こだま和文、自叙伝的ロング・インタヴュー集出版
こだま和文著『いつの日かダブトランぺッターと呼ばれるようになった』(東京キララ社刊)
こだま和文が、これまであまり語ってこなかった少年期からミュート・ビート結成直前までを語った、自叙伝的なロング・インタヴュー集『いつの日かダブトランぺッターと呼ばれるようになった』をこのたび出版した。
少年期のベースとなる音楽観を含めた価値観にはじまり、その後、彼がミュージシャンとしての活動のある種の道筋をつけた、同郷のベーシスト、川上茂幸(カルメン・マキ&OZの元ベーシスト)との邂逅などにはじまり、アーティストを目指して上京し、時には画家を目指していたこと、そしてトランぺッターとしてさまざまな流れのなかで自らの立ち位置を見つけていく、そんな姿が描かれている。当時、ベースにしていた国立の通称“ぶどう園”と呼ばれる住まいをとりまく人間模様のなかには、忌野清志郎の名前も出てくる。学生時代、福井から上京し、ミュート・ビート結成まで。これまでなかなか語られてこなかった部分だ。
また、カルメン・マキ&OZをはじめとるするいわゆる日本のニュー・ロックの流れや、レゲエ以前に、もしくは同時期に影響を受けたブライアン・イーノやニューウェイヴなど、やはりその後の彼の音楽を聴く上で、興味深い音楽的な観点が特におもしろい。本著はロング・インタヴーを元に談話形式に構成されているが、その語り口には独特の味わいがある。この人にして、この音楽ありと、本著を読むとまだその作品が聴き、答え合わせしたくなる。まさにそんな本である。
(河村祐介:新作が早く聴きたいです!)
・東京キララ社『いつの日かダブトランペッターと呼ばれるようになった』ページ
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。