「関西、キてるなって感じてんねん」谷村じゅげむが語る関西音楽シーン

「関西、キてるなって感じてんねん」谷村じゅげむが語る関西音楽シーン

いよいよ今週末6月22日(日)に迫った、下北沢BASEMENT BARとTHREEの2会場で開催されるイベント〈関西ウルトラショック!!!!!!〉。

関西地下シーンのヤバいアーティストたちが一挙に東京に集結するイヴェントの開催を目前に、出演者で主催者でもあるワッツーシゾンビの谷村じゅげむが、関西音楽シーンの現状と、本イベント開催への想いを激白。

少しでも感じるものがあったのなら、会場に足を運んでみては?

■インタヴュー : 谷村じゅげむ

ーー今回の企画、なんでまた、いま、関西なんですか?

谷村じゅげむ(以下、じゅげむ) : ざっくり言うと、東京って言うたらオーバーグラウンドであり、メインストリーム。関西は常にそれに対抗するかたちで存在してて、与党と野党みたいな関係性で、常にメインを上に突き上げて、突き上げられるほうもよくなっていく。俺ら関西のバンドは、カウンター側の人間っていう意識があって、だからこそ、関西からおもしろいものがいろいろ出てくると思うところがあるし。特に2005年頃、いわゆる“関西ゼロ世代”って言われてた時は、俺自身が渦中におったし、周りにもおもしろいバンドがいっぱいおって、盛り上がるのが当たり前やと思ってたんやけど、時間が経ってバンドが少なくなって、その健康的な関係が変わってきてしまった気がして。

ーー関西ゼロ世代が注目されてた頃は、東京のバンドが関西にビビリながらライヴをやってたし、関西のバンドがひとつ来るだけでU.F.O.CLUBとかO-nestがパンパンになってましたもんね。

じゅげむ : そういう状況があったからね。 いま東京にライヴでちょこちょこ行くけど、関西から東京を見たら、東京だけでしかやってないように思うんや。ひと昔前で言うたら、東京で有名なものはこっちでも有名やん。東京で流行ってるもんは大阪でも「それが今流行ってるもんや」ってなるし。東京のバンドが来たら、「今これがイケテんねや」って意識してたけど、今はなんか「ああ、東京の人ね」ってだけで。

ーー例えば、そのひと昔前の具体的なバンドってなんですか?


じゅげむ : LESS THAN TVとかもそうやし、渋谷系とかデス渋谷系もそうやし。そういうバンドが関西に来たら、すごい見たいと思ったし、「これが今かっこいいバンドなんや」と思ったり。 とにかく、最近感じるのは、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの関係性が薄くなってるなってこと。もっと言えば、メジャーのレコード会社もアンダーグラウンドに注目して、どんどん商売にシフトしてってる気がするんよ。

ーーアンダーグラウンドから生まれた新しいものを、メジャーが後追いするというか。

じゅげむ : そう、そういう感じ。もともとメジャーはメジャーでまわってたのに、サブカルチャー寄りになってきてるから、サブがサブじゃなくてメインになってきてる。あくまでAKB48とかEXILEとかがメインとしてあってのサブカルチャーやんか。

ーーそうですね。最近だと大森靖子さんのメジャー・デビューもそうだし、大槻ケンヂさんとかCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIさんが、ももクロに曲書いたりしてるし。

じゅげむ : そういうのも「ああ、あの人がこんなことやってる」って感じでおもしろいと思うんやけど、最近はメジャーがサブカルチャーを食いものにしてるっていうか。アンダーグラウンドの奴はオーバーグラウンドを目指すし、オーバーグラウンドの奴はアンダーグラウンドの突き上げを意識したりビビリながらおもしろいことをやるっていうのが本当にいい状況と思うんよ。

ーーじゃあ、ワッツーシゾンビはどういう立ち位置なんですか?


