エンジニアという人生(メカAG)

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エンジニアという人生(メカAG)

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

エンジニアという人生(メカAG)

なんか最近は「世界を変えるのはエンジニアだ!」らしい。すばらしい。マネタイズ、企画、プレゼンテーション、あげくのはてに起業もすべてエンジニア。じゃあエンジニアでない人は何をやるのか?と思うぐらい、エンジニアが何もかもやるべきだという。いや、まあ別にいいけどさ(苦笑)。

それに便乗してなんか「わかってない」人もちらほらと。なんか理想のエンジニアの姿をゴルゴ13のような究極のプロフェッショナルみたいにイメージしてるんじゃ?と思うような人が。

フリーランスで自由奔放、困難なミッションを名指しで依頼され、「やってみよう」と受託するやいなや迅速確実に成功させ、高額の報酬をもらったあとはまたどこかへ去っていく。依頼人とはあとくされなく一期一会(笑)。これぞエンジニアの理想の姿だ!と。

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ゴルゴ13の場合完成されたプロフェッショナルなんだよね。裏を返せば成長がない。なかにはゴルゴ13が一生懸命ミッション遂行のための訓練をしてるエピソードもないことはないけど。

一方、エンジニアの場合どうか?基本的にエンジニアというのは技術が好きで、技術が好きというのは自分の技術を高めることが好きということ。仕事もそのミッション…じゃなかったプロジェクトを通じて自分の技術や経験が広がることが楽しい。

いいかえればスタート時点の自分にとってはちょっと手に余るぐらいで、それを四苦八苦して乗り越え、プロジェクトの完成と同時に自分の成長を実感できる、そういう環境がエンジニアにとっての理想だと思うんだよね。

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で、そういう「成長」できるプロジェクトというと、それなりに期間が長い傾向が多いと思う。必ずしも期間の長さと比例はしないものの、それなりの相関関係はある。一期一会よりも末永く一緒にという感じではなかろうか。

やっぱエンジニアの場合、技術を磨くにはプロジェクトをこなすことが必要で、それは1人ではなかなか難しい。できないことはないだろうけど、互いに教え合い刺激しあう環境の方が効率がいい。その意味でエンジニアというのはコミュニケーションが好きだし、得意なのだと思う。単に一般に言われているような誰とでも広く浅くやるようなコミュニケーションではないというだけで。

「拳で語り合う」みたいな。「なんという陳腐でダサい設計、俺のほうがセンスがいいし、問題の本質を深くとらえてるぜ」と互いに角突き合うのがエンジニアのコミュニケーション(笑)。

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エンジニアを募集するなら「あなたのような高い技術力をもったエンジニアは破格の待遇で厚遇しますよ」ではなく、「ウチの会社にはあなたのような高い技術力をもったエンジニアがいますよ」という方向だと思うんだよね。

だからゴルゴ13とは違う。困難なミッションをスマートにこともなげにこなすのは確かにエンジニアにとってもカッコイイ。でもエンジニアにとって本当に楽しいのは、四苦八苦して苦しみもだえながら、それまでできなかったことができるようになるような状況ではないかと。それが「自分たちが世界ではじめて」であれば、いうことない。

「できるかできないか」というきわどいプロジェクトを依頼するには、やっぱ見ず知らずの赤の他人の一期一会では都合が悪い。エンジニアがなぜ組織に所属したがるかといえば、まさにそれが理由だろう。そうしないときわどいプロジェクトはなかなかこなせない。

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なぜ人気企業に優秀なエンジニアが集まるかといえば、優秀なエンジニアが集まってるから、そういう環境を求めてさらに優秀なエンジニアが集まってくるわけだ。有名大学になぜ優秀な学生が集まるかと同じ理屈。

エンジニアにとって自分がその会社の技術面でのトップ(自分と同じかそれ以上のレベルの人間が自分しかいない)というのは、メリットというよりも高リスクだと思うんだよね。その高リスクを冒すには、金銭とかの待遇面ではない「別の何か」が必要。「俺がこの会社を(1人で)引っ張っていくんだ」というタイプもないことはないと思うけど(いわゆるベンチャーの創業メンバーですな)、そういうのは「出会い」が必要で「募集」しても来ない(笑)。

執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年07月03日時点のものです。

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