ノイタミナMIXのDJ和はソニーの社員! 累計80万枚超え、異色の経歴とは?
ソニー・ミュージック初のJ-POP DJプロ第1号こと、DJ和さん
ノイタミナ10th Anniversary特別企画として、歴代アニメのOP・ED、計50曲をつないだノンストップBEST MIX『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』をリリースしたソニー・ミュージック初のJ-POP DJプロ第1号こと、DJ和さん。
原曲を使ったJ-POPノンストップMIX CDの筆頭として、これまでリリースしてきた「J-ポッパー伝説」や「J-ロッカー伝説」、「J-アニソン神曲祭り」シリーズなどの作品は、累計80万枚を突破している。
この夏は8月9日(土)開催の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」をはじめ、「きたまえ↑2014」 、「ノイタミナイト」など、各地の大型フェスティバルやイベントへの出演も決定。
こうした人気J-POP DJとしての顔を持ちながら、一方でソニー・ミュージックの社員として、自ら楽曲の使用許諾手続きやジャケット制作も行うDJ和さんとは一体何者なのか。
今回はそんなDJ和さんが、どのようにして人気J-POP DJにまで上り詰めたのかをご紹介。1人のプロデューサーとの出会いからはじまり、売上不振や方向性の迷い、ソニー・ミュージックの社員になったきっかけなど、紆余曲折を経て人気DJになった歴史を、和さん本人と一緒に振り返っていく。
また、近日中には、「ノイタミナラジオ」の収録現場に潜入した、和さんとニッポン放送のアナウンサー・吉田尚記さんとの対談企画も公開する。
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ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和
発売 : 2014年7月2日
価格 : 2,592円
レーベル : SMAR
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HIP HOP → J-POPへの転向 音楽プロデューサーとの出会い
2006年 J-POPオンリーのイベント「J-POPナイト~日本式~」が渋谷でスタート
2006年
ディスコやHIPHOPなど、洋楽中心のクラブイベントが中心だった当時。日本の音楽のみを流すDJ集団・日本式DJが、気軽に邦楽を楽しめるJ-POPオンリーのイベント「J-POPナイト~日本式~」を渋谷のクラブeggmanで開始。
そこに、まだ大学生だった和さんが加入し、同イベントにも出演するようになる。元々高校時代は洋楽のHIP HOPが好きだった和さんだが、他のDJと違ったことをしたいという思いから、HIP HOPに徐々にJ-POPを混ぜるスタイルに移行していきたいと考えている頃だったという。
2007年 ソニーミュージックのプロデューサーと西麻布のクラブで出会う
2007年
J-POPイベントに参加し、徐々に邦楽のヒットソングなどを流すことでフロアを盛り上げる快感に目覚めてきた和さん。そんな中、西麻布にあるクラブでDJをしている時に酔っぱらいに絡まれる。
やたらたくさんリクエストをしてくれるその酔っぱらいの男性に、パフォーマンスの後に自主制作のMIX CDを渡したところ、その男性がソニー・ミュージックの音楽プロデューサーだったことが判明。
当時は日本語の曲のみでDJを始めてから、1、2年ぐらいたったと思います。その頃は、まだ僕の周りでは日本語のイベントがとても少なかったので、洋楽イベントに自分だけJ-POP DJとして出演させてもらう形がほとんどでした。
そんな中、よくDJさせてもらっていた西麻布のクラブで、4つ打ち系のテクノ、エレクトロ系のイベントで回していた時でした。僕はもう4時とか朝方の時間帯にDJをしていたのですが、すごく日本語の楽曲で盛り上がっていて、酔っぱらってるお客さんのリクエストとかにどんどん応えていて、その中に何度も話しかけてくれた方が、なんと現在のプロデューサーです(笑)。偶然飲みに来てただけみたいで、帰りがけに名刺をもらったのを覚えてます。
DJ和さんのコメント
2008年 SONY MUSICより初のJ-POPノンストップMIX「J-ポッパー伝説」リリース
2008年3月
かくしてプロデューサーと出会ったことがきっかけで、そのまま翌年の3月にSONY MUSICより初のJ-POPノンストップMIX『J-ポッパー伝説』でメジャーデビュー! これは、収録曲のシングルCD総売上が3000万枚を超える大ヒット曲を網羅した、和さんにとって初のMIX CDとなった。。
8月