じゅげむ : アンダーグラウンド。

ーーでも、曲はアンダーグラウンドじゃないじゃないですか? ポップだし、ノレるし。


じゅげむ : そう? そんなことないと思うけど。

ーーいや、しっかりメロディもあるし歌詞もあるしノレるし。ワッツーシはアンダーグラウンドでやってる感じがしない。

じゅげむ : うーん、そういう立場でありたいというか、自分自身の人間性というか。もっと大きいことを言うと、ロックというものが、もともとそうというか。カウンターでありたいねん。自分自身がモノゴトを動かせるようになりたい。だから、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドの間には、ラインが常にあってほしいなって思う。


ーー結局、じゅげむさんの言うサブカルチャーという言葉をインディーに置き換えると、メジャーの波にいまいち乗れていない、鳴かず飛ばずのバンドがインディーと呼ばれている感じがするんですよね。昔はインディーズというプライドがありましたもんね。今は、メジャーの予備軍がインディーと呼ばれているだけのような気がします。

じゅげむ : だからこそ、本当にどう感じたらいいかわからないものを広げていって、新しい価値観を植え付けていかないとおもしろくない。そういうパワーが、いま、関西で生まれつつある。それは、今回出てるバンドを観たり聴いたりしてもらえばわかると思うし。ゼロ世代って呼ばれてた時って、本当にわけのわからん規格外のバンドばっかりやってん。 だけど、今回出てもらうような今の関西のバンドは、ストレートなロック。奇抜じゃなくて、わりかしオーソドックスなロックンロール。むしろ今って、東京のシーンのほうが変なバンド多いなって思うし、今の東京に対する関西のカウンターが、どストレートなものやねん。

ーー東京の変なバンドって、例えば?

じゅげむ : NATURE DANGER GANGとか、どついたるねんとかもそうやし。


ーーそこは、今の関西のバンドからすると反面教師みたいなところがあるのかな? 前にじゅげむさんが、「ゼロ世代の人間は適当というか、人間力勝負みたいな感じがあったから次の世代はしっかりやってるバンドが多いで」って言ってたのを聞いたんですけど。


じゅげむ : それが今やで。常に時代に足りないものを関西が補っていくっていうのがあると思う。

ーー言うなれば、関西のお笑いと関東のお笑いは違いますよね。ゼロ世代のバンドって、吉本新喜劇みたいだったじゃないですか。みんなキャラがたってて、すごくサービス精神があるというか。


じゅげむ : そんなんあったかな? やってる側としては、そんなものカケラもなかったけどね。



ーーサービスはしてなくても、おもしろいことやんなきゃって思ったでしょ?

じゅげむ : それはあった。

ーー僕が思う、盛り上がってたあの時代の象徴は、ワッツーシゾンビ、あふりらんぽ、オシリペンペンズが出演した〈プリプリップップーツアー〉で満員のUNIT。特に、あふりらんぽの存在がかなりデカかったと思うんです。アンダーグラウンドの姿勢のままメジャーに行って、最後までその姿勢も崩さなかった。かつ世界的に評価されたわけじゃないですか。あふりらんぽについては、どうですか? じゅげむさんの理想を一番実現してたバンド?

じゅげむ : そうやと思うね。そういう時代っちゃ時代かもわからんけど、それが俺らが理想とする時代やった。ただ、オルタナティヴが流行る時代が一番理想やけど、それがずっと続くのは気持ち悪いねん。カウンターはメインであってはいけないから。それが時代によってひょっこり浮き上がって来るのは波があっていいと思うけど。80年代とかは、オーバーグラウンドが流行やったし、そういうのをくり返していくわけやんか。

ーー80年代の象徴って、なんですか?

じゅげむ : ニュー・ウェイブかな。

ーー日本のバンドの話?


じゅげむ : 全世界的に。


ーーTALKING HEADSとか?

