町工場とスタートアップ(メカAG)

町工場とスタートアップ(メカAG)

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

町工場とスタートアップ(メカAG)

以前

「町工場は「匠の技」を持っているという幻想」 2014年04月12日 『さまざまなめりっと』
http://blog.livedoor.jp/manamerit/archives/65654237.html

この記事について書いたが、

「人間の長所は高度な汎用性(柔軟性)」 2014年04月13日 『メカAG』
http://mechag.asks.jp/749281.html

別な側面からもう一度書いてみる。元記事の論旨は、町工場というのは非情にニッチなニーズゆえに生き残れているというものだろう。ようするに大企業が参入しても儲からないゆえに、中小企業が生き残れている。

で、俺の前回の記事は、たしかにそういう側面はあるが、それなりに重要な役割をになっているのだというもの。小回りがきくので試作品の特注パーツとかを作ってもらえる。量産品を作るには先ず試作品を作らなければならない。つまり量産向きでない用途というのは結構重要なのだ。

   *   *   *

ただ大規模化不可能というのは当たっている。一定以上規模を大きくできないゆえに、中小企業が生き残る。ご当地ラーメン屋と同じかもしれない。大企業が参入して同じラーメンを大量生産したところで意味があるとは思えない。だから大企業は手を出さないわけだ。

んで話は変わってベンチャー(スタートアップ)の話。スタートアップにも2種類あると思うんだよね。基盤技術になり得るものと、隙間産業的なもの。前者は大規模化の可能性が開かれている。後者は小規模な部分に価値がある。大雑把にはWebサービスとか後者が多いような気がする。非常に特殊なジャンルに特化したサービス。

   *   *   *

どうも近年のネットの風潮として、あくせく働くのは古い、残業なんてせずに、短時間でそこそこ稼げる仕事するのがスマート、みたいなのがある。

確かに一見、かっこよさげではある。でもそれって基本的に町工場とビジネスモデルが同じなんだよね。儲かるジャンルなら必ず後発企業が参入してきて過当競争になる。すると定時までそこそこ働いて、そこそこ給料を貰うというスタイルは成り立たなくなる。

競争なのだから勝つしかない。勝者がすべてをとり、敗者はなにも得られない。そこそこ働いてそこそこ儲けるというのは不可能なのだ。猛烈に働いて大儲けするか、競争に敗れて倒産するかの二択しかない。

   *   *   *

んで、そうならないジャンルも確かにある。それが町工場モデル。市場が狭すぎて儲かる上限が決っているので、後発があまり参入してこない。そのかわりいくら頑張っても一定以上は儲からない。まあ、だから逆に頑張る必要ないわけだ。

で、まあそれぞれ良い所もあるし悪い所もある。それを承知で納得づくでそういうスタートアップを始めるなら、自分にあったジャンルを選べばすごく幸せになれるだろう。ただ、なんかその区別がついてないで、あまり深く考えずに「そこそこ働いてそこそこ儲けるスタイルがトレンディ♪」みたいな感覚の人が多くね?という話。そういう人に限ってグローバル化だなんだとか騒いでいる人が多いし。対極にあるものだよね、町工場モデルとグローバル化というのは。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年05月02日時点のものです。

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. 町工場とスタートアップ(メカAG)

寄稿

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

記事ランキング