいると本当に楽。ソロは無理!」
―そもそもデビューする時に1人は嫌だからって由美さんを巻き込んでますからね(笑)。
亜美「そうそう(笑)。民生さんもソロになって一番最初に『寂しい』って言ってたもん」
コウキ「寂しいですよねえ。それはバンドのいいところですよね」
亜美「でも川西(幸一/ユニコーン)さんが何度も『え? え?』って聞いてくるのがうざかったって(笑)」
コウキ「川西さん、確かに聞きますね(笑)。でもそういうのがまた良かったりしてね」
―そっか。2人とも実は暗くて、ずっと1人で音楽聴いていたくて、でもこういう立場になってしまって。そんな2人が仲良しになったってことですね。
コウキ「そうですね。この状況を説明するにはそれが一番しっくりくるんじゃないかな」
亜美「だから気が合ったんだ、みたいな」
―でも今、亜美さんはちょっと外に出ようというモードになってて。
亜美「うん、今まで出なすぎて。仕事で付き合うのも全員おじさんだったんで、その反動で今はもうこういう若い子に目がいきますね」
コウキ「その付き合い方を学びたい! 仕事で出ていく時の」
亜美「いつでも教えてあげるよ〜!」
―仲良しだ(笑)。さて、その外に出ていく一貫として、PUFFYは3年ぶりのツアーがあります。
亜美「由美ちゃんの産休があって、いろんなタイミングがあって今やることになりました。本当はもうちょっと早くできたら良かったんだけど」
―20周年までにカウントダウンもあって、また色々活発になったりしてるのかなと思いました。
亜美「そうですね、動きます。ワールドツアーも行けたらいいな」
コウキ「もうリハーサル始まりました?」
亜美「始まってるよ。最初が大阪で10月10日だからもうすぐだもん」
コウキ「リハに遊びに行ってこっそり様子を見たいですね」
亜美「うん、いいよ。皆すっごいから。特に澤さんの汗がすごい(笑)」
コウキ「PUFFYのサポートをやって、その後のPUFFYのライヴを観て、学んだことが沢山あるんですよ。最近、色んな編成でライヴをしていてたじゃないですか。例えばギターが2人いる時と1人の時。1人でもドラマーが違う時と、2人でドラマーが違うパターンもあって。自分が参加した曲をそれぞれのヴァージョンで観ると、とても面白かったんですよね。ドラムのタイム感の勉強になりました。それが今回の自分たちのツアーのリハーサルにすごく役立ったんですよ」
―他との比較ができたってことですね。
コウキ「そう。なかなかできることじゃないんで、経験できて良かったのと、PUFFYのライヴで初めて同期を使ったんですけど、OKAMOTO’Sも今回初めて同期を使う曲が1曲だけあって。ギターの音はあまり出しすぎると生音となじまなかったり、細かい話ですけど、サポートの時に微妙な調整をしてたのが役立ちました」
亜美「嬉しい。その後のライヴも結構観てくれてるもんね」
コウキ「モンバス(『MONSTER baSH』)やフェスで何回か観たり。ライヴハウスでのライヴもすごい面白かった」
亜美「今、鍵のかかった引き出しを開ける作業をしてますよ。閉めてたのにっていう(笑)」
コウキ「それをここからまたやるというのは素晴らしいじゃないですか」
―そうですね。今回のツアーはバンド感がありそうなイメージですがどうですか。
亜美「今回はきっとあると思う」
コウキ「自分で弾いた時はわかんないですけど、少ない編成で弾いた時もすげーかっこいいし。キーボードも今回はいないんですよね」
亜美「いないけど、ギターが2人で、ドラマーがいて、ベースもいるし。今、リハで鬼軍曹にしごかれてる……」
―鬼軍曹って?
亜美「木下(裕晴/ベース)さん……。すっごく物腰が柔らかくて、優しい言い方で、『うん、オッケー。じゃあもう1回』というのが何回も何回もあって……『ええ、まだやんのかあ!』って(笑)」
コウキ「やりそうですねえ」
亜美「『俺ねえ、練習大好きなんだ』って言ってました、笑顔で」
コウキ「スパルタなんですね、木下さん(笑)」
(後編へ続く)
撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文 桑原亮子/text Ryoko Kuwahara
PUFFY
大貫亜美、吉村由美によるユニット。1996年、奥田民生プロデュースによるシングル“アジアの純真”でデビュー。
その後、“これが私の生きる道”“サーキットの娘”“渚にまつわるエトセトラ”など次々とヒットを連発。
アジア・北米など海外での音楽活動も積極的に行い、各国で人気を博している。
2004年11月からは、全米NO.1アニメチャンネルである「カートゥーン・ネットワーク」にて、 彼女たちを主人公にしたアニメ番組「ハイ!ハイ! パフィー・アミユミ」がスタート。その初回放送が過去最高視聴率を記録し、110カ国以上で放送される。2006年には国土交通省よりビジットジャパンキャンペーン米国親善大使を任命されるなど、
日本のポップ・アイコンとして世界を舞台に活動中。10月10日の大阪・梅田CLUB QUATTROを皮切りに3年ぶりのライヴツアー“SWAG,SWAG,SWAG”が開催。詳細はHPにて。
OKAMOTO’S
OKAMOTO’Sオカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム『10′S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月には両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、
東京スカパラダイスオーケストラ、
ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。5周年アニヴァーサリーツアー「OKAMOTO’S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR!」が9月21日の札幌PENNY LANE24からスタート。ツアーファイナルは10月25日、東京・日比谷音楽野外大音楽堂。
都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。
ウェブサイト: http://www.neol.jp/
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