じゅげむ : TALKING HEADSとか。MTVの時代。もっとさかのぼると、60年代後半はLED ZEPPELINとかがロック・スターになったんやんか。そういうカルチャーが出来てきて、ウッドストックもやって。アンダーグラウンドのものがどんどんオーバーグラウンドになって、それがメインになって。でも、それが続くとロック・スターが衰えて、どんどんおもしろくない感じになってってん。「なんだよ、そんなロックスター」っていうところで、パンクが出てくる。新しいカウンターがのし上がってきて、ロック・スターになって、そのうちそのパンク・バンドも「なんだよ、あのロック・スター。おもしろくない奴になりやがって」… っていうところでニュー・ウェイヴが出てきて、MTVの時代がきて、90年代にグランジが出てきて…。それ以降、そういう浮き沈みがあったかなって。

ーーその後は、世界的に見たらポストロックの時代だったと思うんですよね。レシーバーズポンポンヘッドの杉田さんが言ってて印象的だったのが、00年代に入ってドラムがリーダーのバンドが出てくるようになったって。それもそうだし、ポストロックの派生でLIGHTNING BOLTとかHELLAの2人組のバンド・ブームみたいなものが来たじゃないですか。その頃、日本でもあふりらんぽが2人組を世界と同時進行でやってたと思うし、ペンペンズもドラム、ギター、ボーカルっていう変な編成だし、ワッツーシも下敷きは、KING BROTHERSとか日本のガレージ・シーンだったとは思うんですけど、ベースレスのギター、ギター、ドラムの3人組ってやっぱり編成からして面白かったですよね。

じゅげむ : そういう枠組みとか既成概念を意識してないっていうところが関西らしいとこ。東京の人は、こうじゃないといけないっていうのがある気がする。

ーーそうですね。あと、東京は似たジャンルが集まってて、関西ゼロ世代のバンドって、マインドは一緒なんだけどやってることはそれぞれ全然違ったじゃないですか。そこにさっき言った3バンドがいて、もっと言えばアウトドアホームレスとか903号室とかいて。ズイノシンとか、あとからミドリとかも出てくる。仲いいけど全然違うことやってて。

じゅげむ : そこは結構大きく思うところがあって、関西ってつるむのがイヤみたいなところがあって、ひとつのシーンで括られるのが恥ずかしいというか。だからゼロ世代とか言われたときも、「別にそんな言葉でまとめられなくても、俺らは俺らでやってるし」みたいな気恥ずかしさみたいなものがあって。それが言わば、あんまりよくないところやったんちゃうかなって。俺、個人的にはゼロ世代って言葉でまとめられることで注目されるようになるっていうのは、すごい「やった!」って思ってん。うれしかった。なんでかっていうと、もともと今回のイベント名である〈ウルトラショック〉は最初2003年にやってんけど、その時はゼロ世代とか言われるちょっと前やってん。当時関西にシーンとかなくて、俺らはひと世代前のボアダムスとか想い出波止場とかハナタラシとか、そういう関西アンダーグラウンド・シーンに憧れてやり出して。

ーーINUとかULTRA BIDEとか非常階段とか?

じゅげむ : そうそう。MAZONNAとかソルマニアとかも。そういうのに憧れてたからさ。また関西がそういうふうになったらええのになって思ってて、なんとか作りたいと思って。で、ワッツーシやり始めて、唯一こいつらおもしろいなって思ったのがオシリペンペンズ。

ーー〈ウルトラショックvol.1〉に出演されてましたね。そのときが、オシリペンペンズ、LSDマーチ、おとぎ話にワッツーシゾンビを加えて4バンドで。おとぎ話は、そのときが初の大阪ライヴで遠征自体も初めてで。

じゅげむ : そう。こいつらと一緒にやっていったら おもしろいことできそうやなって思えたから、これをなんとかシーンとしてやっていきたいなって思ってやったのが、〈ウルトラショック〉。

ーーちなみに、その時会場には、今回出演のクリ トリック・リスのスギムさんも遊びに来てたという。お客さん、めちゃくちゃ少なかったですよね。 20人くらいしかいなかった。当時のおとぎ話のドラムのアイガちゃんの中学の同級生とか、俺の高校の同級生とか(笑)。

じゅげむ : 盛り上がる前やったからね。あんま覚えてないけど。必死やったからな。

ーー〈ウルトラショック〉ってイベント名の由来は?

