人よりレジを信用します

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タケルンバ卿日記

最近は外食チェーン店もコンビニも、外国籍の方が増えてきていますね。今回はタケルンバさんのブログ『タケルンバ卿日記』からご寄稿いただきました。

人よりレジを信用します
ある大手外食チェーンの方と「最近アルバイトの求人応募が少なくてねー」という話になった。特に日本人の応募がないし、せっかく採っても定着しない。

(過去記事)日本人が採れない – タケルンバ卿日記 2008-10-01
http://d.hatena.ne.jp/takerunba/20081001/p1

相変わらずこの状況は続いているわけで、ええ。どの店舗も慢性的な人手不足。

となると労働力は海外籍の方頼みになる。ま、致し方ない話ですわな。人がいねーんだから。社員の過重労働も度々問題になっているわけで、社員をこき使うにも限度があるのでね。

ただ、従来は「レジはちょっと」という風潮があった。ファストフード店のようなレジが複数ある店舗の場合、ひとつのレジあたりの現金は少なく入れてある&1万円札は速攻で別金庫へ抜くので、「まあ、たいしたことねえし、いいか」的に任せるケースが多かったのだけども、ファミレス・居酒屋・回転寿司のように、レジがひとつの店舗の場合、閉店間際になると、1日の売上が丸々レジに残っているので、あまり海外籍の方に扱わせなかった。額が大きいからのう。ちょっとしたお店だと100万円単位でレジに入ってるし。

外食: 「でもねー、最近はしょうがないからやらせちゃってるんだよねー」

しょうがないので任せるようにしたと。しかしなんでまた、と思ってさらに聞いた。

タケ: 「保証人でもとるようにしたの?」

外食: 「日本に身寄りがない彼らの保証人って、大抵業者だからなあ。意味ない」

タケ: 「じゃ、あきらめて信用するようにしたん?」

外食: 「いや、信用してない」

タケ: 「じゃどうすんのよ」

外食: 「レジを信用してる

人ではなく、機械を信用していると。で、信用できるレジの登場で、彼らにレジをやらせることにしたと。そういうことらしい。

どういうことかというと、つり銭が自動で出るレジ、そして現金収納引き出しが開かないレジの登場。これが大きかったらしい。従来のレジは現金が入っている引き出し部が開くもの。そのため、この引き出しさえ開けてしまえば、中に入っている現金を自由に扱えた。

しかし新しいタイプのレジは、レジに収納されている現金を扱えない。レジ係ができるのは、お客様からいただいたお金を投入口に入れることと、入れた金額からはじき出されたつり銭をレジから受け取り、お客様に渡すのみ。

つまり今のレジは、1回のお会計に絡むお金以外に触れることができないので安全だと。だから任せられるとそういう理屈らしい。

タケ: 「でもさー、レジも機械だろ。ミスとかねえの? 新札とか2枚重なって出たりとか」

外食: 「ああ。ないとは言えんが、人のミスよりは少ないし、たがが知れてるだろ」

万が一、レジの機械にミスがあれば、そこで社員が対応すれば良いと。ふむう。なるほどねえ。

技術とかの進歩によって、機械任せができるようになった。そのおかげでレジを任せられるようになって、労働不足解消にもちょっと役立った、という話なわけだけれども、その実、「人より機械を信用します」という。外食という労働集約産業が行き着いたひとつの終着駅が、集約される労働力に対する不信とはね。

あるいは、モノとしての精度が上がれば上がるほど、それを扱う人間が無能化されていくという話でもあるな。いや、人間でなくてもいいのか。最終的にはレジを扱える存在であれば何でもいい。「レジを信用する」「機械を信用する」ということは、それを扱うものを信用しないわけだからな。もはや何でもいいのか。

なんかいろいろ凄(すご)いな。むう。

執筆: この記事はタケルンバさんのブログ『タケルンバ卿日記』からご寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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