聞きながら運動すると、カロリー燃焼効果が2%上昇するというエクササイズ用J-POP MIX『J-ポッパサイズ』を北京オリンピックに合わせてリリースする。ここでJ-POPとエクササイズを融合させた造語“J-ポッパサイズ”が誕生した。
2009年 What’s in?20周年を祝した超豪華メモリアルJ-POP MIXリリース
2009年2月
「うれしい!たのしい!大好き!」や「One Night Carnival」、「夏祭り」などを収録した『J-ポッパー伝説~2~』をリリース。
本作は、JAF(日本自動車連盟)おすすめドライブCDに認定され、その年の夏に初の東名阪ドンキホーテツアーを敢行。上り調子かと思いきや、渋谷の東急百貨店屋上のビアガーデンでのDJ中、突然のゲリラ豪雨に見舞われ、死にそうになりながら機材を片付ける羽目になったことも。
まさかのソニー・ミュージックの社員に
2010年 初のバラード涙MIXリリース、そしてソニー・ミュージック入社
2010年2月
「ひだまりの詩」や「if…」、「プラネタリウム」などを収録した初の国民的バラードMIX『J-ポッパー伝説 涙』をリリース。“泣ける男”として知られるフリーアナウンサーの徳光和夫さんが号泣するCMは当時話題を呼んだ。
そしてそのまま、SONY MUSIC ASSOCIATED RECORDSとのアーティスト契約に加え、業務委託契約を結び、ソニー・ミュージックへ入社。
MIX CDをリリースする上で最も難航する作業である楽曲使用の許諾手続きをはじめ、ジャケット制作や宣伝周りなど、選曲して音源をつなぐDJとしての仕事に加え、作品の制作自体に社員として深く関わるようになった。
西麻布で出会った現在のプロデューサーに提案されたのがきっかけでした。当時の僕のDJとしての仕事は「イベントでのDJ」+「MIX CDをつくる」くらいだったので、オフ期間が長いんです(笑)。
リリースが空いてる時期は結構時間を持て余していて、プロデューサーから「DJ和をやりながら、DJ和の担当をしろ」という話をいただきました(笑)。社会人としての勉強にもなりますし、それが他にあまり見たことがない形態だったので面白そうだと思って「お願いします!」ということになりました。
DJ和さんのコメント
2011年 伝説のロック43曲怒涛のノンストップ!!
2011年3月
「今すぐKiss Me」、「イージュー★ライダー」、「POISON~言いたい事も言えないこんな世の中は~」など、王道の名曲ロックを収録した『J-ロッカー伝説』をリリース。
社員としてはじめて制作に関わった作品にして、ロックギタリスト・野村義男さんがライナーノーツを執筆した。前作の『J-ポッパー伝説 涙』の実売(約3万枚)を超せなかったらDJを辞める宣言をした程の渾身の意欲作。
しかし結果はリリース5日前に東日本大震災が起きたこともあってか、初週実売800枚。シリーズ初のオリコン圏外を記録することとなった。
アーティストとしてだけでなく、社員としての責任も大きく、DJ和存続の危機に立たされた年でもあったそう。
売上不振… 存続危機に立たされる
そんな中、売上不振に悩みながらも震災復興に力を注いでいたDJ和さんは、ゴールデンウィークに神奈川・海老名サービスエリアで10日連続でチャリティー企画としてDJ実演イベントを実施。
誰もが知っている名曲ロックのノンストップミックスは、多くの人の心に響き、2,000枚ものCDを売り上げる。このあたりから、徐々に口コミで広がっていき、年末には3万枚を突破。2013年夏には7万枚を突破することとなった。
2011年の存続危機に関しては、勝手に自分を自分で追い込んでいたということもあるのですが、実は1作目の『J-ポッパー伝説』から4作目の『J-ポッパー伝説 涙』まで、売上は少し右肩下がりでした。
その状況に自分の力不足を感じていて、『J-ロッカー伝説』のリリースが決まった時に、自分を奮い立たせるために、「前作の『J-ポッパー伝説 涙』を越えなかったらDJやめます!」と大勢の大人がいる会議で言いました(笑)。
リリース前だったので何の保証もなかったのですが、とにかくこれは自信作でした。でも発売週はなんとオリコンランキング圏外……。「あ、やばいな……」と思いました(笑)。だけどそれからは、地方を中心にジワジワと少しずつ広がって、大変ありがたいことに、結果的には『J-ポッパー伝説 涙』の倍以上の売上になりました。
DJ和さんのコメント
以降、破竹の勢いでその活動は激しさを増し、秋にはヨーロッパ最大のマンガやアニメなどの日本文化とエンターテインメントのフェスティバル「Lucca Comics & Games 2011」へ出演。そこでのアニソンDJに対する海外のアニメファンからの反響は予想以上に大きなものだった。
ここでの経験が、後のアマチュア時代からの念願であったアニソンMIX CD「J-アニソン神曲祭り」シリーズにもつながっていく。
アニソン好きから初心者までハマる神曲祭り
2012年 史上初となるアニソン原曲ノンストップMIXシリーズ!