じゅげむ : 昔、東京ロッカーズに対抗して関西ノーウェイヴっていうシーンがあってん。INUとかULTRA BIDEとかAunt Sallyとか、関西アンダーグラウンドの祖先みたいな。そういうのがやっぱ好きやったんよね。で、〈ウルトラショック〉も関西ノーウェイヴみたいになりたいなって思ってつけた。

ーーはじめから東京VS関西という図式があったわけですね。

じゅげむ : うん。それで、2005年くらいにようやくそういう風に関西のパワーが強くなって。

ーー2006年の『十代暴動社ナイトDVD』も、タワレコの全店チャートで4位までいきましたからね。瞬発だと椎名林檎とか抜いてました。

じゅげむ : いい時代やし、やりがいがあった。それから今10年くらい経って、またその流れがあるなと思う。最近うちにドラムの若い子(セイヤ)が入ってくれたのもあって知ったんやけど、最近また関西で「やったろか」っていうバンドが出てきてるっていうのを聞いたりして。

ーーそれは、関西ゼロ世代チルドレンってことですかね?


じゅげむ : そうかな、多分。うちのドラムとかひと世代下になると思うんやけど、高校の時とかにワッツーシゾンビ聴いてくれてたりとかして。

ーーひと世代というか、ひとまわりですね。今回は世代的にもそういうバンドが多いんですか?

じゅげむ : そうやと思う。いっぱいおもしろいことやったろうっていうバンドが多くて。それを俺らの時代はそれぞれがやってたし、まとまることをしなかった。昔、札幌のイースタンユースとかブッチャーズ、カウパーズとか怒髪天とかU.GMANとかが一気に東京に進出して時代を作ったわけやんか。10年前俺らはそういうことを一切しなかった。あの時、東京に行けばよかったと思うねん。

ーーじゃあ、今そのときに戻れたら、上京してました? メンバー全員で。


じゅげむ : してないな。


ーーですよね。



じゅげむ : でもな、そういう気持ちはあんねん。ビジネス的にというか、ずる賢くというか。本当に盛り上げたくて時代を作ってやろうと思うなら、あの時行くべきやったっていう気持ちもあんねん。

ーーでも、先に挙げたバンドたちは、アンダーグラウンドでは評価されたけど、音楽で飯が食えたかっていうと、そういう評価はされてなかったわけで。20年経って、やっと怒髪天が武道館っていう感じじゃないですか。

じゅげむ : でもさ、そこまでメジャーな成功ではないけど、音楽として時代を作ったと思うねん。大阪は大阪のスタンスとして残ってるのかもわからんけど、個人的には心残りがあんねん。あのタイミングでできたんじゃないかって。それで、今回〈ウルトラ ショック〉には出てないけど、GEZANとか関西で突き上げて来るやつ出てきたなと思って。勢いいいけど、どうすんねやろって思ってたら、あいつらすぐ東京行ったから。考え方が違うなって思って。

ーーGEZANは関西ゼロ世代のバンドが嫌いで、それらをディスったZINEを作ってライヴハウスで配ってたと聞いてるんですけど、そういうのはどうですか?

じゅげむ : そういうところも突き上げてきてるなって思う。噛み付いて来る奴やなって。

ーー噛み付くってことは、意識してるってことですもんね。

じゅげむ : その後のGEZANの活躍。東京に乗り込んでいって揉まれて徐々に変化して。その変化は顕著に出てるし、いいことやと思う。

ーー現在のGEZANの盛り上がりは関西からみてどうなんですか?

