「蛹化」の美学を小説&写真プラスで迫る! 人形作家・林美登利さん作品集『Dream Child』がコワ綺麗

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近年愛好者が増え、見る側と作る側の裾野が広がりつつあるドールや球体関節人形。その中でも、独特の異形な人形を生みだしている林美登利さんが作品集『Dream Child』をアトリエサードから刊行(2888円・80ページ)。それを記念する個展が2014年3月28日から4月14日まで東京・浅草橋のパラボリカ・ビスで開催されます。

2000年より球体関節人形を学び、さらにオーブン樹脂粘土のサーニットの技法も身につけて、人面の動物ともいえる不思議な生き物の作品を次々と発表している林さん。その姿や表情は幻想的なだけでなく怖さも呼び起こされることもしばしばで、他の人形作家と一線を画する存在といえるでしょう。

今回の作品集では、写真を虚飾集団廻天百眼などの舞台撮影で知られる田中流さんが手がけているほか、『人魚と提琴 玩具館綺譚』(講談社ノベルス)など、異形・妖怪をテーマにした小説を発表している石神茉莉さんとコラボレーション。
林さんによると、表紙を飾る「蚕蛾姫」は、作品集にも収録されている石神さんの短編『蛹化』(ようか)をもとに制作されたとのこと。幼虫から蛹になる瞬間は本来ならば成虫になるためのかりそめの姿に過ぎないものですが、その瞬間を封じ込めることに魅せられてしまうといったモチーフの物語が描かれており、林さんの人形と撮影した田中さん、そして石神さんの小説を合わせて多面的に吟味できます。
さらに、マンガ『黒執事』装丁デザインで知られる中川ユウヰチさんが奇想的なページ作りをしており、蛹や繭といった「閉じこもるもの」への偏愛を際立たせるとともに、その美学を凝縮した一冊になっています。
モラトリアムで時間が止まってしまう、ということが少女小説などのガーリーカルチャーとの親和性があることも、一定層に熱烈な支持を得ている理由の一つ。その真髄を知りたいという人にとっても手に取るべき作品集といえるのではないでしょうか。

パラボリカ・ビスの個展では作品集に収録された人形が展示されるほか、林さん・田中さん・石神さんが揃うサイン会も2014年3月29日・30日に予定されています。予約が必要とのことなので、クリエイターに直接制作の話を聞きたいという人はお早めに。

林美登利個展『Dream Child』

日時:2014年3月28日~4月14日
   月~金/13:00~20:00 土日祝/12:00~19:00
  (イベントの際は異なる場合もあり)
入場料:500円
会場:parabolica-bis(パラボリカ・ビス)
   東京都台東区柳橋2-18-11  
TEL: 03-5835-1180

『Dream Child』出版記念サイン会
日時:2014年3月29日(土)17:00~
   2014年3月30日(日)14:00~

定員:各回50名(要予約)
料金:3300円(『Dream Child』+展覧会入場料込み)

林美登利 人形作品集『Dream Child』(アトリエサード)
http://athird.cart.fc2.com/ca2/96/p-r2-s/ [リンク]

林美登利個展『Dream Child』(パラボリカ・ビス)
http://www.yaso-peyotl.com/archives/2014/03/dream_child.html [リンク]

ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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