2012年2月
リミックスではなく、人気アニメの原曲を使用した公式アニソンミックス『J-アニソン神曲祭り』をリリース。
「もってけ! セーラーふく」、「プレパレード」、「恋愛サーキュレーション」などの大ヒット曲の盛り上がる部分だけをつなぎ、CDジャケットは『涼宮ハルヒの憂鬱』などで知られるいとうのいぢさんが担当したりと、アニソン好きからアニソン初心者まで幅広く受け入れられる作品に仕上がった。
その仕上がりに呼応するかのように、ゴールデンウィーク中に行ったAKIHABARA ゲーマーズ本店での店頭販売で、4日で800枚ものCDを売り上げた。
『J-アニソン神曲祭り』はずっと出したくて、なかなか出せなかった念願の企画でした。リリースのきっかけとしては、「Lucca Comics & Games 2011」への出演が自信につながったこともありますが、一番大きいのは、今でも毎回DJをさせてもらっているNHKの番組『MUSIC JAPAN』での「新世紀アニソンスペシャル」という放送回で、DJをしたことです。
それに加えて、NHKでも特集されるほど大きく、そして一般層にも広まった「アニソン」というジャンルが、この2、3年でとにかく注目されるようになったのも、順調な結果を要因だと思います。
「アニメ好き」だけに向けるのではなく、アニメに興味を持ちはじめた人たちのことも意識したからこそ、少しずつ多くの人に届いたんじゃないかと思っています。
DJ和さんのコメント
2013年 初のR&B系ヒットMIXシリーズ、J-アニソンイベント開催
2013年1月
アニソンに続く初の試みとして、R&B、HIP HOP、J-POP系最新ヒットMIX『A GIRL↑↑ mixed by DJ和』をリリース。
和さんにとって、J-POPやアニソンのMIX CDは得意分野だが、ついに和さんのルーツにあるR&B・HIPHOP系のMIX CDにも初挑戦。
R&BとHIPHOPは、DJという仕事柄から考えると、直球過ぎる路線ということもあり、それまでは避けていたジャンルでもあった。それだけに不安と期待が入り交じる作品だったが、見事13万枚を超える大ヒットを飛ばすこととなった。
特にドライブCDとしての評価が高く、自動車保有率の高い北関東ではオリコン20週連続でTOP20入りする程の人気だった。
2013年3月
ますます勢いをつける中、『J-アニソン神曲祭り~レジェンド~』をリリース。さらにスペシャルゲストにアニソン歌手の遠藤正明さんを迎えての初のイベント「J-アニソン神曲祭り」をTwin Box AKIHABARAにて開催する。
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9月
インドネシアで開催されたアニソンイベント「AFAID 2013」への出演も果たし、会場を熱狂の渦に巻き込むなど、日本のアニソンDJシーンを代表する存在として、海外での活躍も目立つようになってきた。
10月
『J-アニソン神曲祭り-パラダイス-』をリリース。オリコンデイリーランキングで4位を記録し、ウィークリーチャートでも8位という好記録を残した。これがDJ和さんにとって初のトップ10入りした作品となった。
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12月
『A GIRL↑↑2 mixed by DJ和』をリリース。
北海道で毎年開催されている雪と氷の祭典「さっぽろ雪まつり」にて、初音ミクの雪像近くのステージで、2年連続でDJを披露する。
【次のページ】シンセ、ロック、ノイタミナ! 怒濤の2014年…!
シンセ、ロック、ノイタミナ! 怒濤の2014年…!
2014年 シリーズ累計総売上数80万枚突破…!
