ネット依存から我が子を救う親子コミュニケーション
中高生のネット依存が社会問題に。誰もが「ネット依存予備軍」
現在51万人以上といわれている中高生のネット依存者。症状としては「用も無いのについついネットをつないでしまう」「常にネットの情報が気になる(不安になる)」「肩こり・倦怠感」などの軽度のものから、「ネット環境から離れられず、学校や部活に行けなくなる」「人格が変わる」「睡眠障害」「食事をしなくなる」「うつ症状の併発」といった重度のものまであります。
ネットは悪い部分ばかりではありません。良い側面もたくさんあり、現代の生活には欠かせないツールです。だからこそ、一概に「悪い」と断言できないことが問題を深刻化させています。また、どこがネット依存の入り口なのかがわかりづらく、未然に防ぐことが容易ではありません。誰もが「ネット依存予備軍」であり、実際にネット依存の入り口に立ったとしても、本人も周りも気づきにくいのです。
「利用時間の制限」などは逆に依存心を強める恐れも
ネット依存に陥る原因として 「手軽に刺激や満足が手に入る」ということが挙げられます。他にも「コミュニケーションが苦手」「自分の居場所(存在価値)探し」「嫌な出来事からの逃避」が中高生にとっては大きな要因です。現実世界では、何かの満足を得るためには「他人への気遣い、他人との交渉、我慢」などと引き換えに手に入れる努力が求められますが、ネットでは必要ありません。しかし、手軽な分、それと引き換えに失うもの(得られないもの)も多くあります。それは自己成長や、仲間との絆です。
ネット依存への対策として、「利用時間の制限」「スポーツや読書への代替」などがよく挙げられますが、力任せな急な方向転換は現実的には不可能に近く、逆に依存心を強めてしまう恐れもあります。依存から脱するためのキーワードは「自分の状況を客観的に見せてあげる」ことです。
コミュニケーションを通じ「客観的に見せて気づかせてあげる」
パソコンや携帯電話を無理に取り上げたり、尋問や詰問したりすることはせず、じっくりと諦めずに何度も話す機会を探ってみてください。そして、チャンスが来た時にコミュニケ―ションを通じて以下の5つのことを実践してみましょう。
①ネットにより「手に入れたもの」と「失ったもの」を比較させる
②ネットを始める前の目標や夢を思い出させ、現状の生活と将来の目標を同時に考えさせる
③実世界での友人たちとの過去の良い思い出を振り返らせる
④ネットに夢中になる前には時間をどのように使っていたかを思い出させる
⑤ネット依存から立ち直った人の経験談に触れさせ自分自身とシンクロさせる
強制的な手法では問題は解決しません。あくまで子ども本人が「依存を自覚し治したい」と強い意志を持つことが、依存から抜け出すスタートラインです。そのため、まずは「自分の状況を客観的に見せて気づかせてあげること」が大切なのです。
今後、ますますネットの世界は便利で魅力的なものになっていくでしょう。現在も 未成年のネット使用に関する制限や依存防止策が実施されていますが、子どもたちの好奇心には勝てません。子どもたちには、ネットの正しい知識を教えるとともに、自制心やコミュニケーション能力、自尊心などを高められる学びを提供していくことが重要です。
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