法人税、払わなくても許される?
日本国内で法人税を納めていない企業は70%超える
アベノミクスの「3本目の矢」である成長戦略の発表が待たれる昨今。法人税減税の実施や、それとは反対にトヨタによる「5年間国内法人税納税ゼロ発言」など、法人税をめぐる話題が世間をにぎわせています。
法人税を納めていない企業の割合が70%を超える日本において、「本当に法人税減税は必要か」という議論もありますが、気になるのはトヨタの「5年間国内法人税ゼロ納付」の方かもしれません。
成績が良くても法人税ゼロはあり得る
日本が世界に誇るグローバル企業・トヨタの豊田章男社長は、5月の決算会見で「(2009年に)社長になって、国内で一度も法人税を払っていなかった。納税ができる会社としてスタートラインに立てた」と語ったとされています。本当にそんなに成績が悪かったのでしょうか?
トヨタが、国内で法人税を払っていなかった理由の一つは、トヨタ単独決算では2009年から2012年まで、赤字(欠損)だったようです。国内では、繰越欠損金は9年間にわたり利益から控除できるため、リーマンショック後の2009年3月期以降2013年3月期まで黒字が出ても、国内では納税が発生していなかったようです。また、この間の連結決算でも、海外事業などで黒字であったものの、国内では二重課税排除のための「外国子会社配当益金不算入制度」により納税は発生していなかったようです。
繰越欠損金の控除期間9年間は本当に優遇か?
日本では、法人の繰越欠損金は9年間控除できます。平成23年税制改正前は7年間だったので、欠損企業にやさしい税制に見えますが、実はほかの国と比較すると意外に短いことがわかります。
◆イギリス、フランス、ドイツ=無期限
◆アメリカ=20年
◆台湾、韓国=10年
◆日本=9年
無期限に事業を継続することを前提(ゴーイングコンサーン)とする考え方からすれば、以前の赤字を挽回するのに期限を設けること自体、「おかしい」といえるかもしれません。
それでも、法人税減税を推し進める必要はある
冒頭の法人税ゼロ(赤字)企業割合70%超の裏側で、このようなデータが存在します。売上ベースで見た黒字企業割合です。国税庁の統計によると平成24年度決算では、国内法人の売上高に占める黒字企業の売上高は約73%(=1018兆円/1386兆円)です。中小企業が多い飲食業の赤字法人割合が83.7%であることからも、中小企業と大企業の格差は激しくなっているのです。
法人税納付ゼロの赤字企業割合と売上ベース黒字企業割合の矛盾、トヨタの国内法人税ゼロ納付の矛盾を抱えながらも、日本から海外に企業が逃げないためにも、そして海外から日本へ企業進出を促すためにも、中国や韓国の税率25%前後、シンガポールの17%の法人税税率を意識した減税(現行34.62%)は推し進める必要があるようです。
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