じゅげむ : もっともっと評価されたらいいのになって。健康的やし、バンドとしてあるべき形やし。あれが認められないんやったら、それでええわって思ってまい。GEZANに続く勢い、あと押しするようなものが生まれてきてるって感じてて、これは新しいカウンターが東京に対するものがあるなと。今回は、それをまとめて紹介したいなと思ってん。みんなそれぞれやってるけど、まとめないとパワー出ぇへんやんか。誰かに言われてんけども、最近メジャー・シーンとかで大阪のバンドっていないよねって。実際は夙川とかキュウソネコカミとかいるんやけど、「これが大阪や!」っていう感じでもないというか。大阪を売りにしてない… してんのかな?

ーー夙川とかは、いかにも関西って感じするし、キュウソネコカミもそうじゃないかな。大阪を売りにしてるバンドって、例えば?

じゅげむ : デカいところで言うたら、ウルフルズとかシャ乱Qとかね。「大阪から来てまっせー!」みたいな。 ナンバーガールやったら、博多から来たって常に言うてるやん。そういうのが今は少ないというか。だからまとまらないと。まとめることによって、大阪キてるって意識させたいし、こんなバンドがおるでって紹介したい。それがつながって、東京のシーンも関西を意識して、せめぎあっていけたらいいなって。

ーーとはいえ、一般的には知られていないバンドばっかりですよね。楽しみな反面、メンツを見ただけだと引きが弱いとも思うんですけど。

じゅげむ : そやで。でも今回集めたバンドは観てさえもらったら、ハンパないと思う。パワーの押し出し方とか、なんかやってやろうっていう力がある。 1本1本のライヴでどうにかしてやろうって。関西のバンドは一方的にやりたいことを押し付けてるいうのが、パワーあるなと思うねん。東京のバンドは、最近そういうの少ないやんか。お客さんを意識しすぎというか、楽しんでもらうことを読み取ってやります、みたいな。それは、おもしろくない。 いつのまにかバンドが舐められてんねん。バンドがお客さんより下になってる。そうじゃなくて、バンドとかアーティストって、お客さんからしたら何かを得たくて観に行ってんのに、欲しいようなものをこちらが提供するっていう。そうじゃないやろ。 そういうのが嫌。ロックじゃないし、 サブカルチャーじゃない。今メインストリームでサブカルチャーと呼ばれてるものは、サブカルチャーを求めてる人に対してのサブカルチャーというか。 もっとワケのわからないものが流行らないと、それはサブじゃなくて。

ーーそこを今の子たちがやっている?

じゅげむ : うん。東京がシロになったら、関西はクロになる。関西はあまのじゃくで成り立ってる。それを明確にさせていきたい。関西はこういう状況やでと。今回、観たらたぶんビックリするで。


ーー特に東京のバンドしか知らない奴らは?

じゅげむ : うん。東京のライヴハウスに行ってるようなお客さんは、ぜひ観に来てくれたらいいと思う。ひと昔前の大阪のイメージとは、ちょっと違うやろし。

ーーむしろ、ひと昔前の大阪を知らない人もたくさんくるだろうしね。

じゅげむ : 今の東京のバンドを観に行っている人からしても真逆の雰囲気のバンドばっかりやし。そこを観てもらったら、本当のロックの良さが見えてくるんじゃないかな。東京を否定して大阪を肯定しているわけでもなく、常に真逆のものがあってバランスがとれていくというかさ。そのなかで上手い具合にバランスとれてるバンドが上にどんどん行くんやと思うし。それは大阪のバンドかもしれへんし、 東京のバンドかもしれへんし。アンダーグラウンド でそういうせめぎ合いがないと、つまらない。

ーー今回出るバンドは上に行きそうですか?