2014年1月
熱狂的な日本のアニメファンの多い台湾で開催された、アニソンの音楽祭「ANIMAX MUSIX 2014 TAIWAN」に出演。
2月
J-POPの中でもエレクトロPOPに特化したMIX CD『J-シンセ伝説』をリリース。「EZ DO DANCE」や「ナンダカンダ」、「恋しさと せつなさと 心強さと」など、誰もが知ってる大ヒット曲中心の選曲で、30代から40代の支持が強い作品に。
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3月
ノンストップMIXシリーズ第12作目となる『J-ロッカー伝説2』をリリース。お笑い芸人の椿鬼奴さんとレイザーラモンRGさんが宣伝隊長として動画CMに出演した。
2月にリリースした『J-シンセ伝説』と、3月にリリースした『J-ロッカー伝説』を記念して、“いったいこの国にはシンセ派とロック派のどっちが多いのか”を調査すべく「シンセVSロックどっち派?国民調査」と題した投票企画が実施。
結果はロック派の勝利で幕を閉じた。
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3月末
世界最大のアニメ見本市「AnimeJapan 2014」にDJ&CD販売ブースを出展し、約650枚ものCDを売り上げる。また、Anisong Japanのブースでは、同ブース企画の中では最多となる1000人以上もの来場客を集客した。
4月
TOKYO FMにて初の看板番組「DJ和のJ-ポッパー伝説」が開始。
7月・8月
ノイタミナ10周年を記念して、歴代のOPとED曲を繋いだノンストップMIX『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』をリリース。10年目になるフジテレビのアニメ深夜放送枠・ノイタミナが生んだ数々の名曲を原曲でMIX。
初期の作品から最近の作品までの歴史を感じさせる選曲や構成は、1枚でノイタミナの歴史がわかってしまう程の力作に仕上がっている。
8月22日(金)には、渋谷・WWWで開催されるノイタミナの10周年を祝福するイベント「ノイタミナイト」へ出演。チケットは1分で即完する程の圧倒的な人気を見せつけたことを受け、急遽、名古屋、大阪での「ノイタミナイトツアー」の開催が決定した。
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さらに8月9日(土)には、日本最大級の音楽野外フェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」、8月16日(土)には、昨年に続く、インドネシアで開催されるアニソンイベント「AFAID2014」など、相次いで夏フェスへの出演が決定。
DJ和さんのまとめはここで終わり。2006年から約8年間に渡る歴史をゆっくりと紐解いてきた。
8年の中でリリースしてきたMIX CDは計13作品にも上る。最後に、和さんから、最新作『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』の見所や、今回の自身の歴史を振り返っての感想を語ってもらった。
僕自身、昔からとにかくいろんなジャンルのMIX CDを出したいという気持ちがあって、「J-POP」という大きな括りの中から、さらにジャンルを絞った作品を、音楽好きだけじゃなく、たくさんの方々に向けてつくってきました。
常にMIX CDをリリースし続けていること、アニメフェスや海外でのイベントなど、さまざまな会場でコツコツとDJを続けてきたことが、次のリリースにもつながっているのかなと思っています。
最新作の『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』も、とにかく時間をかけて、いろんな方の意見を聞きながらつくりました。素晴らしい楽曲しかないので、どんな人でも楽しめる作品になっています! CDを聞きながら、付属しているブックレットの「アニメ/楽曲」の解説を読んでいただくと、さらに深いノイミタナの世界に入り込めると思います。
DJ和さんのコメント
近日中には、「ノイタミナラジオ」の収録現場に潜入した、和さんとニッポン放送のアナウンサー・吉田尚記さんとの対談企画を公開。
最新作『ノイタミナ10TH ANNIVERSARY BEST MIXED BY DJ和』のライナーノーツも担当する吉田尚記さんが、本作とDJ和さんの魅力に迫る。さらにお二人に、ノイタミナが生んできた数々のアニメについても語っていただいているので、そちらも要チェックだ!
イベント情報
ノイタミナ10周年記念イベント「ノイタミナイト」開催日2014年8月22日(金)会場渋谷・WWW時間開場18時、開演19時チケット前売り¥2,500、当日¥3,000(ドリンク別)SOLD OUT!!!
【出演者】
MC&DJ:吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)
DJ:DJ和
スペシャルゲスト:内山昂輝
ウェブサイト: http://kai-you.net
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