「機械遺産」新たに6件認定

「機械遺産」新たに6件認定

今回はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載させていただきました。

「機械遺産」新たに6件認定

「機械遺産」新たに6件認定

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
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歴史的に価値の高い機械を未来に残そうと認定される「機械遺産」に、ことしは40年近く前に作られた機械式の立体駐車場や、昭和初期の家電製品など、新たに6件が選ばれました。

機械遺産は6年前から日本機械学会が認定しているもので、私たちの暮らしに大きな影響を与えたり、技術の発展に貢献したものなど、合わせて55件の機械が去年までに認定を受けています。

ことしの認定式は今週開かれ、新たに6件の機械が選ばれました。
このうち、新宿駅の地下にある機械式の立体駐車場は、今から40年近く前の昭和51年に作られたもので、今も年間およそ1万7000人が利用しています。
コンピューターは使われておらず、「リレー」と呼ばれるスイッチと単純なセンサーを使ってモーターの回転を制御し、僅か数ミリの誤差で車を乗せた台車を止めることができます。
台車はくしの歯のようになっていて、エレベーターのように地下に下りていき、格納する車を別の台車にスムーズに乗せ替える仕組みです。
駐車場を運営する京王地下駐車場の久我信二施設課長は、「保守点検をしっかり行って、これからも現役の機械として使い続けたい」と話していました。

また、昭和5年ごろに作られた国産の洗濯機、冷蔵庫、それに掃除機は、アメリカの製品をモデルに開発されたもので、当時の平均的な月給の何か月分もする憧れの機械だったということです。

一方、江戸時代に作られたからくり人形は、ゼンマイと歯車を組み合わせることにより、子どもの人形が的に向けて矢を射る動作を滑らかに再現しています。

ことしは、このほかに国産初の16ミリ映写機や、横須賀の造船所にあった蒸気式のハンマーなども選ばれました。

選定に携わった玉川大学の大久保英敏教授は、「若い人たちには日本が古くから持つ高い技術力を感じてほしい。そして、将来、日本を支えていく技術者や研究者が多く生まれてほしい」と話していました。

【これまでに選ばれた「機械遺産」】

これまでに選ばれた機械遺産には、私たちの暮らしや娯楽を大きく変えた機械も数多く含まれています。

去年認定された卓上コピー機は、昭和30年に作られました。

写真と同じ原理で書類を複写する仕組みで、手軽さから100万台以上が販売されました。

また、昭和48年に開発された、現存する最も古い自動改札機や、昭和55年に発売された初期の温水洗浄トイレ、それに、太平洋戦争中に作られ、戦後オーストラリアの農園で使われていた国産第1号のブルドーザーなども選ばれています。

一方、機械遺産の中には、ことし選ばれた立体駐車場のように、まだ現役で活躍しているものもあります。

その1つが東京・練馬区の遊園地にあるメリーゴーラウンドです。

今から106年前にドイツで製造され、アメリカの遊園地で子どもたちを楽しませたあと、今から40年余り前の昭和46年に練馬区の遊園地にやって来ました。
馬や馬車など回転台の上の乗り物は当時のままで、今でも年間30万人余りが利用する遊園地の人気アトラクションの1つです。

保守管理を担当するのは、この道30年のベテラン整備員、佐藤誠さん。
毎朝、開園前に傷んでいる部品がないかチェックしています。
部品が故障すると、替えが見つからないことも多く、新しいものを作って交換することもあるということです。

子どもたちと共にメリーゴーラウンドに乗った父親は、「そんなに歴史のあるものとは知りませんでした。子どもたちも楽しんでいるので、また乗りに来たいです」と話していました。

整備を担当する佐藤さんは、「機械遺産なので、むやみに変えてしまわないように気をつけて整備しています。お客さんに乗ってもらうものなので、安全第一を考えています」と話していました。

執筆: この記事はNHK科学文化部のブログ『NHK「かぶん」ブログ』から転載いただきました。

転載記事は2013年08月15日時点のものです。

転載

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