巨大地震の危険性を約7割が認識。今の住宅の防災対策はどうなっている?

巨大地震の危険性を約7割が認識。今の住宅の防災対策はどうなっている?

【今週の住活トピック】
「巨大地震に対する意識調査」を公表/つなぐネットコミュニケーションズ(マンション・ラボ調べ)
http://www.mlab.ne.jp/enquete/results/results_20140815/

9月1日は「防災の日」。つなぐネットコミュニケーションズが発表した「巨大地震に対する意識調査」によると、マンションの居住者の約7割が巨大地震が発生する危険性を認識していることが分かった。であれば、どんな備えをしているのだろう? 防災に関する最新の住宅事情は、どうなっているのだろう?74%が近い将来巨大地震が起こると認識

調査は、同社のWEBサイト「マンション・ラボ」で2014年5月23日~27日に実施(有効回答数2778)したもの。まず、「首都直下地震や南海トラフ地震など、巨大地震発生の危険が迫っているという情報についてどう思うか」を聞いたところ、「近い将来必ず大きな地震が起こると思う」が74%、「当面は起こらないと思う」が26%と、4人に3人は巨大地震の危険性を認識していた。

巨大地震によるマンションへの被害については、「停電する(1950人)」、「断水する(1903人)」、「ガスが止まる(1795人)」がTOP3で、ライフラインがストップすると予想している。自宅への被害については、TOP3が「テレビの転倒・破損(1669人)」、「食器棚の転倒・破損・食器類の飛散(1316人)」、「本棚の転倒・書籍の飛び出し・散乱(1235人)」だった。

巨大地震の危険性を約7割が認識。今の住宅の防災対策はどうなっている?

【図1】首都直下地震や南海トラフ地震など、巨大地震発生の危険が迫っているという情報について、あなたはどう思っていますか?(出典マンション・ラボ「巨大地震に関する意識調査」/つなぐネットコミュニケーションズ

さて、調査結果を見ると、近い将来巨大地震が起こると思い、さまざまな被害が出ると想定している人が多いことが分かる。しかしそのわりには、飲料水や食料の備蓄は進んでいるものの、家具を固定したり、簡易トイレの備蓄をしたりといった地震対策は進んでいないのが実態のようだ。住宅の防災対策「電力確保」は?

では、今の新築住宅の防災対策はどうなっているのだろう?

まず、「電力の確保」について。
東日本大震災以降、一戸建てでは「スマートハウス」が注目されている。
直訳すれば賢い住宅となるが、何が賢いのかといえば。「省エネ」タイプの住宅に、太陽光発電などの「創エネ」設備を搭載し、蓄電池などの「蓄エネ」設備で創った電気を溜めて、「HEMS=Home Energy Management System」と呼ばれるITを使って、住宅内で使うエネルギーを見える化したり自動制御したりすることで、無駄のない省エネを実現するものだ。
「創エネ・蓄エネ」設備によって、電力会社に頼らない電力確保が可能になるので、防災対策にもなると言われている。
(スマートハウスについては、筆者の「言葉は知っているけど、説明できるほど知らない『スマートハウス』とは?(http://suumo.jp/journal/2012/09/26/29257/)」で詳しく説明しているので、参照いただきたい)

まだ数は少ないが、一戸建てだけではなく「スマートマンション」も登場している。マンション全体でエネルギー管理、節電およびピークカットを行い、エネルギーの効率的な使用や無理のない節電を実現するもの。これには、「MEMS=Mansion Energy Management System」が使われる。

ほかにもマンションでは、法律で定められた火災対策用の非常用発電機にとどまらず、一般のエレベーターや給水ポンプなどにも電気を供給できる発電機を備え、被災後の生活上最低の電力を確保する事例も増えている。住宅そのものの耐震対策は?

現行の建築基準法で定められている耐震基準では、震度6強から7程度の大規模地震に対して、人命に危害を及ぼす倒壊などの被害が生じないように定められている。きちんと建てられていれば、一定の耐震性は確保される。これに対して、さらに建物や室内の被害を軽減させるために、地震の揺れを軽減する「制震構造」や「免震構造」を採用する住宅も、一戸建て、マンションともに増えてきている。

また、東日本大震災で注目されたのが、超高層建築物の長周期地震動だ。長周期地震動は、長い波を多く含む地震動で、ゆっくりとした揺れが非常に長く続く特色がある。最近では、この長周期地震動への対策を講じた設計をしていることを明示した超高層の新築マンションも登場している。マンションでは防災備蓄の確保も

最近の新築マンションで採用例が多いのが、「防災備蓄庫」だ。被災者を救助するための工具や被災後の生活を支える飲料水や食料、簡易トイレなどを備蓄し、マンションの共用部に備蓄庫を設けるもの。また、大規模マンションの一部ではあるが、自治体と連携した地域の防災拠点として、地域住民や帰宅難民の受け入れのためのスペースや備蓄品を用意する例もある。

このように、すべてではないものの新築住宅では防災対策を強化したものが増えている。
一方で、調査結果を見ると、巨大地震でケガをすると思った理由に「パニックになり冷静に行動できないから」(501人)が3位になっている。防災のための設備や備蓄品を備えたとしても、その利用方法を理解していたり、きちんと活用できるようにシミュレーションをしたりといった、居住者自身の日ごろの備えが重要であることは、いうまでもない。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/08/27/67998/

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