じゅげむ : それはわからない。そういうバンドもおるかもわからんけども。 不器用すぎるから、俺らみたいな長くやってる人間がまとめていかななと思ってて。実際、今年に入って1月に〈大阪ロックデイ〉っていうイベントがあって、今回出るバンドも出てて。そのあと2月に福岡でTHE VOTTONSがやった〈ボタヤマオリンピック〉っていうイベントにも関西勢がごっそり10バンドくらい出て。そのあとに静岡で〈FEVER OF SHIZUOKA〉っていうところでも関西勢が出て。そうやって、地方にまとまって呼ばれることが多くなってるのよね。もともと地方とつながってるのもあるけど、地方から盛り上がってきてるんじゃないなって。それが東京にまだ伝わってきてないっていうんはマズい。だから、このタイミングでやろうと思ってん。

ーーたしかに、今それを聞いてハッとしました。東京にいるとそんな情報届いて来ないけど、地方の方が関西のバンドへの注目も早い。

じゅげむ : バンドと関係ないかもわからんし、東京が飽和状態なのかわからないけど、いろんな面でも関西に注目が集まって来てると思う。ロフトプラスワンが関西来たやろ。ディスクユニオンの店舗が出来るかもとかDUMーDUMが事務所構えたりとか。広がりを求めて東京でやってたけど、関西に出て来てるってことは、まだまだ土壌があるんじゃないかって思ってみんな来てるんじゃないかなって思う。

ーーあとね、前にじゅげむさんが言ってたのかな。東京は中間がいっぱいいるって。

じゅげむ : そう。プロデューサーがいっぱいいる。 大阪にはいない。それがメリットでありデメリットでもある。プロデューサーがいないことで自由に出来てるし、プロデューサーがいないからこそ、次のステップに持っていけてないと思う。東京にはそういう中間の人がいっぱいおるから、アンダーグラウンドのおもしろいものもすぐ上に上がっていくし、 上手いこと認められていくと思うんやけど、大阪は自由やから放置されててそのまま消えてったりする。それは、もったいないから。今回僕はプロデューサーではないけど、こういう状況やでって紹介したいなと。こういうことをやることで、個々のバンドが東京に呼ばれるようになればいいなって。 これからどうなるかっていうのはあるかな。


ーー逆に言えば、今回はまとめるけど、次は各バンド勝手にしてくださいねってことですね。

じゅげむ : まあ。でも応援していきたいなとは思う。関西、キてるなって感じてんねん、本当に。「これが音楽や」っていうものがキてるから、それを知ってもらいたい。ちゃんと観てもらわないとやりがいもないと俺は思う。けど、今回出てるような若いバンドって、そこも気づいてない。勢いよく、やりたいからグワーってやってるようなバンドやねんけど、その勢いがあるうちに評価してもらいたい。この状況を無視しないでほしいって思うねん。

ーー東京は東京の情報だけで収まってるというか。もしかしたら東京だけで満足してるのかなと思うんですけど。でも、そういう人もウルトラショックに来れば…。

じゅげむ : 今まで知らなかった新しい価値観が生まれると思う。こういう価値観もバンドも知らんと思うから、そういうのをまとめて持っていきたいなって。とにかく新しい、見たことない、感じたことない価値観があるからさ、それを無視するっていうのはもったいないと思う。今こういう状況が生まれつつあるというところは、大阪にいる俺自身からしたら新しいものが出てきてるってヒシヒシ感じてるし、それは東京からしたらすごいことやと思うし。 無視すると大変やで。注目したほうが絶対いいし、知らないもののほうがおもしろいと思うから。既に知ってる、自分が求めてるようなものを観に行くん じゃなくて、怖いもの見たさで飛び込んで来てほしいね。

(聴き手 : 長州ちから)

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〈関西ウルトラショック!!!!!!〉

2014年6月22日(日)下北沢 BASEMENT BAR & THREE

OPEN / START : 14:00 / 15:00

料金 : 2,500円 / 3,000円


出演 : ワッツーシゾンビ / クリトリック・リス / B玉 / manchester school≡ / バイセーシ / メシアと人人 / POWEREMPIRE / ギャーギャーズ / いったんぶ / 豊川座敷の雨敷 / KK manga / 馬車馬 / EKVo / THE ロック大臣ズ / RED SNEAKERS / and more

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