福井大学が就職率7年連続1位を誇るワケ
地域に根ざす人材を地域で育てるという方針
福井大学は平成25年度の就職率が、前年度比0.9ポイント増の96.6%で、国立大学で7年連続1位となったと発表しました。これは、卒業生千人以上の国公立私立大でも4年連続1位という結果です。意外な結果に感じる人が多いかもしれませんが、ではなぜ、ネームバリューのある国公立私立を抑え、福井大学はトップに君臨し続けているのでしょうか。
現在、福井大学には三つの学部があります。それぞれの就職率は教育地域科学部98.5%、医学部96.2%、工学部94.5%といずれも高く、就職に有利な専門性のある学部構成となっています。同大学のウェブサイトによると、教育地域科学部の卒業生は学校教育課程の教員が60%、進学が23%、地域科学課程では企業・施設団体が62%とあり、大多数の学生が地元の地方銀行やJA、県庁や市役所に就職しています。もともと、教育地域科学部の卒業生の91.7%は福井県出身で、就職地も県内が87.2%を占めます。
一方、医学部の卒業生は医学科では23%、看護科にいたっては49%が母校の福井大学病院に就職。工学部は機械工学科と電気・電子工学科ともに、進学が6割近くを占めます。地域に根ざす人材を地域で育てるという方針の下、地方の国立の特性を出していると言えます。
離職率は全国平均が31.0%のところ、7.1%と驚異的な低さ
大学1年次から「インターン」募集を募り、学生一人ひとりの希望や現状を細かく把握する体制を構築しながら教員と就職委員会、就職支援室が一体となってサポートするなど、マンモス大学には真似のできない取り組みを展開。内定が出ていない学生を把握して電話で声掛けをするなど、面倒見が良いという声も聞かれます。
一般的な学生は、就職時期が近くなっても企業について詳細な情報を知りません。「どんな企業があるのか」「どんな職に向いているのか」をインターシップで知ることができるのは、企業との密なコミュニケーションがなければ難しいため、大学が企業と学生の橋渡しをする必要があります。福井大学では具体的に、県内企業の見学会やインターンシップは1年次から募集し、経営者と直接話ができる懇談会まで開催しています。
インターシップを繰り返すことで学生は適性を理解し、マッチングの指導を受けることで、福井大学の卒業生の3年以内離職率は全国平均が31.0%のところ、7.1%と驚異的な低さに留まっています。就職後の定着率が高ければ、企業がコストをかけて参加するのもうなずけます。難関大学とは言えない福井大学ですが、学生にとことん向き合いながら特性を見抜き、地方の人材育成に力を入れて成果を出しているのです。
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