高齢者を犯罪に走らせる心理的背景

高齢者の犯罪には、心理的影響がとても大きく関係している

高齢者を犯罪に走らせる心理的背景

超高齢化社会を迎え、自然と高齢者犯罪が増加傾向にあります。平成25年12月の警察庁・警察政策研究センターの調査によると、その多くは、万引きなどの窃盗や横領、そして「老老介護」世帯等の親族間で起こる残念な犯罪です。その背景には、高齢者が抱えている就労困難や生活困窮などが存在します。

また、その動機や原因を見ていくと、「孤独」「激情・憤怒」「報復・怨恨」「将来を悲観」「介護疲れ」が上位を占めています。他の世代では、精神疾患やアルコール依存等の疾病が見られますが、高齢者の犯罪にはこのような傾向は見られず、「寂しさ」「怒り」「不安」といった心理的影響がとても大きく関係しています。

孤独を抱える老人が増える今、犯罪行為は陥りやすい心の隙間

高齢者が生活する環境や背景には、一人暮らしや、家からなかなか外に出られないなどの状況があります。また、家族と一緒に生活しているものの、昼間は一人で過ごし、体は動くのに話す人がいない状況に直面していることもあります。こうした背景から、どこに頼ることもできない「孤独感」「不安感」が高齢者を襲ってくるのです。そして、寂しさや怖さから、「誰か気にかけてほしい」「見てもらいたい」といった欲求が芽生えた結果、窃盗等の軽犯罪に走ってしまいます。

人には基本的欲求として、他者との触れ合いや交流を求める承認欲求があります。ここでいう承認欲求とは、褒めてもらうこと以上に、「挨拶する」「顔を合わす」「ほほえむ」など、存在を認めてもらいたいというものです。人は人と触れ合うことや交流があることで健康に過ごすことができますが、近所付き合いや家族の付き合いが少なくなったり遮断されてしまったりすると、誰かに見てもらいたい、声をかけてもらいたいといった気持ちが湧いてきます。これは、無意識的な心のからくりで、日ごろの声掛けや人との関わりが大きく影響しています。このちょっとした寂しさ、不安が軽犯罪につながっていくのです。

独居老人が増えつつある今、また家族と過ごしていても趣味や友人が少ない高齢者にとって、犯罪行為は陥りやすい心の隙間かもしれません。近所付き合いや家族の付き合いを回復し、互いに声を掛け合う心の交流を大切にしていきませんか。

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